ぶらぶら人生

心の呟き

一泊二日 周遊の旅 4 (江川沿線の風景)

2009-05-26 | 旅日記
 小さな旅を計画したとき、天気予報によると、好天に恵まれるはずであった。
 が、23、24日の二日間、すっきりとした青空は広がらなかった。
 添付した写真が示すとおり、空は薄曇りであった。三次に近づくにつれ、空の一部に雨雲も出て、ひととき車窓に雨滴が流れた。しかし、傘を必要とするほどの雨にはならなかった。
 
 三江線の旅のすばらしさは、風光に恵まれていることである。
 水のある風景はすばらしい。特に川や湖が、私の好みである。
 山と川のある風景、それが三江線である。
 山の緑が、濃くなりすぎていたのは残念だった。もう旬日早かったら、山々が若やいで、さわやかだったであろう。詩人、岡さんの詩句を借りれば、<木々の若葉も もう含羞(はにか)みの色を捨てた>、そんな山になっている。

 紅葉の季節の三江線は、どうだろう?
 秋も、美しいに違いない。
 雪に降り込められた、しんとした眺めもいいだろう。
 しかし、再び、このローカル線を旅する日はなさそうだ。

 川土手のあちこちに、黄色い花が群がって咲いていた。(写真⑤)
 オオキンケイギクという外来種だと、昨年調べて、覚えた植物?
 漢字では、<大金鶏菊>と記してあったような気がする。

 沿線の植物で目立つのは、卯の花であった。
 山が迫りくると、車窓に、白い花が飛び込んできた。
 栗の花も、咲き始めた様子。
 緑の葉っぱの中に、白い葉を混じえた植物もあった。
 ハンゲショウ? ではないかしら?
 出雲の荒神谷で、初めて、その名を覚えたのだが、同じものかどうか?

 
 植物の名前を知ってなんになる?
 ブログを書いてなんになる?
 老化の防止くらいには役立つだろうか?
 生活の一つ一つの意義を問い質せば、なんだか曖昧模糊として、
 答えらしい答えが得られない。
 命があるから生きているだけのような、
 味気なさに打ち沈みながら、
 かといって、
 人のため、社会のために役立つような生き方もできそうになく……
 
 風景と一緒に、私のとりとめのない思念も、流れ去る。
 結局は、
 車中で出逢った幼子のように、無心に、邪気なく生きていてば、
 それでいいのかもしれない。
  
 <自然の風景>ばかりでなく、
 私自身の<心の風景>にも、
 ゆっくり向き合える、
 それこそが、旅の意義? かもしれないのだ。


       ①

                 ②

       ③

                 ④

       ⑤

                 ⑥
コメント (2)
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一泊二日 周遊の旅 3 (停車時間に)

2009-05-26 | 旅日記
 三江線は、走行距離118.9キロのローカル線である。
 私の乗った午後の列車は、乗車時間が3時間39分。
 <のぞみ>に乗って東京を発ったら、岡山に楽々着ける時間と同じだ。
 いささか時間がかかりすぎだと思っていたところ、二駅で、随分長く停車した。
 浜原駅と口羽駅と。
 浜原で9分、口羽では15分停車した。
 乗客は、ぐっすり眠っている坊や以外、みな立ち上がってホームを歩いたり、緑の空気を吸ったりした。
 浜原駅に止まったとき、私も下車し、乗車している車輌をカメラに収めた。(写真①)
 車体の左上の隅に、<三次>と行き先が示してある。
 
 私は、大昔、三江線の列車で、浜原の一駅手前の粕淵に下車したことがある。
 その駅近くの山間に湯抱温泉があって、そこに一泊したのであった。
 多分バスに乗って湯抱に入ったのだろうと思うけれど、詳細は思い出せない。宿泊した旅館も。
 ただ、宿から歩いてゆける距離に、斎藤茂吉の歌碑があった。
 記憶が曖昧であるけれど、歌碑の歌は、こここそ人麻呂の終焉の地だと詠っていた。
 人麻呂の最期の地については諸説があるようだが、柿本人麻呂の研究者でもあった斎藤茂吉は、歌碑に次のような歌を書き残し、自説を主張していたように思う。

  <人麻呂がついの命を終わりたる鴨山をしもここと定めん>
           (覚え違いの箇所があるかもしれないけれど…)
 
 三江線にまつわる思い出といえば、粕渕、湯抱温泉、茂吉の歌碑のみ。
 そこから先は、初めて辿るコースであった。

 浜原での停車中、運転手に、県境の駅はどこかと尋ねてみた。

 <㋑○○㋛(私の耳には<イタバシ>と聞こえたが、正しい地名は伊賀和志(いがわし)であった)で、一度広島県に入るけれど、また島根県を通り、香淀(ごうよど)から先は広島県になるのだ>と。

 山間を縫うように、くねくねと奥石見から奥備後へと三江線は走っているらしい。

 二度目の長い停車は、口羽駅であった。
 ホームに下りると、名所案内の看板があった。(写真②)
 この山間の川には、ゲンジボタルの飛ぶ、幻想的な静寂の地があるらしい。
 看板を見ながら佇んでいると、すぐそばの青田で、蛙が鳴いていた。
 さすらい人の寂寥を覚えた。

 少し離れた位置に、朱色の棒が立っていた。近づいてみると、10センチ刻みの印がつけてあった。80センチまで。
 積雪の深さを知るための標識であろうか。
 
 なんでもない、どうでもいいものとの出会い、それもローカル線の楽しさかも知れない。
 作木口(さくぎぐち)を出てしばらくすると、それまで喘ぐように上り続けていた列車が、ゆるやかに下り始めたように思った。車窓に見える川の幅も広がりを見せ始めた。県境を越えた様子である。
 と、間もなく到着した駅が、香淀(ごうよど)であった。
 いよいよ広島県入りしたのであった。 


      ①

               ②

      ③
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