ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

木下順二の訃報に接して。

2006年12月01日 | 四方山話

  

 「風景の氾濫、風景の氾濫」とぶつぶつ言いながら、きょろきょろしていたら、(運転しながらですが・・)はらはらとイチョウの雨が・・

 嘉久志の勤労青少年ホームの玄関脇のイチョウが綺麗に色付いている。
急に曇ったり、またお日様が顔を出したりと、ままならないお天気にタイミングよく日が当たった時だったので、思わずカメラを。

 管理人さんが竹箒で濡れ落ち葉を掃いていたので「綺麗に色づきましたね。」と言ったら「困るんですよ。アスファルトにへばりつくんですからね。」

そういうものなのね。

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 暇に任せて新聞見ていたら、劇作家の木下順二の訃報が出ていた。
傷ついた自分をを助けてくれた与ひょうのためつうは自分の羽で美しい布を織る。しかし与ひょうは悪い男にそそのかされ、布を売って金儲けに走る。

 「自分がもっとも望んでいる事をしようとする、その行為そのものが、自分が、もっとも望んでないものを生み出す。」というのがテーマだった木下順二作 劇団民芸の「夕鶴」を見たのは、20歳前後の頃だったような。

 そのとき主役の「おつう」を演じた今は亡き山本安英の37年に渡る公演は1037回にも及んだと書いてあった。

 私が浜田公演でそれを観たのは、山本安英が公演した舞台の1037回のうちの一回ということだが、 「夕鶴」の舞台演出は本当に素晴らしかった。今でもはっきりと覚えている。

 幕が上がると最前列に陣取っていた私の顔に、独特のあのひんやりした空気があたり、そして暗闇から浮かび上がった舞台装置は、上手に寄ったところにしつらえられた、たった一軒の枠組の家だけ、 青白い照明の光と影のコントラストと音響の効果、そして山本安英のこの世の者とも思えぬ美しさ。 本当に鶴になって天に舞い上がっていきそうで、ただただ息を呑むばかりの舞台だった。 
ラストの紙吹雪で作った雪が舞うシーンは、円錐形のほの青いスポットライトの中で演じる真っ白いつうの姿が、今でも目に焼きついている。(因みに与ひょうは 狂言の茂山 千之丞だった。)

 平和を訴え続けたこの木下順二の一番この世に残したかった言葉。それは、あの戦争にいたった過去を忘れては未来が無い、戦後61年は短い時間ではない、しかし悠久の時の流れの中では「一瞬」とも思える。と記事は伝えていた。

曇り 後雨 時々薄晴れ。 まったりした鈍色の山陰独特の空でした。13℃