尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

五行歌「布団をかぶり」

2008年07月29日 01時08分07秒 | 五行歌・自由律俳句
布団をかぶり
脱皮しても
脱皮しても
また蛇
わが思春期

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五行歌「コオロギ…」

2008年07月29日 00時59分57秒 | 詩の習作
コオロギ
恋人のかたちを
まさぐる触覚の先
震え
うまい歌は忘れた

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五行歌「君のしゃべるが…」

2008年07月29日 00時49分48秒 | 五行歌・自由律俳句
君のしゃべるが
しゃべり続けるあいだ
僕の
だまるが
だまっている

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五行歌「137億年の…」

2008年07月29日 00時42分32秒 | 五行歌・自由律俳句
137億年の宇宙の旅路の果て
ついに星は自分に気がつき
体を輝かせたのである
その星の名は
あなたと同じだ

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夢の交差点

2008年07月23日 23時05分34秒 | 決定稿集
「夢の交差点」


梅雨が
幾度明けても
日本には
明けぬものがある

今年も
人はついに
帰ってこなかった
飯を喰らい
今日の生をつなぐ私に
帰ってくるのは 
彼等の喰い残した
夢ではないか

交差点の手前
暖められたアスファルトの上
風がそよぐと
かげろうが揺れ
人よりも多く
夢が立つのだ

そして信号の瞳は

永遠に見ず知らずの
私たちは
儀式のように
渉りはじめ
静かに
まぶしく
銀色に
すれ違ってゆく

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愛の学校

2008年07月17日 21時22分48秒 | 詩の習作
私たちは
教室ではなくて
二人で学ぶしかないのだ
愛とは
大人が教えるような
予定調和でも平和でもなくて
完全な 滅び 
であること

実際 何度でも
私たちは滅んでゆくのだった
相手の目を
宇宙の瞳のように感じながら
最後には瞼を閉じて

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白い家

2008年07月17日 00時01分36秒 | 詩の習作
夏って 入道雲ではなくて
やっぱり ひとつの家だよ
と、言いはりながら
あなたはドアに鍵をかけ
私を閉じこめたのです

ずっと住んでます
あなたの夢の
白い家に

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潮騒

2008年07月16日 23時52分29秒 | 詩の習作
水平線のように目を細めながら
私たちは神様の寝息を聞いていた

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夏の一日

2008年07月16日 23時46分01秒 | 詩の習作
ある日の
夏の一日というものは
一日かかって
一日の夏を思い出すこと

だから朝から
本日が懐かしい

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噴水

2008年07月16日 21時22分26秒 | 詩の習作
真夏の
そして真昼
お前は
天をめざすが
消して届かない 一本の
思いの銀針であろう
そのために

昇りながら
人々がたった一つと
信じている
太陽を打ち砕き
落ちながら
千個の太陽を
まき散らす

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フランケンシュタイン博士のバラ

2008年07月15日 23時12分18秒 | 詩の習作
バラはある なぜと問わずに
バラは咲く だだ咲くがゆえに
   ……(アンゲルス・シレジウス)

最近のバラは
フランケンシュタイン博士のバラ
ですので
その全身で
その一生で
ひとことだけ言うのです

なぜ?

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アルミニウムの夜

2008年07月14日 22時22分47秒 | アバンギャルド集
深夜
異様な寝苦しさに
外に出ると すでに
街の人々の大半が ぽかんと
天を見上げていた

すべての星が
白く鳴り響いていた そのため 
人の顔が
アルミニウムの仮面ように
輝いていた

僕はどこまで喜んでよいのか
あるいはどこまで恐怖してよいなか
わからないでいた
隣の人に
 〈とうとう来ましたね〉
と話しかけた
隣の人は 〈ええ〉
と頷いただけで
相変わらず天を見上げ続けた ただ
アルミニウムの頬に
涙のようなものを一筋落として それから
とんでもない秘密のように
僕の手を握った

僕は鳴り響く星どものことと
しめった手のことと
二つのことに
引き裂かれてしまった

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極める

2008年07月14日 04時18分36秒 | 詩の習作
人間というものは
きわめてはいけない
そんなものは
どこか嘘くさい
嘘だと
言ってやれ

むしろ
苔がむすように
自ずから
きわまっていくものだ
己の顔とその体に

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夢の中

2008年07月05日 01時49分11秒 | 詩の習作
報告いたします

夢で会いましたものたち
よく観察すると
みな死んでおりました
私も…
閣下、これが夢というものの
すべてございます

ご苦労であった
ところで
君はまだ夢を見ておるのだよ

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夢の交差点

2008年07月03日 16時35分13秒 | 詩の習作
梅雨が
幾度明けても
人はついに
帰ってこなかった
飯を喰らい
今日の生をつなぐ私に
帰ってくるのは いつも
彼の喰い残した
夢である

交差点の手前
暖められたアスファルトの上
風が吹くと
人よりも多く
夢が立っている

そして信号の瞳は

私たちは
渉りはじめ
静かに
まぶしく
すれ違ってゆく

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