鍵泥棒のメソッド(2012年 映画)

2019-07-16 00:00:16 | 映画・演劇・Video
主役は3人。雑誌編集長の水島香苗(演:広末涼子)、完璧な殺し仕事人のコンドウ(演:香川照之)、三文役者の桜井武史(演:堺雅人)。内田けんじ監督。

それぞれ無関係に三つの出来事が起きる。水島は相手もいないのに日取りを先に決めて結婚宣言する。彼女の父親が重病で間もなく他界することを知っていて、親孝行のつもりだ。コンドウは例のように完全殺人のあと、汚れた体をきれいにするため、銭湯に立ち寄る。三文役者の桜井は所持金が2000円を割った段階で自殺を試みるが失敗。しかたなく疲れた体で銭湯に行く。



ところが、コンドウが石鹸を踏んで転倒し頭を打って病院に運ばれる。ふと魔が差した桜井は裸で病院に運ばれたコンドウの衣服や所持品を自分のものと交換してしまう。その後、コンドウは病院で過去の意識を失ったことを知り、自分が桜井であると思い込み、汚いアパートで演劇の本で勉強を始める。その頃、水島と出会い、交際が始まる。

一方、桜井はコンドウになりすまし、高級車に乗ったり、高級マンションで生活したり、クッキー缶に隠されていた大金を見つけ、使い始める。

しかし、コンドウ(実は桜井)にかかってきた一本の殺しの依頼電話からストーリーは動き出すわけだ。役者は殺人の計画を練るが、被害者がかわいそうで逃がそうと考えるし、桜井(実はコンドウこと山崎)は水島と一緒にベートーベンのアナログレコードを聴いたとたんに、記憶が復活。大慌てで全員が走り始めることになる。

で、この映画は、ここからが面白いのだが、一見して喜劇的に終わる。殺し屋は実際には今までに誰も殺さず、殺したことにしてターゲットの人間に新しいIDを探して逃がしてしまう。つまり両サイドから依頼料をとるわけだ。不動産取引と同じだ。

しかし、よく考えると、本当に逃がしていたのかどうかは、映画の中でコンドウが語っていたに過ぎないわけだ。なんとなく不安を感じる。こども一人が行方不明のままだ。

日本では、様々な映画賞を受賞したものの興行的にはパッとしなかった。この手の登場人物が実際には日本にいないからリアリティが足りなかったのかもしれない。

しかし、その後、隣のK国でリメイク映画が2016年に公開され、こちらは観客の評判が高かったそうだ。やはり、「できないことでも、目標をたてれば必ず実現すると信じる人」や、「利益を得るためには、周り中に嘘をついてもいいと思っている人」や、「苦しいときには死にたいと口走りながらも、他人の成果を横取りする人」の存在にリアリティがあるからかもしれない。

大阪城失言の分析

2019-07-15 00:00:27 | 市民A
G20終幕間近の記念撮影の席で日本国首相から失言(と認めない人もいるが)が出た。

「大阪のシンボルである大阪城は、最初に16世紀に築城されました。石垣全体や車列が通った大手門は17世紀はじめのものです。150年前の明治維新の混乱で、大阪城の大半は焼失しましたが、天守閣は今から約90年前に、16世紀のものが忠実に復元されました。しかし、一つだけ、大きなミスを犯してしまいました。エレベーターまでつけてしまいました」


これは、かなりの問題発言なのだが、要するに安倍首相は、保守派の中でも復古主義者であるということが透けて見えるわけだ。「きょうがきのうと同じならいい。あしたもきょうと同じならさらに良い。」という考え方だ。妻の責任にしてしまったが、やはり愛国小学校の支持者だったのだろう。

大阪の「今」を象徴するなら、「梅田スカイビルの空中庭園」、あるいは外国人に人気の「黒門市場」ではなかっただろうか。



さて、弱者におけるエレベーターの効能の無視意識については、すでに批判が燃え上がったので、その他の話だが、まず首相が城の設計のことを言える立場なのか?現在の大阪城は大阪市民や大阪企業の献金で大部分がまかなわれている。国ではないわけだ。あえていえば大阪市長なら設計批判発言は可能だろうが、市長は首相の友人(と自分で思っている)なので強く責めない。

「90年前に16世紀のものが忠実に復元された」という発言は、間違い。16世紀にできたのは豊臣秀吉の築城であり(実在期間1585-1615)、大坂夏の陣で天守閣は秀頼、淀君、多くの将兵とともに灰燼と消えた。その後、17世紀になり徳川幕府は秀吉の記憶を大坂の地から消し去るため旧大坂城天守閣跡を土盛して、その上に新大坂城天守閣を建てた(1626-1665)。しかし、こちらも火事で焼失し、その後、昭和になるまで再建されなかった。天守閣が存在していたら幕末の戊辰戦争で、15代将軍徳川慶喜が新鋭の軍艦に乗って江戸に逃げ帰らず、籠城したかもしれない。

