7月13日、COOL JAPAN PARK OSAKA(大阪市中央区大阪城)で、学外公演『夏町』が上演されました。今年度からカリキュラムが変更となった中、150人超の舞台芸術学科3年生が、力を合わせて一つの作品を完成させました。<北垣内 隆一、狭間 翼、神農 雄、古川 知樹>
(写真:COOL JAPAN PARK OSAKAの入場口)
7月12日と13日に、COOL JAPAN PARK OSAKAのTTホールで、「大阪芸術大学舞台芸術学科 2025年学外公演 『夏町』」が上演されました。この舞台は、とある海沿いの街を舞台に、今を生きる若者たちの葛藤を描く物語。
前年度までの学外公演は有志で集まった学生たちによる制作でしたが、今回からは授業のカリキュラムとして実施。150人を超える3年生が、キャスト、技術、舞台美術などの役割を分担し、一つの舞台を作り上げました。
千秋楽の7月13日、会場には、高校生やその保護者、一般の観客など600人ほどが集まりました。
いよいよ幕が上がり、冒頭では、演技演出コース、ミュージカルコース、ポピュラーダンスコースなどの学生らが、全身を使ったダンスと歌を披露。コースの垣根を超えたパフォーマンスで、冒頭から会場を沸かせました。
舞台上には、舞台美術コースの学生たちが連日手作りした、堤防や海の家のセット、神社や一軒家などのジオラマが並べられ、物語に華を添えます。和服など、キャストたちが身にまとう衣装も連日作り上げたもので、世界観を確立していきます。
ある出来事がきっかけで悲惨な状況になってしまった終盤では、舞踊コースのメンバーがバレエを披露。絶望の中、どうにか希望を見出そうとする姿を踊りで表現。普段の舞踊ではない声を出すパフォーマンスにも挑戦し、演技の幅を拡げました。
100人ほどの出演者がいる中、舞台音響効果コースと舞台照明コースのエンジニアたちが奮闘。本番まで動線確保やプログラム構築の試行錯誤を行ってストーリーを進行。キャストのパフォーマンスに時折リアクションを取りつつ、照明や音響卓を操作しました。
カーテンコールでは、全コースの学生が登場。全員がステージ上に立つことができないため、ステージ下にも多くの舞台芸術学科生たちが大集合。今年4月から向き合い続けた舞台の集大成に、客席からは今日一番の手拍子と拍手が贈られ、無事終演を迎えました。
(写真:物語のワンシーン)
後輩たちの活躍を鑑賞した4年生男女4人組。「神主役の後輩の表情が良かった」、「ツギハギ博士が登場したシーンが印象的だった」、「同窓会の場面が心に沁みた」など、各々感想を口にしました。その上で、ある一人の4年生が、「私たちは昨年度学外公演に参加したので、コースを超えた作品づくりの難しさを知っている。今回はその時の倍以上の人数だったので、さらに大変だったと思うが、稽古を重ねて頑張っていたことが伝わってきた」と話し、3年生たちを労いました。
「先輩方の得意分野を活かした演技や演出が面白かった」と話したのは、演技演出コース2年生の女子学生。「私自身のスキルアップにつながるよう、今回の公演を参考にして、これからも頑張りたい」と意気込みました。
放送学科2年の女子学生は、「私はアナウンス音声表現コースで学んでいる。音響や照明の迫力の出し方、大人数での規模感などは、普段体感できないことなので、非常に学びになった」とコメントしました。
「キャストの皆さんがとにかく楽しそうだった」と答えたのは、ミュージカルに興味があるという高校3年生の女性。「私も演技に関するやったことないことでも、楽しんで挑戦できるようになりたい」と続けました。
「台本が完成してないタイミングで配役が決まったため、はじめは私が演じることができるかどうか不安だった」と語ったのは、アクティブな言動が特徴のくるみを演じた、ミュージカルコースの久保杏さん。「稽古の中で、私との共通点に気づくことができ、他コースのみんなと楽しく演技ができた。いい刺激をもらったので、今後に活かしたい」と前を向きました。
舞台照明コースで、照明のチーフを務めた田淵凜々花さん。「美術と音響と照明は、事前準備がほとんどだったので、当日は準備したことがうまくいくかのワクワク感があった。慣れない外部の劇場でプログラムを組み立てたことは、卒業後にも活かせる貴重な経験を積めたので非常に良かった」と満足そうに応じました。
間近で3年生たちを見守った、同学科教授で作曲の中村康治さんは、本番の舞台を「壮観」という2文字で振り返りました。「プロの世界でも、100人近くがステージに立つことはほぼ経験したことがなかった。しかし、主体的にそれぞれの役割を全うし、裏方周りも含めスムーズに動いてくれたことで、とても上手くやってくれた」と舞台芸術学科生たちに感謝を伝えました。そして、「今回の経験を糧に、来年度以降参加する学生たちがよりやるべきことに注力できる仕掛けを作りたい」と授業のブラッシュアップに意欲を見せました。
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了
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