〇帰りの新幹線で、図録を見ながら余韻に耽る。
キイロイトリ「コノ トリサンハ イイ」
むすび丸「かっこよかったですね」
日曜美術館(5/10、20:00~NHK教育、再)で今日ちょうど放送中。京都国立博物館の特別展の方で「狩野派の後継者たち」、常設展で永徳と等伯をやってた。京都には仕事で来たのが目的だったから、帰りの途中の時間にちょっとだけ寄って、ほとんど時間がなくて超ダッシュで通って見た。確かに永徳は絵そのものの押してくる迫力のワンアンドオンリーな感じの凄さといえようが、その「後継者」のそれぞれの特徴の違いもよくわかる。例えば山楽や内膳や孝信とかの、その独特のタッチとかも。
だが、それだけではない。桃山から江戸への急激な時代の変化に伴う政治的な勢力の推移と各家との関係とか、特別展の方はまるでダウントン・アビーどころか歴史映画か大河ドラマ(山岡荘八原作「徳川家康」などの感じ。音楽的には冨田勲)を見るような、一種のファミリービジネスの壮大な群像ストーリーになっているところが、(専門家でもなく自覚して見たのは今回ほとんど初めてなような気がする自分にも)凄く面白いのである。そしてラストの狩野探幽の「松に孔雀図」の本物を見る時の心地は、脳内に流れるそのストーリーの影響で感無量になるというか、ちょっと言葉に喩えようのないものが迫ってくる。探幽のデザイン感覚の突出というか、二条城で見ても普通に驚く絵ではあろうものの、今回こういう話の流れで見たから、また格別なんだろう。よく出来ている展示企画だと思った。まあこれだけのものをただ集めるというだけでも相当大変なものなのだが(これは全国巡回展示とかなさそうだな…)、さすが京国博ともいえる。
そして初歩的な話で言うのが恥ずかしいが、桃山時代の美術とか障壁画とかは、教科書とか本の小さい写真や図版程度だと、わからなかった。有名ではあってもその意味をわかっていなかった、というか、見方を忘れていた。やはり「大きさ」や色彩やタッチが迫ってくる本物を見て、実際に生身で空間と質感を体感してなんぼ、であるということを改めて実感した。コンサートや花火と同様、まさにLIVE。優れた作品は「度肝を抜く」力がある。時代が時代であれば、まず庶民の下々の者は一生本物を生で見るようなことはなかったはず。この孔雀さんだって将軍に拝謁する大名くらいしか見られる人はいなかったのでは。そして390年位前に見たその人たちも圧倒されただろうという感覚を、本物が残っているおかげで今見てる我々も何か知ることができるように思う。ありがたいものである。
※BGMつづき:Wildlife / Yellowjackets (「Four Corners」)
狩野山楽の獅子の闊達な線。(20150509)
キイロイトリ「コノ トリサンハ イイ」
むすび丸「かっこよかったですね」
日曜美術館(5/10、20:00~NHK教育、再)で今日ちょうど放送中。京都国立博物館の特別展の方で「狩野派の後継者たち」、常設展で永徳と等伯をやってた。京都には仕事で来たのが目的だったから、帰りの途中の時間にちょっとだけ寄って、ほとんど時間がなくて超ダッシュで通って見た。確かに永徳は絵そのものの押してくる迫力のワンアンドオンリーな感じの凄さといえようが、その「後継者」のそれぞれの特徴の違いもよくわかる。例えば山楽や内膳や孝信とかの、その独特のタッチとかも。
だが、それだけではない。桃山から江戸への急激な時代の変化に伴う政治的な勢力の推移と各家との関係とか、特別展の方はまるでダウントン・アビーどころか歴史映画か大河ドラマ(山岡荘八原作「徳川家康」などの感じ。音楽的には冨田勲)を見るような、一種のファミリービジネスの壮大な群像ストーリーになっているところが、(専門家でもなく自覚して見たのは今回ほとんど初めてなような気がする自分にも)凄く面白いのである。そしてラストの狩野探幽の「松に孔雀図」の本物を見る時の心地は、脳内に流れるそのストーリーの影響で感無量になるというか、ちょっと言葉に喩えようのないものが迫ってくる。探幽のデザイン感覚の突出というか、二条城で見ても普通に驚く絵ではあろうものの、今回こういう話の流れで見たから、また格別なんだろう。よく出来ている展示企画だと思った。まあこれだけのものをただ集めるというだけでも相当大変なものなのだが(これは全国巡回展示とかなさそうだな…)、さすが京国博ともいえる。
そして初歩的な話で言うのが恥ずかしいが、桃山時代の美術とか障壁画とかは、教科書とか本の小さい写真や図版程度だと、わからなかった。有名ではあってもその意味をわかっていなかった、というか、見方を忘れていた。やはり「大きさ」や色彩やタッチが迫ってくる本物を見て、実際に生身で空間と質感を体感してなんぼ、であるということを改めて実感した。コンサートや花火と同様、まさにLIVE。優れた作品は「度肝を抜く」力がある。時代が時代であれば、まず庶民の下々の者は一生本物を生で見るようなことはなかったはず。この孔雀さんだって将軍に拝謁する大名くらいしか見られる人はいなかったのでは。そして390年位前に見たその人たちも圧倒されただろうという感覚を、本物が残っているおかげで今見てる我々も何か知ることができるように思う。ありがたいものである。
※BGMつづき:Wildlife / Yellowjackets (「Four Corners」)
狩野山楽の獅子の闊達な線。(20150509)