江戸時代の大坂城が焼失した時より前に江戸城は1657年に焼失し、再建計画はあったものの、諸般の理由で不要ということで江戸に天守閣は建てられなかったので、前例主義として大坂でも建てられなかったのだろう。

そして、現在の鉄筋コンクリートの大阪城天守閣だが、1931年に建てられたときには、まだ旧大坂城の研究が進んでなく、忠実に再現する気力も予定もなかった。要するに、新しい発想の天守閣のわけだ。外観上は、天守閣の上の方は16世紀型で下の方が17世紀型のデザイン。内装は、まったく軍事的ではない。

そもそも、豊臣秀吉は、朝鮮半島を粉砕して中国本土に攻め込んで、凋落傾向だった大明帝国を滅ぼして日本の都を北京にして天皇には大陸に移住してもらおうと思っていたわけだ。国際会議には不適切と思うわけだ。

外に閉じて中に開く-安藤忠雄初期建築

2019-07-14 00:00:41 | 美術館・博物館・工芸品
東京湯島の国立近現代建築資料館で開催中(~9/23)の『安藤忠雄初期建築原図展』に行く。サブタイトルが「個の自立と対話」という難しいフレーズなのだが、個人的には『外に閉じて中に開く』と名付けてみた。それと、この資料館、行ったことがなかった。順番で言うと、都心にあって行ったことがない博物館を調べていたら、ここで安藤忠雄展が開かれていた。



三菱の施設がたくさんある場所なので、そういう建物だったかもしれないが違うかもしれない。現在は湯島地方合同庁舎の建物とつながっていて、文化庁の管轄のようだ。国立劇場と同じだ。

岩崎庭園方面から入場すると、庭園拝観料400円が必要だが、湯島天神の方から合同庁舎に入ると、無料である。ただし週末は岩崎庭園から入るしかない。

会場内は、そもそも大きなホールのような構造でドーナツ型の円形テーブルと壁面を使って、多くの図面が展示されている。基本的には、平面図、立面図、断面図の原図ともいえるデッサン、そして完成模型があるものもある。もちろん建築費の見積書はない。国立競技場の巨額設計図も、見積り無視だったのは、相手が東京都とか日本国という巨大な財布をもっていたからだろう。



一方、初期の安藤忠雄へ設計を依頼したのは、ほとんどが個人で住宅だった。住吉の長屋-東邸、松本邸、真鍋邸、冨島邸、山口邸、石原邸、上田邸、松谷邸、小篠邸。多くが阪神地区や都内の狭隘あるいは不定形の土地に最大限に居住空間を確保しようということで、コンクリの箱のような外観で、中に空間や光の取り込みをするような構造になっている。

要は、個人住宅なのだから、世間の人に対して開放的で誰でも入ってきていいです、というようなことにはならないわけだ。核シェルターみたいな外観にした反面、内部空間はなるべく広く開放的にしたわけだ。

一方、初期の10年の次に、教会をいくつか手掛けている。六甲の教会、水の教会、光の教会。そもそも教会は、外に開けているのが一般的だ。簡単には入れないのは修道院だ。何人に対してもドアを開きます、というのが普通だ。防空壕型ではいけないのだ。一方、教会の内部は、メリハリをつけないといけない。人民は平等だが神様は偉いわけだ。

本展では1976年から1991年までの図面が展示されているが、その後は公共的な美術館やホール、学校など様々な様態を希求しているようだ。直島の地中美術館は、建物の大部分が地下にあって、その内部は明るく太陽光まで導入しているということで初期の個人住宅の延長のような設計だろうか。神戸の県立美術館は、外にも中にも開かれている一方、公共空間ということで、奇抜さは少ない。

実は、安藤氏本人はどんな家に住んでいるのだろうか、と興味がある。調べてみると、冒頭に書いた個人邸の中の冨島邸(大阪市)というものを買い取って、自宅兼アトリエ兼事務所にしているようで、ネット上に画像がある。それほど情緒があるということではないようだ。

将棋ペン倶楽部通信53号

2019-07-13 00:00:19 | しょうぎ
将棋ペンクラブの連絡誌が届いていた。ペンクラブには何年か前から入っているが、最近の傾向として、将棋研究家の方の質の高い研究成果を読むことができるようになった。今回は、意欲的な調査報告があった。

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執筆者は小笠原輝氏。将棋世界誌で将棋メシの特集をされている方だ。あまり原稿料をもらっていないのか国会図書館で資料を集めて書かれているようで、過去のタイトル戦の行われた宿泊地に足を伸ばして味を確認というよう方向にはなっていない。東禅寺や南禅寺での対局では、精進料理になったのか、違う場合は、「なぜか」というのを期待したい。

