日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

マスメディアは、暴走する「新型インフルエンザ報道」をすぐ止めよ!

2009-05-22 | ニュース雑感
どこまで騒げば気が済むのか?新型インフルエンザ関連の暴走報道は、遂に国民生活におかしな事態を起こし始めました。

関東圏で初の感染者となった高校生2名。自由参加の行事「模擬国連見学ツアー」でニューヨークに行っての感染ということで、通学先の洗足学園校長は「生徒も迷惑をかけて申し訳ないと言っている。学校行事ではなく個人参加の形式を取っているが、許可をしたのは学校なので、責任はすべて学校にある」と泣きながらお詫び会見をしたと言います。これ、おかしくないですか?アメリカに行ってインフルエンザにかかることがそんなにも「悪」なのでしょうか?そんなことを言ったら、毎年季節性インフルエンザ感染者を出した学校の校長は、皆涙の会見をしなくてはいけなくります。なんでこうなるのでしょうか。

高校生の通学ルートに住む心ない住民からは、「うつったらどうしてくれるんだ」などと、苦情電話が50件以上も学校に入ったと言います。どうしょうもないバカどもです。弱毒性のインフルエンザにかかることがそんなに「悪」なのでしょうか、政府から渡航「禁止」も「注意」も出されていないアメリカに行って、インフルエンザにかかって帰ってくることに、何の落ち度があるのでしょう。すべては、マスメディアの誤った報道姿勢に起因するものに他なりません。マスメディアの報道姿勢が誤った価値観を作り上げてしまったのです。

かわいそうなのは折角の研修旅行を、インフルエンザにかかって帰ってきた高校生2人です。ただでさえ、体調不良の折に「皆に迷惑をかけて申し訳ない」など必要のない精神的ダメージまで受けているのです。感受性豊かな思春期の女子高生です。海外旅行に対するトラウマになってしまうかもしれません。マインドケアは誰がしてくれるのですか。マスメディアは自分たちの報道姿勢が、どれだけの影響力を持っているか分かって動いているのでしょうか。

元をたどれば、弱毒性といわれる今回の新型インフルエンザに対して政府が早く知見を表明し、季節性インフルエンザと同様の対応への移行をしないからこんなバカげた報道が続き、それによって誤った価値観を醸成されたバカどもが騒ぎをおこしているのです。橋下大阪府知事が大臣に知見表明と対応の移行を申し入れしてもう4日もたつというのに、何をぐずぐずやっているのでしょう。今回のような“被害者”が出たことをどう考えているのでしょうか。マスコミにとってはまさに“書き得”状態が続いているわけで、このままでは新型インフルエンザよりもよっぽど恐ろしい、第二、第三のマスメディア被害者が発生するのは時間の問題です。

もうひとつバカげた出来事が、「巷からマスクが消えた」という珍現象です。これは新型感染を恐れた皆が、マスクを買いあさってこんな事態になっている訳で、本当に今都内の薬局、コンビニの店頭からはマスクが姿を消しています。これじゃ、感染した疑いの人が、周りにうつさないようにと思ってもマスクもできないのです。だいたい、現在国内でまだ数十名かそこいらの感染者です。まだまだ感染蔓延状態などではなく、感染者と遭遇する確率は宝くじ1億円当たるよりも低いわけです。これとて、マスメディアが必要以上にスキャンダラスに「マスク品薄」と報道したことで、皆が我先とあせって買いに走った結果です。35年前のオイルショック時の「トイレット・ペーパー騒動」の時代からなんら進歩がない。本当に恥ずべき国民性であると思います。

いづれにしましても、政府はこのようなマスメディアの誤った世論を誘導する報道を何としてもストップさせるべきです。そのためには政府としての明快な見解を申し述べてマスメディアの暴走を止め、国民が冷静な判断を下せる環境に戻す努力を今すぐにでもすべきであると強く思います。