ぶらぶら人生

心の呟き

生命力 1 (小さな排水管の中に)

2007-05-10 | 散歩道
 散歩の途中、眺めることに主眼をおいて歩いていると、思いがけないものに、よく遭遇する。
 何か気がかりなことがあって、気持ちがもやもやしているときには、人間はそこに存在するものも見えなくなるようだ。生きているかぎり、悩みから無縁になることはできないが、朝の散歩のときだけは、できるだけ、心をかっらっぽにして歩くように努めている。幼い日の遠足さながらの、天真爛漫な気持ちにかえり、虚心坦懐を旨として。
 心を空にしていると、ものがよく見えてくる。

 おや、まあ!
 と、立ち止まると、コンクリートの側壁に、スイバが奇妙な形に伸びて、壁に張りついているのだ。側壁の排水管にたまったわずかな土に種がこぼれ、一つの命を誕生させ、無事に成長したものらしい。
 植物の生命力のたくましさには感心する。

 わざわざそんなところを選ばなくても、と思いながら眺める。
 壁面から垂直に伸びようとすれば、安定感を欠くだろう。従って、ひとりでに壁に横たわるような伸び方をしたのだろう。単に、環境への順応にすぎないかもしれないけれど、その知恵もすごい。
 見方によっては、巧まざる、芸術的な面白さがないともいえない。
 こんな取るに足りない瑣事が、散歩を楽しませてくれる。 
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