ぶらぶら人生

心の呟き

篠田桃紅著『墨いろ』

2018-11-08 | 身辺雑記
         篠田桃紅著『墨いろ』
   (2016年10月4日・株式会社PHP研究所刊)
※ 旧版は、1978年に出版されている。したがって、作品はみな、作者65歳以前の作品である。

        
          カバーつき表紙

        
         カバーを取り外した表紙

         
      「墨いろ」 の章(篠田桃紅さんの書)


 世の中の、尊敬に値する人物を数えれば枚挙にいとまないが、最近書籍を通して知る人では、その筆頭に篠田桃紅さんをあげたい。
 私自身は、桃紅さんの芸術作品については、本の上でしか見ていない。個展を見たいと思うが、もう多分果たせないだろう。
 書籍に掲載の作品でみる限り、その表現力や墨色の妙など桃紅さんならではの独自の世界を感じる。簡単に模倣など不可能な作品である。
 しかし、私が心打たれるのはその芸術的な活動よりも、その生き方と、文章力である。
 私が読んだ著作はわずか三冊であり、他に対談集一冊を読んだだけなのだが、本を読むごとに、これほど上質の文章は少ないのでは………と、思う。桃紅さんの心身の奥深くに浸透した教養の豊かさが、その泉からひとりでに湧き出るように、力を秘めた漢語そして奥ゆかしい和語が、エッセイを限りなく魅力的なものにしている。

 この本の章立ては、[墨いろ][身のまわり][不二][拾捨][桃紅李白]になっていて、桃紅さんの様々な体験が記されているのだが、どの章、どの一文を読んでも、こころを揺さぶられるばかりだ。
 作者の心と、その真髄を伝える文章の力が、読者の心を打つのだ。

 この本は、しばらく施設の机の上に置き、折々、ページをくって文章を味わいたいと思う。

 作者篠田桃紅さんは、1913年3月の生まれ。
 私は、1933年の1月生まれ。
 ただ今、105歳と85歳。
 日々、老いと向き合い自らの信念もなく、ただゆらゆらと生きている私にとっては、範とすべき人である。
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