将棋ペン倶楽部誌の方では、大山名人の優勝回数の件での疑問点である。問題を整理すると、最近、通算勝ち数で大山名人の数字(1433勝)を羽生九段が超えたということになったが、その少し前に優勝回数で大山名人の44回を羽生九段が抜いた(45回)のだが、この44回という数字が間違いではないかという疑問だ。(ちなみにタイトル数は大山名人80回に対し、羽生九段は99回)

具体的には、昭和23年度に行われた最強者選抜戦で大山八段が丸田八段、松田七段にそれぞれ2勝1敗で勝ち、塚田名人との記念対局を行っている。当時は棋戦優勝者が名人と記念対局を指すことになっていて棋戦優勝にあたるのではないかということ。

次に、昭和26年に行われた時事勝継戦。規定では五人抜き優勝者は本社(時事新報)賞が賭けられ次で名人と対戦するとなっていて、塚田前名人、原田、南口、丸田八段、小堀七段に勝って木村名人と対局している。六人目の松下七段に負け、松下七段がその後も勝ち続け、5連勝した段階で優勝扱いになっている。このため、大山九段は優勝とするべきとのこと。

三つ目の例が、昭和30年の「東西対抗勝継戦」。二番目の棋戦の変形バージョンで、名人が記念対局に出るのではなく、東西対抗の勝ち抜き戦で東軍西軍のいずれかが全滅した後、負けた方の援軍として、勝ち残った相手と対戦することになっていた。そして時の名人は大山名人その人だった。この年の大会は西軍の熊谷七段の5連勝での優勝もあり、最後に花村、坂口、広津、板谷、大野と5人も勝ち残っていた。ということで、東軍のしんがりで出場した大山名人は、この5人を全部負かしてしまったわけだ。熊谷七段の5連勝が優勝扱いなら大山名人も優勝とすべきということだ。

つまり小笠原氏の調査によれば、大山名人の優勝回数は47回であり、まだ45回の羽生九段には抜かれていないことになる。追い越したと思ったら、まだだったというのは、なんとなく気が重くなりそうなのだが、それを目標とするなら引退時期が先送りになったということになるはず。ちょっと気がかりな記事である。


さて、6月29日出題作の解答。






▲1四角から▲2三銀で下に落とす。△1三玉は▲3一角成。捨て駒で決める。

動く将棋盤はこちら


今週の問題。



駒が余らないように、攻守協力のこと。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見を頂ければ正誤判定いたします。

肝付町からお礼品届く

2019-07-12 00:00:21 | あじ
肝付町といってすぐに場所がわかる人は多くはないだろう。平成の大合併で二つの町が合併してできた町である。鹿児島県の東側の大隅半島の中部にある。有名施設は内之浦のロケット発射場(JAXA)である。内之浦町と高山町が合併したのだが、実は他の二つの町も統合する計画だったが、結局、他の市に横取りされ、小合併となった。こういう裏切り事例は全国にたくさんある。二股交際である。

そういう予想外の展開になって、町名を決めるのも難航し、昔、ここに住んでいた武将の肝付氏の苗字を使うことになった。肝付より有名なのが二階堂家で自民党の幹事長をした二階堂進氏がご子孫だ。二階堂町にしてもよかったような気がする。いずれにしても人口は1万5千人ほどに急激に減少中。牧畜が盛んで、人間の数に牛と豚の頭数を足せば市に昇格できたかもしれない。

実際に東京からロケット基地まで公共交通機関で行くとどれくらいかかるか調べてみると、まず東京駅を8時半ごろ出発し、羽田空港から鹿児島までJALで2時間半。鹿児島空港着が12時過ぎ。空港からバスで鹿児島中央駅に着くのが13時頃。JRは30年以上前に廃線になっているので、バスに乗って2時間、15時20分に鹿屋市に着く。まだ昼食をとってないので食事をどうやってとるか悩むのだが、空港か駅かで何か購入すべきだったことに気付くだけかもしれない。そして16時過ぎのバスに乗り換え、1時間半、17:36分に内之浦に到着するが、そこは漁業の町であって、ロケット発射場はまだ先である。そこから歩いていくしかなく、徒歩50分で18時半頃たどり着く。不便な場所にあるのは、将来ミサイル発射基地に改造したときに敵国のスパイが近寄りにくくしてあるのだろう。



今回は牛肉切り落とし1500gを、お礼品として希望した。

牛肉が届いて、さっそく500gいただいたところで、鹿児島は大雨に見舞われ、肝付町も警戒レベル3で避難準備情報が出ていた。幸い人的被害はなかったようだ。

肝付町の観光資源といっても、メインはJAXAの発射施設なのだが、特に観光施設ではないので、通常は楽しいことはない。小さな声で語られるのは「人間魚雷」発射基地跡が町内にあることだが、語るべきことは多くないようだ。考えてみれば沖縄戦で米軍に負けた後、日本列島の南側から米国海軍が軍艦でやってきたときに、隣市の鹿屋からは特攻隊、肝付からは人間魚雷ということだったのだろう。

