昔、新宿のFugetsudoによく通ったものです!

そろそろ先が見えてきましたから、今のうちに記憶を書いておこうと…

何をどうするのか 結論が出た

2013年11月10日 | ファンタジア・その後

 その頃、どう生活を変えればいいのか、何をしたいのか分からないという宙ぶらりんな自分を感じていた。忙しさはあったのだが…。

 君はアメリカに去り、僕のカウンセラーへの転職の道は閉ざされ、チビたちはまだまだ独り立ちできる歳ではなく、僕の庇護のもとにあったし、親父が肺がんで入院と、いろいろなことが重なっていた。

 こんな時、何をすればいいのだ、何が出来るんだろうと考えていた。



 自分の仕事としては責任範囲が広がって、関東の2サイトと関西のサイトを統括していたので本当に忙しかった。部内の仕事だけではなく、各サイトの部長会議でサイト全体の問題やサイトの戦略の企画などを作り、手を打っていくというマネジメント・チームメンバーとしての役割も当然あった。時間は速く過ぎた。君が去って、2年が過ぎ去った。

 しかし、頭のどこかで、このまま統括部長という管理職にいて、僕の将来が描けるものかな…との思いがあった。大体、何か新しいことをやっていないと、僕は落ちつかないのだ。

 そんなある日、社長から全部長へ通知が来た。

 「新しい分野で新しい事業を始める。これにはすべての部門が参画し、積極的に優秀な人材を出して欲しい」とあった。募集対象はSE。仕事はITコンサルティングで、今のお客様と、これからお客様になる可能性のある企業を対象とする新規ビジネスだった。
 勿論、社内部でも極秘の情報だった。

 300人以上のSEを抱えた僕は、対応しなくてはならないと考えた。さて、どうしたものか。今の部門の仕事に支障なく、社員の個人の生活にも影響がないようにするにはどうすればいいか…。彼らの仕事の場所は東京になるわけだし…。

 通知を見たときに、僕が反射的に感じたことは、これはおもしろい仕事だなということだった。新しい世界に踏み出していくチャンス。しかし、お客様との対応が要求されるとなると、かなりのベテランだなと思った。当然、お客様対応能力のある人材を探さなくてはならないと思った。

 コンサルティング部門に同じように参加する他の部門のSEに伍して、僕の部門のSEとして、しっかりやってくれる人材でなくてはならない。おそらく将来、部下のSEのキャリアとしての道の新規開拓になるし、仕事の拡大にもなる話だと思ったからだ。

 コンサルティングの教育は、アメリカ本社の新しい部門が全責任を持っていた。うちの社にはITの技術はあったけれど、コンサルティングの技術は無かったからだ。

 世界中の他社の現役の一流コンサルタントたちを教授にして、世界中からの候補者が参加して、コンサルタント教育が行われることになった。それを修了することがコンサルタントへの選抜の要件だった。ディプロマを取るには、英語が必須だった。

 いろいろ人選を考えた末に僕の得た結論は、まずは僕自身がやってみようということだった。やって見ないことには、本当には分からないというのが僕の思いだった。

 でも懸念があった。それは僕の心臓の病気の問題と年齢だった。遺伝性といわれる心臓の病気のことは何年も前から分かっていたが、症状が出てなかった。医者からは一年に一回の心電図の受診と残業時間の制限がつけられていた。

 年齢は50歳。過激と予想されるコンサルタントの仕事を、若い人と一緒にこなしていけるのだろうかという心配もあった。

 とにかく一度、新しい部門の立ち上げの責任者と会って話を聞こうと決めた。僕自身の可能性も含めて、部下の人選について話を聞こうと決めた。

 僕より若い責任者のMさんは、僕のキャリアを見て、ぜひ僕に…と言った。僕の心臓君の話も、年齢の事も了解してのことだった。僕としても、将来の上長に納得してもらった上での応募は安心だった。

 彼は一方、僕の年齢と経験を、お客様からの当社の新しいコンサルタント事業への信頼を得るための武器と考えたようだ。

 こうして、僕の新しいキャリアが一応決まった。後は、8週間にわたる香港でのコンサルタント教育に僕が対応できるかという問題だった。ホテルに缶詰めで、夜もクラスは開かれた。

 8週間の英語による教育は、本当にタフなものだった。アメリカ人、オーストラリア人や韓国、マレーシア、シンガポール、中国人に混じって、凝縮された教育を乗り切った。このコースに入って、世界中にいろんなネットワークが出来て新しい僕のキャリアが開かれようとしていた。

 同時に、定まらなかった自分の立ち位置がはっきり見えたことでもあった。

 君のいなくなった世界に、新しい自分を見つけ出す機会を得て、宙ぶらりんの感じが消えていった。そして、僕はその世界に飛び込んでいった。
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