日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“ネズミ捕り”に見る官の問題姿勢

2007-11-16 | その他あれこれ
今週の埼玉~群馬の道路では、やたらに警察のスピード違反取り締まり“ネズミ捕り”が目につきました。
交通安全週間でしたっけか?

まぁ、この“ネズミ捕り”っていう取り締まりを、苦々しく思っている人も多数いるのではないでしょうか?私は幸いにして、“ネズミ捕り”で捕まったことはないので、恨みつらみは全くないのですが、このやり方いかがなものかと思って見ております。

問題点は一言で、「物陰に隠れていて捕まえる」という前時代的やり方に尽きます。
なぜ「前時代的」なのか?ここが肝心ですから、すべての「お上=官」は、よ~く耳の穴をかっぽじって聞いてくださいね。

「物陰に隠れて違反者を捕まえる」というのは、「密かに違反者が出るのを待って捕まえる」訳で、要は目の前で違反が起きるかも知れない状況を容認している訳です。これっておかしくないですか?

ここまで話して「何がおかしいの?」と思ってしまったあなた、残念ながらコンプライアンス意識が足りないと言わざるを得ませんな。
「隠れているやり方が汚いから問題!」と思ったあなたも、残念ながらポイントがはずれています。

正解は、「コンプライアンス上の重要視される予防的見地」から対応に問題ありということです。すなわち、まず違反をさせてから捕まえるという点が大問題。
そばに道路交通法を取り締まる権利を有する“コンプライアンスの番人”がいながら、敢えて違反をさせてしまっていることが問題です。
さらには、捕まった人だけは反省して「次回からの予防」になるかもしれませんが、捕まらすに通り過ぎた人たちには隠れているが故に、全くなんの予防的メッセージも伝わらないのです。

じゃどうすればいいのでしょう。
答えは簡単です。通行する車やバイクからなるべく道路上のよーく見えるところにパトカーや白バイを停めて、安全運転をアピールするんです。それだけでOK。
道端にパトカーや白バイを見つけたら誰だってスピードは落とすでしょう?安全運転するでしょう?事故多発地点や多発時間帯ほど、頻繁に出動して違反を未然に防ぐ努力をするべきなのです。

それじゃ違反者が捕まらないだろうって?警察の役割は道路交通法違反者を捕まえるのが主な仕事じゃなくて、違反をさせないこと、法令遵守を徹底させることこそ重要な仕事ではないのですか?なぜ隠れてまで捕まえようとするのか、物陰に隠れて違反者を捕まえるよりも、堂々と道路に出て違反者を出さないことの方が大切であると、一日も早く認識すべきなのです!

「お上=官」の現在の世間のコンプライアンス基準に対する理解の低さが、本当によく分かると思います。
どこの民間企業で、使い込みが多いからと言って、次に誰かが使い込みをするのをこっそり見ていて捕まえて見せしめにする会社がありますか?使い込みが多いなら、牽制や監視を強化して、未然に再発を防ぐことをするはずです。
コンプライアンスの番人が、隠れてわざわざ違反をするのを待って捕まえるって、おかしいくないですか?今の警察がやっている“ネズミ捕り”は、コンプライアンス上明らかに誤った対応と言わざるを得ないのです。

昭和の時代の法の番人は、違反者を見つけて厳しく罰し再発を防止するやり方でよかったのかもしれません。しかしながら、現在のコンプライアンスの考え方は、「予防的見地」を最優先した対応が求められているのです。
官の現在のコンプライアンスに対する理解と意識の欠如が、いかにはなはだしいかということがよく分かる事例であると言えるでしょう。

昨日、守屋前防衛省事務次官の参院証人喚問が行われましたが、警察庁も防衛省も状況は同じ。省庁問わぬコンプライアンスの誤った理解と意識の薄さこそが、「官」として早急に是正されるべき最大の課題であると思うのです。