ところで、内之浦には宇宙人が住んでいるということになっているそうだ。「はやぶさ」をはじめとして各種ロケットが宇宙に打ち上げられるのを見て、小惑星に住む宇宙人が発射基地を調べたところ、魚や肉の値段が安く住みやすそうだから、レーザービームで発射場を壊滅させるより、移住した方がいいと考えて、こっそり地球人の姿に変装してアパートなどに分散して住んでいるらしい。見分け方は、年齢と生まれた年の干支を聞くといいらしい。みずがめ座とかてんびん座とか言い出したら宇宙人だ。東京天文台に相談窓口があるそうだ。

また、Wikipediaによれば肝付町出身の有名人として、二人の女優があげられていた。

一人目は、早乙女愛。映画「愛と誠」で西城秀樹の相手役として4万人の中から選ばれデビュー。翌年、「港のヨーコ・・・・」に主演。横浜か横須賀出身と思っていたが、はるかに予想外。移住先の米国で51歳でなくなっている。

二人目は榮倉奈々。現在進行形の女優で、主演作数々。「アントキノイノチ」といったシリアスな映画が多い。アクションやコメディはやらないようだ。

有志連合で湾内護衛といっても・・

2019-07-11 00:00:51 | 市民A
日韓で日本海VS東海の呼称で争っているのと同様に、イランとサウジ等とはペルシャ湾かアラビア湾なのか大問題になっていて、サウジに行って「ペルシャ湾」はご法度だし、イランに行って「アラビア湾」もご法度だ。危険回避のために、ガルフとか言う人が多い。

先だってのタンカー攻撃はそもそもガルフの外側だ。

米国中心の有志連合で船舶防衛しようということになりかけているが、イメージが沸かない。そもそも魚雷とかミサイルというのは横から飛んでくるものなので、どうやって防ぐのだろう。大型タンカーの全長は400mもある。二ミッツクラスの空母でも330m、いずもだと250mなので、船体で盾になって止めようとしてもはみだしてしまう。抑止力というのは反撃能力ということ。

さらに、この地区からの原油輸送先で一番多いのは中国。あとは日韓、インドといったところだろうか。有志連合といっても組みにくい相手が多い。

また、向け先の国とタンカー会社の国籍と一致しないこともある。

前のこの地区の紛争の時には、船員組合が、ガルフ北部には行かないと宣言したため、今回も同じになれば事実上、タンカーは湾外で待機し、サウジ等から送られた別のタンカーで瀬取りすることになるだろう。

また、タンカーにも中の原油にも保険が掛かっている。船舶と自動車の保険の差だが、自動車の場合、車齢が上がれば一般的に車両保険の額が下がる。残存価値分しかもらえない。一方、船舶の場合、100億円の価値が下がっていても再調達価額といって保険料をたくさん払えば100億円かけることもできる。要するに、船主にとっては必ず沈むならそれの方がいいわけだ。

おそらく、いよいよ危なくなると、輸出できずに困る湾岸諸国がそれぞれタンカーを手配し、ホルムズ海峡の外側で瀬取りということになると思う。

ヒューゴの不思議な発明(2011年 映画)

2019-07-10 00:00:00 | 映画・演劇・Video
アカデミー賞をたくさん受賞した映画。原作はあるのだが、映画のために書かれたかのようにはまっている。

父を亡くしたヒューゴ少年は孤児院送りにならないように必死に生きているのだが、人生の一つの目的は、父親の生前に修理を続けていた機械じかけの人形を動かすこと。その部品を非合法に集めているうちに偏屈なジイサンに捕まって、組み立てノートを取られてしまう。

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実はこのジイサンのところにナイスなお嬢様がいるのだが、実はこの娘も孤児だった。そして映画らしく、この少年と少女は機械人形を動かすために冒険を始めるわけだ。

そして映画らしく、さまざまな困難と幸運が起きる。おおげさにいうと「人生はあざなえる縄のごとし」ということになり、生死の境をさまようことになる。捕まると孤児院に行くということが懲罰的に描写されるのが少し問題のような気がするが、欧米ではそうなのだろう。コネ社会だからだ。

そして、最後にジイサンの本当の身分が明かされ、映画時代が始まった当初の映画王だったことがわかる。

ところで、一つだけわからないのが、途中でヒューゴ少年がある人物から「ロビンフッドの本」を渡される。少年は、これは何かの理由があると推測するのだが、実はよくわからない。同じような疑問を持った人も多いようでいくつかの感想に書かれていた。

この人物も実は何のための登場なのかよくわからない。個人的推測だが、この映画の続編のための布石なのではないだろうか。といって、今のところ続編はないのだが。

好都合の多い世界遺産、百舌鳥・古市古墳群

2019-07-09 00:00:16 | マーケティング
堺に行ったのは2017年の10月で、それから2年足らずで、「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産の認定を受けた。自分が行ったところがこういった名誉を得るというのはなんとなく嬉しい。逆に、自分が行ったところで事故や殺人事件があったりすると、嫌な気分になる。もちろん後者の方がずっと多い。



