夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

大津絵 その7 座頭 

2011-10-20 06:34:44 | 掛け軸
昨日は現場回り・・、職人が少なくなり労務量不足のようです。あまりにも低賃金であり、職人が離職したのが不足の大きな要因です。低賃金は請負側のダンピング受注、発注側の予算不足があります。基本的には請負側の自業自得ということでしょう。この厳しい状況をなんとしても賢者の知恵で耐えて乗り切るしかありません。

ところで円高はしばらく続くらしいです。円高に対して無策な政府はなにも出来ないだろう?? というよなにもしないと完全に海外の投資家から日本はなめられているとのこと・・、まさしくその通りです

日本の企業は円高で収支悪化、海外に進出すると技術の流出、そして海外での洪水被害・・、普通の国民として政府に対して怒りを感じています


本日は大津絵です。大津絵になるとアクセス件数が減少するようですが、もっと大津絵に対して興味を深めて欲しいものです。日本の民画としての代表はなんといっても大津絵です。その絵に込められた意味には面白いものがあります。旅人がその大津絵をお土産として持ち帰ったようです。このようなものが浮世絵を含めて日本から無くなりましたね。おみやげ物も日本全国皆同じで、寂しいことです。




大津絵 その7 座頭 
紙本着色 画サイズ:横245*縦715



大津絵には江戸後期に絵種を十種に絞り、もっぱら護符として売られた時代がありました。文化・文政の頃から徐々に大津絵の主となり、幕末には他の図柄はほとんど描かれなくなってしまったようです。人気は依然高かったものの、初期の風格を失い、美術価値が低いとされることも多い時期です。



座頭が犬に褌を銜えられる様子を描いた図で、目が不自由だからこそ気をつけているはずが、意外なものに足元をすくわれることがあるという風刺画です。




現在ではあまり人気のある絵とは言えませんが、かつては大津絵十種に選ばれるほどで、種類も多く創られています。確かに現代人の感覚で、盲人を嘲笑した絵と取れば、受け入れられないのも無理はありません。ただ、この絵の時代の「座頭」というのは幕府の公認と保護を受けた有る程度の権威を持つ「当道座」に所属する人間であり、庶民にすれば、しばしば悪徳高利業者として描かれることのある「検校」を頭とする組織の一員でした。座頭そのものはその組織の下位の人間であるものの、この絵ではそういった「権威」の象徴として扱われています。





「鬼の寒念佛」で僧を、「奴」で武士を笑い飛ばしたように、この絵で笑われたのはそういった「座」そのものでした。座頭が狼狽する姿は、庶民を省みない権威はいずれその庶民の突き上げをくらうだろう、といった意味を持っています。そのような事情が有る絵ですが、時代の趨勢としては消えるのも致し方ないのかもしれません。

大津絵十種

画題と効用

寿老人(外法と大黒の梯子剃り)長命を保ち百事如意

雷公の太鼓釣り
雷除け

鷹匠
利益を収め失物手に入る

藤娘愛嬌加わり良縁を得る

座頭
倒れぬ符

鬼の寒念仏
小児の夜泣きを止め悪魔を払う

瓢箪鯰
諸事円満に解決し水魚の交わりを結ぶ

槍持奴一路平安道中安全

釣鐘弁慶
身体剛健にして大金を持つ

矢の根
目的貫徹思い事叶う

これら十種の大津絵をモチーフに作られたのが「大津絵節」であり、大津宿柴屋町の遊女が歌い始めたものとも言われますが、定かではありません。大津絵節は大津から京、上方、江戸、そして全国へと伝播していきました。各地で人気を博した大津絵節ですが、旋律・歌詞ともに様々なアレンジが加わり、もとの大津絵節からはかけ離れてしまったものも多いようです。現在でも、「京都大津絵節」や「会津大津絵節」など多くが歌い継がれていますが、下にあるのが元祖「大津絵節」です。

げほうの 梯子剃り
雷太鼓で 釣瓶とる
お若衆は 鷹を持つ
塗笠お女郎がかたげた藤の花
座頭のふんどしを犬ワンワンつきや
びっくり仰天し 腹立ち杖をばふり上げる
荒気の鬼もほっきして 鉦しもく
瓢箪なまずを しっかとおさえます
奴さんの尻ふり行列
向ふ八巻釣鐘弁慶
矢の根男子



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