事前に入手できたベラルーシの情報は少なかった。
岸 恵子『ベラルーシの林檎』(朝日文庫)があったが、中身はバルト沿岸諸国を通ってサンクト・ペテルスブルクに向かう旅行記で、車内で貧弱な林檎を食べるベラルーシの老婆のエピソードが載っているだけだった。
「ウクライナの北」という位置情報を頼りに、チェルノブイリ原子力発電所を訪問できないか、と現地の人に尋ねたが、無理だ、とのこと。
ベラルーシは旧社会主義圏の国だ。これが、日本人にとって、地政学的かつ心理的障壁となっているのではないだろうか? ヨーロッパ将棋選手権への日本からの参加者は、前年(ポーランドのクラクフで開催)に比べて少なかった。日本将棋連盟もプロ棋士の公式派遣を見送った。
現地では、旧社会主義の評判は散々だ。
しかし、街を歩いてみて、清潔な街並み、瀟洒な建物、それなりに親切な人々は、旧社会主義の時代に築かれたものに違いない。旧社会主義も捨てたものではない、と感じた。
(2014-02-06)