堺というのは実は外国人観光客にとって好都合なのは、関空と大阪の間にあることだ。関空から難波までは南海電車、また天王寺まではJRと二種類が選択できる。さらに体験したことなのだが、JRの堺駅と南海の堺駅とは離れていて、街の構造も両者に分かれている。観光地も古墳群はJRに近いが、他の観光施設は南海に近い。両駅間を歩くと1時間はかからないが30分以上必要。

ところが、この離れているということをメリットと考えれば、関空からJRで堺に行っていわゆる仁徳陵を平面的に見てから、高層ビルの堺市役所の展望階で鳥瞰的に見て、それから南海方面の見どころを回れば、そのまま南海電車で難波の町の混沌に潜り込める。逆ルートだと最後は天王寺の町の混沌に潜れる。同じ道を戻る必要がないから好都合だ。

さらに、このままだと堺市は消滅して大阪都堺区になるので、市役所も人員整理となって、展望室のある市役所も高層階は自由に改造できるだろうし、不要となった市役所職員も公務員を辞めてガイドになれば、いくらチップを受け取っても気にすることもなくなる。

では、堺の古墳以外の観光地とは何かというと、



1. 千利休の生家跡
千利休とか茶道とかいってもなかなか観光客には理解は難しいが、スターバックスの社長とは違うわけで、ドリンクとしての茶を、ああいう芸ものにしたわけだ。さらに時の権力者秀吉と対立し、殺されてしまうわけだ。権力への抵抗者の切腹。



2. 与謝野晶子の生家跡
与謝野晶子の出生地は、千利休の出生地のすぐそばだ。要するに大阪から和歌山に向かう街道沿いが町場になっていた。呉服屋の娘が女流歌人になった。この歌人というのがわかりにくい。女性詩人と一言ではいえないのは、日本には詩の形式がいくつもある。俳句、短歌、詩にしても洋式もあれば和式もある。わかりやすく言いかえれば、権力に抵抗する女性運動家で反戦詩人とすればいいだろう。



3. 鉄砲鍛冶屋敷
いわゆる死の商人だ。ポルトガル人が、難破した船を助けてもらい、種子島の実力者に2丁の銃を高額で売りつけた後、日本中に鉄砲が普及した。過去の歴史のことなど気にしない現米国大統領のような信長が、刀よりも馬よりも兵員よりも重要に考えたのが鉄砲。堺は大生産地であり、千両箱と引き換えに箱詰めの鉄砲が取引されていた。江戸時代になると、戦争は終わり銃の需要が激減したが、活路を東アジア一帯に求め、日本史上最大の武器輸出時代を謳歌していた。鎖国令との関係はよくわからない。



4. 阪田三吉の生家跡
実は将棋の名人といっても亡くなってから名人と認定された。将棋のイメージ、名人のイメージ、なかなか理解は難しい。さらに彼の資料室は「人権歴史館」の中にある。そう、非差別出身者だった。といっても大人になってから後は、将棋の強豪ということで、実力の世界で生きたわけなので、「人権」を売り物にするわけにはいかないだろう。例をあげれば米国の南北戦争のあと、キング牧師の時代の公民権運動までの「奴隷ではないが差別があった時代」のようなことかもしれない。英国などは今でも差別が露骨に残っているのだから、人権の切り口で彼を見るのは無理なのかもしれない。といって、将棋界の東西戦争とか朝日毎日の戦いとかさらに理解不能。まあ各種権力に抵抗する気持ちで戦っていたのは事実なので、なんとか堺有名人に入れてもらいたい。

ところで、世界遺産認定で、観光客が急増して、その分、市の財政が豊かになって、やはり大阪都構想は要らないとか言い出すのかもしれない。

包括申請から個別申請になって笑う人

2019-07-08 00:00:06 | 市民A
日K関係が、こじれてきたのだが、大統領が変わった時からの流れを考えれば想定内なのかもしれない。なんとなく、何回も独立運動をしたがっているのかなと思ってしまう。世界に国家は200ほどあるのに、米中日ロといった大きな国しか眼中にないようで、小国との関係をコツコツと築くということをしないので、いつもコンプレックスを感じているのだろう。

今回のフッ化水素他の包括輸出申請終了の件で、きわめてマイナーで些少なことなのだが、陰で大喜びしている会社群があることに気付いている。

以前、通関業もやっている会社にいたので気が付いたのだが、通関業というのは浜辺に小石を築くような仕事で、通関書類作成と税関への通関申請、積込みの確認などの仕事で、一件あたり数万円の利益しかない。法律で単価が決められているわけだ。質では稼げないので量で稼ぎたいのだが、大敵がある。それが「包括申請」だ。今後1年とか2年とか3年で、同じ製品(商品)を同じ相手に合計〇〇個(〇〇円)輸出するという申請をすると1回で済むわけだ(細かく言うと包括申請の内数であることを報告するのだが)。

