ああ、勘違い

「昨日、知人の初舞台を見に行ったんだ。初日の夜の部。」
「夜の部ってことは昼の部もあったのか？」
「そうだよ。」
「だったら初舞台じゃないぞ。」
「そういえばそうだな。でもそんなに変わらないだろう。」
「会場へは迷わず行けたのか。」
「前売り券に同封されていたパンフレットに地図が載っていたんだ。駅の出口から真っ直ぐ行けば着くように見えた。」
「見えた・・・？ちゃんと地図の通り行ったのか？」
「ちゃんと見ながら歩いたよ。それらしき場所を見つけた。名前は合っている・・・途中まで。ただ、チケットには１ｓｔと書いてあるのに、そこは２ｎｄだった。それにシャッターが閉まっている。辺りを探しても１ｓｔらしき所は見つからない。仕方ないので２ｎｄの上の喫茶店のおばちゃんにチケットを見せて聞いてみたんだ。」
「それで？」
「１階だって言うんだ。しかもタイミングよく関係者らしき人が来ておばちゃんに『６時半からです。』って言ったよ。開演はその時刻だったし、間違いない、チケットの１ｓｔは印刷ミスと思った。その人と一緒に１階に降りると『ここで待っていてください。』と言ってシャッターの奥へ消えていったんだ。」

つづく