日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

未だ「サービス業」を理解しない、JR 東日本の根深い官僚体質

2007-12-05 | その他あれこれ
「官」、「官関連」、「旧官」、「旧官関連」、「旧半官」のダメさ加減は毎度毎度言っていることですが、また今日もJR東日本がやってくれました。

湘南新宿ラインのグリーン券というのは、最近は車内と券売機では250円金額が違うのですね。もちろん人手を介する分だけ車内が高いんです。まあ、ここまではOK。

次に、湘南新宿ライン停車駅にある250円安いホーム券売機は、Suicaのみの取り扱いで現金では買えないんです。ちょっとムッと来るでしょ?ま、まだガマンしましょ。

それでもって、湘南新宿ラインの停車駅でないと、外の券売機でグリーン券は売ってないんですよ。ん?てことは、湘南新宿ラインの停車駅じゃない駅から電車に乗って、乗り換え駅でグリーン券を買う場合、Suicaじゃないと車内で“高いグリーン券”を買わざるを得ないんですね。
これおかしいでしょ?

すなわち乗車前に乗車駅の「みどりの窓口」で並んで買うか、乗り換え駅で一度改札の外に出て買うかしないと“安いグリーン券”は買えないみたいです。

まぁこれだけでも、“親方日の丸”さんは随分と企業の論理でやってくれますね、と思うのですが、今日はこの件でサービス業にあるまじき対応に出くわし、あまりのひどさにキレました。

今夜8時過ぎJR五反田駅で、同行の私の連れが現金で湘南新宿ラインのグリーン券を買おうとしたら券売機では販売ボタンなし。「みどりの窓口」を覗けば、長距離切符の予約客等で長蛇の列。「こちらも本数少ない電車に乗るのに、これ待ってちゃ何時になるか分かんないから、乗り換え駅の恵比寿のホームで買うか」と話して改札に入ったのですが、「そうか連れは現金購入だからホームでは買えないか」と思って駅員に、事情を話して困ったと相談したら以下のような対応でした。

「ダメです、買えません。みどりの窓口に行ってください」
「電車の時間があるんだから、急ぎ専用の窓口つくってくれないとあの行列に並んでられないでしょ」
「ダメです。当駅か恵比寿で改札出て買うしかないので・・・」 → (一度改札出ろって、余計なカネがかかりますよね。何と言う不条理な指示!)
「だから、そんな時間なくて困ってるのよ」
「ダメです。今人がいないから、持ち場に戻るので・・・(と強引に背を向ける)」
と“うるせえ客だ”という態度で、一方的に立ち去るところを追いかけて、「えらい奴呼べ」と、軽くキレました。

で来た“エライ奴”がまたひどいのです。
「あなた駅長さん?」
「駅長はいません。私は責任者です」(帽子に太い赤いライン。アゴをしゃくって、少々エラそう)
で先の話をすると、
「五反田は湘南新宿ラインの停車駅ではないので、ダメです」
「顧客サービス上問題だと思わない?」
「五反田駅はそういう対応なので」
「五反田うんぬんじゃなくて、あなた責任者ならJRとして顧客サービス上どう思うの?問題でしょ?」
「これは、会社の方針でやってるので」
「御社の不完全なサービスが原因で困っている顧客への対応は、これでいいのですか?あなたの責任者としての考えはどうなの?」
「ダメなものはダメ、会社の考えだから」
「顧客サービス向上の観点で、責任者のあなたが今、我々の処置を考えなさいよ」
「そんなこと、できませんよ!」
こちらもプチっとキレて多少熱くなっていましたが、先方も時折声を荒げかなり乱暴な語尾の言葉で「そうなってんだから、しょうがねーだろ。JRの考えでは、お前が言うようにはならねーんだよ」的に言い放つと、彼もまた他の仕事があるからみたいなことで、振り向きもせず立ち去りました。客に対して、何たる態度。

JR東日本は顧客サービスをどう考えているのでしょう?
私が銀行の支店長経験から考えるに、「時間がないから行列にはならべない」&「Suicaじゃなくて現金」&「でも車外料金でグリーン券が買いたい」と困った客から相談されたら、困っている原因は自社のサービスの不完全さにあるのですから、「では、私が現金をお預かりして、すぐ処理してまいります」「私の責任で認めますので、この紙を見せて車内の車掌にお申し出ください。券売機料金で対応させていただきます」とか、顧客第一の対応を考えるのがサービス業ではないのでしょうか?本社は、そういう指導はしてないのでしょうね。
しかもグリーン車に乗ろうと言う客です。サービス業的視点があれば多少なりとも“上客”だという意識で対応すべきではないかとも思いますが・・・?

サービス業としてのあまりのレベルの低さに、呆れかえるしかありませんでした。
湘南新宿ライン停車駅以外からの乗車客に対し、こんなお粗末な対応しかできてないのに、JR東日本が平気顔で車内と車外で販売価格差をつけて顧客を当惑させているのは、企業側のコスト面ばかりを見て顧客サービスを後回しにしている、勝手な自己中心の論理としか言いようがありません。
不完全なサービスを提供するなら、完成されるまでの間の、きっちりした顧客対応指導ができなければ顧客満足度は低下する一方になってしまします。

車内と車外の販売価格格差実施からは、“純”民間並みの人件費コスト意識が芽生えてきたことはうかがい知れますが、対顧客サービス面では依然として旧態然とした「官僚体質」が全く変わっていないと言わざるを得ません。

組織の体質改善はかなりの「苦痛」を伴うだけに、それなりの覚悟をもって臨む必要があります。トップはもとより、組織の構成員が上から下まで、「楽な道」を選ばず本気で取り組まなければ、決して前には進まないものなのです。長年の「官文化」に染まりきって、体質的に「楽な道」や「逃げ道」が多すぎる“親方日の丸”の「旧三公社」は、結局何年かかってもサービス業としての「民営化」は全く進んでいなかったと実感させられました。

転じて、JRが展開し今人気の「エキナカ」も「エキュート」も、同社が結局サービス業のあるべき姿を理解しない見せ掛けの「民間」である以上、駅利用者向けのサービス重視ではなく自己の利益至上主義のビジネスに過ぎないのだと、思わざるを得なくなります。
なんとも寂しい話です。

件の連れは、かたくなな「官僚体質」に負けて車内で“高いグリーン券”を買わされ、JR東日本のサービスのあり方に“不満顔”のまま群馬に帰っていきました。