そうなると数年間で1件の輸出申請なので、数万円の利益で終わってしまう。もっとも包括申請のメリットの一つは通関手数料が少なくて済むということなので、立場の違いそのものである。

おそらく日本では、輸出者の通関を行う通関業者が今までの何百倍の利益を得るような気がする。頻度がよくわからないが、毎週出荷していたとすると、年間50回、3年で150回だ。といっても一輸出先当たり数百万円ということだろうけど。臨時ボーナス支給だろうか。K国の輸入会社の通関業者も儲かるはずなのだが、たぶんK国では、儲けると袋叩きになるのではないかと少し心配。

もっとも、すぐにこの措置が終わったり、そもそも輸出入がなくなると、ぬか喜びということになる。

野球発祥の地が学士会館?

2019-07-07 00:00:36 | 美術館・博物館・工芸品
先日、学士会館に行った。少人数の宴会なのだが、学士会の会員が予約すると、特典がある。そして、学士会の会員になるには、二つの条件がある。一つは旧帝大(東大、京大、東北大、北海道大、名古屋大、大阪大、九州大、京城大、台北大)の卒業生であること。もう一つは、会費を払っていること、である。したがって私は会員ではないので、よく知らなかったのだが、神保町の駅から歩いていくと、玄関の前に巨大な手首とボールが見えてきた。



逆光なので、うまく写らなかったのだが、ボールの握りは4シームボールだ。もっともナックルボールの握りを作ると、大風の日に本当にボールが飛んでいくかもしれない。

なぜ、野球発祥がこの地なのか。時代を明治5年の学制施行に遡る。この場所にできたのが開成学校。のちに東京大学となる。この開成学校にホーレス・ウィルソンさんという教師が米国より赴任し、学課の英語のほか野球を教えたそうだ。実は、ウィルソンは大学を卒業していなかったそうだ。

そして、翌1873年には、グラウンドも完成し、対外試合も行われている。もっとも野球の場合、誰かと試合をしないと野球をやったことにはならない。学生(日本)と対決したのはお雇い外国人チーム。実は外国人チームは選手が8人しかいなくて、そのまま試合をしたそうだ。結果は、11点(日本人)×34点(外国人)。何の種目なのかよくわからない。8人の相手に34点も取られたわけだ。

まだ、MLBもなかった時代のことである。

主将か王将か

2019-07-06 00:00:58 | しょうぎ
最近、泡坂妻夫氏の「生者と死者」というミステリを読んだ。新潮文庫への書下ろしミステリだが、本には特徴があって、何ページかずつまとまって袋とじになっていて、袋とじのまま読むと短編ミステリだが、袋を切り開いてから読むと長編ミステリになって、しかも別の結論に至るという手の込みようだ。



その中で、天童市に関係のある人物が、仲間とある方法で公開の場で秘密のコミュニケーションを行う場面があり、それが将棋の棋譜の速記法を用いるわけだ。

棋譜の速記法とは、王将=「O」、飛車=「ヒ」、角行=「ク」、金=「ヘ」、銀=「ヨ」、桂馬=「土」といったもので、「きょう金子氏は銀雲寺に行く」というようなことを、将棋棋譜速記法を利用して伝えるわけだ。いわゆるダイイングメッセージ的な発想だ。

ところが、本の中では、王将=「O」ではなく、主将=「O」とミスプリントされているわけだ。実際には本文中に「O」は登場しないので何も問題はないが、少し気がかりだ。そもそも王将の王というのは「おおきみ」ということで天皇のこと。ゲームの趣旨からいって大げさすぎるような気がしていた。天皇が討ち取られるとなると、「もう一丁」というわけにはいかない。主将ぐらいがピタリの気がする。あるいは、今では封じられた記憶になっているだけで、本当は王家の交代というのが起きていたのだろうか。


さて、6月22日出題作の解答。







初手に金打ちが最終手につながっている。なお、攻め方の5八金は不要駒だった。攻め方の7九歩が玉型の7八歩に変われば必要になる。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。



わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。

ステーキ丼150g

2019-07-05 00:00:13 | あじ
150gの牛肉で驚くこともないのだが、横浜駅の近くにあるヨドバシカメラの地下にある「The Meat Market」の中に入っている「Block」というステーキ店のメニューにある『ステーキ丼』の牛肉の量である。たとえば普通のカツどんでは80gから100gなので、150gというのは十分に多い。

焼き加減はレアだ。最近、日本の成功事例を米国に持ち込んで大儲けを企んだ新興ステーキチェーンが大失敗した。アメリカ人はウェルダンしか食べないから、レアで焼けば大儲けと思っていたようだ。



