ぶらぶら人生

心の呟き

弾ける笑顔

2015-12-10 | 身辺雑記
 <お城のおばあちゃん>十河博子さんは、かなり前から話題の人らしい。
 が、私は知らなかった。
 先日8日の夕、地方ニュースを、見るともなくつけていたテレビから、十河博子さんのことを知った。

 四国の丸亀市にお住まいの方である。
 1936年生まれとあるから、私より3歳お若い。
 裁判官である父親の転勤で満州に渡り、敗戦後は引揚者としての苦労体験もなさった様子。
 ご主人は医師であり、2男1女のお子様もいらっしゃる。
 が、ご主人が先に亡くなられ、哀しみから立ち上がるために、お城のスケッチを始められたようだ。
 68歳の時から…。
 以来、お城の、十河さんの周辺には、多くの人が集まるようになり、ひとりでに「お城サロン」ができたという。
 年間、1万2000が、<お城のおばあちゃん>を訪れるというから、すごいことだ。
 日本各地から、さらに他国からも来訪される方があり、様々な方々との交流が続いている様子だ。
 
 丸亀には、二度訪れている。
 最初は遠い昔のことで、四国を旅していて、ぶらりと下車したのだった。
 二度目は、駅前に、<猪熊弦一郎現代美術館>ができてからである。
 そこを訪れる目的で、丸亀に下車した。
 そう遠い過去のことではない。(その時、お城を訪れていれば、十河さんにお会いできたのだろう。)

 ブログにも書いたはずだが、正確な年月日や何を書いたかも、思い出せない。
 ただ入口から、猪熊源一郎の世界に迎えられた印象は強く残っている。
 レストランで食事をし、中庭の壁面を流れ落ちる<水の景>を眺めたことなども、覚えている。
 二度とも、小さな丸亀城の姿を、はるかに眺めただけだった。

 十河博子さんについての紹介をテレビで見た夜、PCを開け、本が出版されていることを知って、早速アマゾンへ注文した。
 

 今日は雨が降り、終日黄昏のようなお天気であった。
 そして、心もメランコリーだ。
 その上、目の調子がよくない。
 白内障の手術前の状態に戻った感じで、ものが鮮明に見えない。(多分、天候と体調のせいであろう。)
 
 ぼんやり過ごしているところへ、注文していた本が届いたのだ。もう一冊の『もう戦争がはじまっている』(辺見庸著)と一緒に。
  『お城のおばあちゃん こころの絵手紙』 (KADOKAWA・2015年8月28日刊)を、早速開いた。
 そして、十河博子さんに、この本でお会いした。(写真) 

    
      表表紙             裏表紙

 本の表と裏、どちらの十河さんも、弾けるような笑顔だ。
 中にも、10枚近くの写真が載っている。
 みな、笑顔、笑顔である。
 どんよりした気分が、吹っ飛んだ。
 (真似はできないけれど、私もせめて、ほほ笑みを忘れないよう生きたいと思う。)

 絵がお上手だ。
 どことなく、素人ぽくて、素朴なところがいい。
 添えられた言葉が、決して説教じみなくて、心にしみる。
 だからファンが多いのだろう。

 今なお、亀山城の、十河さんの周辺には、しみじみとした対話や笑顔の弾ける時間が流れているに違いない。

 絵手紙の前後に添えられた文章を読み、お城のスケッチや絵手紙を、しばらく楽しだ。
 その中から、私が一枚いただくとすれば、<赤(色を帯びた)チューリップ>の絵だ。
 それには、

   今日、今を大切に
   できることをする 


 という一言が添えられている。
 今の私に、一番似合った言葉である。     
コメント
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