ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

『志ん朝の走馬灯』・・京須偕充著 (ちくま文庫)を読む。(6/15読了)

2009年06月25日 | 本の事
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 ある日 週刊誌の新刊紹介で見つけた。
大好きな志ん朝の本、勿論すぐ買った。

著者はなんでも志ん朝の落語の録音プロデューサーらしい。
志ん朝が好きで好きでたまらなかったんだろう。随所に 尊敬と敬愛を感じる。
そしてずうっと志ん朝を追いかけ、その高座をあまた見聞きしてきた著者だけに、志ん朝の芸の魅力を全方位的に紹介しているのだ。

たとえば「〈志ん朝七夜〉をめぐって」の稿で、こんなことが書いてあった。
古今亭志ん朝が高座へ出る。まずその姿勢がいい。着物が泣いて喜びそうなやや小太りの体型.目鼻立ちの整った容貌。
そして私もいつも思っていた、声が耳に心地よいのだ。

その声を魅力を見事に書き表している。例えばこんなふうに・・・

「高すぎず低すぎず、細めでも太めでもないその声。だが、中音中声に小さくまとまっているのではなく、実に伸びやかで、張らなくても通る。高声と低声--
甲(かん)と呂(りょ)の使い分けも巧みだから、ダイナミクスの幅は広く、声の色合いも変化に富んでいる。」と・・・そして

「声帯の発する音が口蓋、胸郭、そして体全体にうまく共鳴するようだ。だから無理な発声をする必要がなく、声の艶と若さが保たれる。
響きが豊かなのに少しも喧しくないのは、濁りや不純物が少ない声質だからなのだろう。」とも書いてあった。
偉そうだけどファンとしていわせてもらえば 何度聞いても飽きないということは言葉に艶があるからだと思う。

この本を読み そうか、井戸の茶碗の録音にはそのようないきさつがあったのか、とか、枕でお客が笑っているのはそういういきさつがあったのかと、今更ながら、高座を一度も直接見に行けなかったことを悔やむ。
「井戸の茶碗」の収録のとき枕で「風邪をひきまして・・・」といってたそうで このころから体調を崩していたんだとか。

話は少し飛ぶけど、この前 一人旅のとき帰りのバスでたまたま聞いたのは「お直し」
後ろの座席の親父が車の中でずーっといびきをかいていたので、ボリューウムを目いっぱい上げて聞いて帰ったのだけど・・
おなじみの郭噺ね、
牛太郎と花魁がいい中になり、本当はご法度の職場結婚を、お情けで所帯を持たせてもらうのだけど・・・

とにかく枕がいい。
「吉原は金のない若いもんでも行ったといいます。あのう、ひやかしですな、格子窓の間から、花魁が火をつけた煙草を一服すわせて、あがっておくれよ、なんて言います。若いもんは今度くるよ、本当だよ、といって煙草だけ吸って逃げます、いまでいうウインドショッピングですな。」

ま、それにしても今でもこういう本が出版されるとは やはり落語の天才だったのかもですね。

昨日のブログに書いた枕の噺ですが・・
「目病み女と風邪ひき男とよく申しますが・・」崇徳院です。

え?私が言わなくても皆さん知ってた?

どうもすいません。

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