ベスト・オブ珍客

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関門橋です。
写真がちょっと曲がっていますね。やはり私の商売と同じ右肩下がり・・

この橋を渡ると門司、小学校の修学旅行でこのトンネルを歩いて渡ったのを思い出します。

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　さても、さても・・・
落語の「酢豆腐」じゃないけど、メニューにないものを注文するお客がたまにいる。

先週の金曜日の事。
ゴマ塩頭の短いスポーツ刈りのヘアに、白の丸首のTャツ、作業用のズボンの腰にタオルをぶら下げ雪駄をはいた、さぁ、歳のころなら70歳くらいか、中肉中背のそんな男性が入ってきて　カウンターに座った。それもカウンターの丸椅子に　雪駄を脱いであぐらをかいている。
イリコさんも私も始めてみる顔だ。
「コーヒー」といって「あ！サンドイッチも」という。
「ミックスサンドでよろしいでしょうか？」「あぁ、辛子を効かせてくれ。」
いやに眉毛が濃い。その下のくぼみの中の奥目は細い。
そして物を言うたび口に中が空洞になって舌が見える。どうも糸きり歯一本しかないみたい。

サンドイッチとコーヒーをお出しした。
「このサンドイッチ　一口大に切ってくれ」
「え？これを小さく切るのですか？」
「一口大に切ったら、箸もくれ」
「フォークじゃなくて　箸ですか？」
「箸だ。」
「うまく盛りつけられませんがこれでよろしいでしょうか？」と出したのが右の写真です。
割り箸を両手の親指にはさみ、口の中で小さく”いただきます”といいながら、割り箸を割る。そしてサンドイッチを箸でつまみ、歯がないのでもぐもぐしながら顔が半分になるくらいくしゃくしゃと、それでも美味しそうに時々、うん、うん、とうなずいて食べている。
歯なしに食えんものはないとよくいうけど、本当だ。キュウリも、レタスも目をつぶってもぐもぐと食べてる。
椅子にあぐらをかき、両手を合わせる仕草は、長年の習慣なのだろうか。

途中、「ティッシュはないか？」辛子が効きすぎたのか、鼻をズルズルと噛む。
「辛かったですか？」
「いや　これくらいがちょうどいい。」

色々な客さんとの出会いもまた楽しい木馬。
でもサンドイッチのコマ切れを箸で食べたお客さんは初めて。

珍客の中に入る。いやはやなんとも・・・

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