詩人にはこの世ならざる世界からの視線が必要であるが、北村さんに限っては
あの世からの視線をいやおうなしに持ち続けた詩人だと言うことが出来る。
かどの喫茶店でコーヒーをすすったりメモをつけたい
ひとの心理をいぶかしく思ったり計算したり怒りを感じたりする
怒りは回転する独楽でおのれに目がくらみ
かすかに中心の意識はあるがまもなく倒れることを予期し
声を限りに叫ぼうとするがしかしかぼそく唸るだけで
最後にひと揺れふた揺れしてけっきょくぶざまのものすなわち形が残る
(十六行と六十行 白露2より)
怒りの現象について述べているようで、
実は人生の全体を俯瞰しているのだと読める。
詩人の意識においては生活の様々な局面が、「まもなく倒れることを予測し」ながら運ばれてゆき、つまるとろ「けっきょくぶざまな形が残る」のだ。
あの世からの視線をいやおうなしに持ち続けた詩人だと言うことが出来る。
かどの喫茶店でコーヒーをすすったりメモをつけたい
ひとの心理をいぶかしく思ったり計算したり怒りを感じたりする
怒りは回転する独楽でおのれに目がくらみ
かすかに中心の意識はあるがまもなく倒れることを予期し
声を限りに叫ぼうとするがしかしかぼそく唸るだけで
最後にひと揺れふた揺れしてけっきょくぶざまのものすなわち形が残る
(十六行と六十行 白露2より)
怒りの現象について述べているようで、
実は人生の全体を俯瞰しているのだと読める。
詩人の意識においては生活の様々な局面が、「まもなく倒れることを予測し」ながら運ばれてゆき、つまるとろ「けっきょくぶざまな形が残る」のだ。