ところで「Block」のレアのステーキ丼だが、カツオのたたきのような食感である。まあ、肉好きは細かなことは言わないのでこれで十分だろう。価格は980円だが、8%の消費税がかかり1058円。内税と外税ではかなり感じが違う。消費税10%となれば、もっと差額が増えてしまう。この肉料理ばかり提供しているエリアでも何軒かは増税倒産のようなことになるのだろうか。「Block」は秋葉原のヨドバシでも地下に店舗がある。

このヨドバシ横浜店だが、数十年前はデパートの三越だった。そして地下には食料品があり、アンデルセンというパン屋があり、調理パンとしてハムなどのサンドウィッチを買って食べていた。その後、三越は、原因が不明な謎の奇病である「三越病」にかかって次々と消えていったのだが、なぜかハムサンドの場所でステーキ丼を食べるとは、我ながら進歩のなさにあきれる。

キッチン・ブルー(遠藤彩見著 小説)

2019-07-04 00:00:46 | 書評
書名からいって、専業主婦が台所でむしゃくしゃした気持ちをアルコールにぶつけるような陰惨なストーリーを予測したのだが、そうではなかった(短編集の中にはそういうのもあるが)。



6作の短編集。

『食えない女』
 会食不全症候群という奇妙な心の病を持つキャリアウーマンの話。人前で食事をすることができないという奇妙な症状のため、仕事も恋愛も相当無理がある。昆虫を食べるのが好きという男性に巡り合うのだが、今後困難が予想される。

『さじかげん』
 料理が得意な姑とからきしダメな嫁の話で、仕方なく生徒として料理教室に行くが、そこにいたのは、料理の腕前は講師並みなのに自分が下手だと思い込んでいる生徒で、講師があまり教えてくれないと騒ぎだすわけだ。
 確かに、料理というのは食べる立場でいえば、複雑な調理の方が好ましいが、作る立場でいえばまったく逆。人間が野生の肉食動物でないことの宿命として、料理の腕前という話がなくなることはないだろう。
 嫁と姑問題もなくならないような気がする。姑がリタイアしたとたんに張り切りだして、いままでのぐうたらは仮病ではなかったのだろうかとの疑問を国民に抱かせることになった例も最近あった。

『味気ない人生』
 気に入ったマンションだったのに、階下の隣人が夜中まで大騒ぎすることによる不眠によってストレス性味覚障害に陥った女性の話だ。
 実際、騒音問題というのは困った問題なのだ。夜は静かにするといっても、昼は外出している人にとって、掃除や洗濯の音はどうしても自然に発生してしまう。また昼は眠って夜働く人もいる。本作では最後に民事調停をあきらめて引っ越しすることになるのだが、またも引っ越し先で騒音問題が起こることだってあるわけだ。もっともそこまで書いたら読者が不快を感じるかもしれないから、引っ越し=問題解決ということにしたのだろう。

『七味さん』と『キャバクラの台所』
この2作はよくわからない。『七味さん』はストーリーが平凡すぎるような気がする。狭い世界での女の争い。といっても殺人事件のようなことはおきない。口喧嘩のレベル。『キャバクラの台所』。キャバ嬢のランキング上位の女性が、酔いつぶれて客に失態を見せる事件が、ちょくちょく起きるようになる。ちょっとしたなぞ解きになっている。

『ままごと』。
 社会とつながりの弱い女性が、ある時、自分の作った料理をブログで紹介したところ、コメントがあり、これに励まされて次々と手の込んだ料理の撮影を続けるのだが、大問題は、その料理を食べる人。特定の男性のために料理を作るから熱意がこもるという理論の元、ボーイフレンドの家で大量の料理をつくるのだが、きれいに盛り付けて撮影が終わるまで食べてはダメ。

段々とブログに熱が入って行くにしたがってボーイフレンドは引いてしまうことになり、その結果、ボーイフレンドの交代ということになる。

そもそもブログがいけないのではなく、一日に料理一品だけ紹介程度にすれば大したことにはならないはず。

同じようなことをしていた人物が江戸時代末期の大名の中にいた。井伊直弼だ。茶道の達人で、井伊邸で毎年行われる大茶会では、すべてその年の新製品の茶菓子が並べられたそうだ。日本の多種多様な種類の和菓子は、井伊直弼の茶会がルーツであったりするらしい。

6編ともライトノヴェル的なスピード感や軽さがあるのだが、人生の深淵とか地球の危機とかの巨大問題とは無縁である。

横道世之介(2014年 映画)

2019-07-03 00:00:45 | 映画・演劇・Video
吉田修一の小説「横道世之介」の映画化である。小説は2008年から2009年まで1年間毎日新聞に連載され、いくつかの賞を受賞している。長崎から上京して法政大学に入学した横道世之介(高良健吾演)が、自分の周りを取り巻く様々な人との関りを持っていくことで成長する一方で、彼と付き合った人たちの中に温かい気持ちを起こしていくわけだ。


