尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

薄ら笑い

2006年06月09日 21時34分55秒 | 詩の習作
顔面のぶ厚い皮膚だけが
笑っていることがある
白を黒といい
黒を白といってきた
長年の習性である

説教の途中
そこのお前
その薄ら笑いをなんとかしろ
担任の教師に挑まれたこともある

たしかに
薄ら笑いの皮の下には
暗い川がながれている
この見えない川がほんとうのお前だろう
とは世間の常識だけれど

薄ら笑いの表面こそ
僕の精神だ
薄ら笑いで答えると
疲れた顔を橋にして
その下を川が流れるのだ

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鏡の夢

2006年06月09日 04時47分22秒 | 詩の習作
未明に鏡の夢を見た
鏡の夢にろくなものはない
たいていは最後にうなされる

薄暗い洗面所で
僕は電気カミソリ器を使って
(実際、一昨日から新品のものを使い始めていたが、それだ)
ひげを剃っていた
ところが
腕とカミソリし器しか映っていない

押せばずぼっと腕ごと沈んでいくような
沼のような鏡であった

目が覚めてすぐに
これを書いている
その時
自分が鏡に映らないことが不思議ではなかったことに
こだわっている
ひげを剃っていたのはほんとうは誰なのか?
それから、核心は
(気が違ったようなことをいい出すが)
誰が夢をみたのかということだ
今、背筋が寒い

哲学は怖いぞ

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