ということで、一見して平和なストーリーなのだが、映画の中の時間は1987年から1988年になっている。そして2時間40分の上映時間の1時間40分経過時点で、背景に流れるテレビ音声が主人公の横道が駅の人身事故で、35歳で亡くなったことを小さな音で観客に伝えるわけだ。DVDの場合、聞き直すことができる。

そのシーンのあと再び時間は1988年、つまり彼が学生だった時点に戻るのだが、残る1時間、不安な気持ちで見続けることになる。なんとなく、映画の構造は理解できるのだが、最後に人身事故のシーンを見るのは嫌だなと思いながらも、時間は進んでいく。

そして、様々なエピソードの末、彼はその後の人生をカメラマンとして生きることになるのだが・・・



このストーリーだが、2001年1月に起きた新大久保駅乗客転落事故につながっていくわけだ。泥酔した男性を救助するため線路に下りた日本人カメラマンと韓国人留学生が巻き添えになる。日本人カメラマンのための小説(映画)が横道世之介で韓国人留学生のための映画が『あなたを忘れない』だ。

ということで、いいとか悪いとかを超越した作品としかいえない。

安保条約の終わり?

2019-07-02 00:00:53 | 市民A
トランプ大統領が、日米安保条約を終了、あるいは変更したいと発言したようだ。

困ったことに、誤解の塊のような人間の思考回路を修正するには高齢すぎるだろうし、日本側にも終了したいと思っている人たちが多い。ただし、右派の廃棄論は、米軍を追い出して強固な軍隊を作って核武装しようというもので、左派の廃棄論は、丸腰論である。終了か継続かの二択を国民投票すると以外に終了賛成派が多いかもしれないが英国のように、いつまでも国論まとまらずということになるだろう。

まず、「片務的」という批判だが、「米軍は日本を守るが、自衛隊は米国を守らない」というフレーズはよく考えるととんでもないことを言っている。とりあえず憲法のことを横に置いて書くが、そもそも他国を侵略するための同盟ではないわけだ。つまり防衛同盟。日本が侵略されるというイメージは比較的理解しやすいが、米国が侵略される時とはどういうことなのだろう。本気で米国の領地を攻撃した国は、一応、メキシコと日本だけだ。ただしメキシコとの戦争はどちらかというとメキシコから領地を奪う戦争だった。9.11は、米国は「戦争」と宣言してイラクを攻撃したが、首謀者はパキスタンにいた。

イラク戦争とかベトナム戦争に出兵しろというのだろうか。理論的には米国に飛んでくるミサイルの防御のことはあるかもしれないが、中ロのミサイルは日本の遥か上空だし、そもそも北から米国を狙うとなると、カムチャッカ半島の方へ飛んでいくのだから撃墜を頼む先はロシアだ。

自民党は言いにくいかもしれないが、日本国内にたくさんある(特に沖縄に多い)米軍基地が日本防衛のためだけに使われているというわけじゃないのだから、そもそも駐留経費が高いというようなことではないわけだ。

いずれにしても、米軍が軍事費を払えなくなったから縮小、撤退をするというなら、結局は各国別に特殊な兵器を開発して地域同盟を結ぶことになるだろうが、そうなると米軍の活動エリアは沿岸警備隊程度になり、武器開発もペイしなくなり、結局は国家が弱体化していくことになる。

というか、貿易赤字とか財政赤字で国債依存率が上がるということは国家が繁栄している証であるわけで大統領の言っていることは大間違いなのだ。輸入が輸出より多いということは多い分のドルが海外に流出し、その対価としての(主に)消費財が国内に入ってくるわけで、作らないのに物が買えるということだ。ドルの輪転機を回せばいいわけだし、国内で製造しないのだから中国やドイツや日本からの輸入が減れば他の国からの輸入が増えるだけで、米国の貿易収支はまったく変わらないはずだ。自動車会社だって、米国の工場生産分を米国内に優先して、米国から他国へ輸出していた分を日本やメキシコの工場から他国に輸出するわけで、米国の貿易赤字はかわらない。

財政赤字だって米国債は確実に売れているわけで、何が問題なのかも不明だ。

話を安保に戻すと、一説ではホルムズ海峡のタンカー防衛費を負担させようということだが、日本の原油の多くがホルムズ海峡経由ということなのだが、それは単に日本に近いということだけの理由なのだ。ホルムズ海峡が通れなければ世界中で価格が高騰し、供給者側は最も高いオファーを出した国に売るだろうし、それがアフリカかもしれないしロシアかもしれない。お金の払えない国は買えなくなるということだ。さらに日本の会社のタンカーが日本に原油を運んでいるわけではないので、防衛するにしても原油を守るのか船体を守るのか決めないといけない。どちらも保険には入っているが。

それと米軍抜きで防衛するのはかなり無理があるのだが、自衛隊自体の問題は陸上自衛隊と海上自衛隊の人数がどうかということ。もともと陸自はソ連が北海道を攻めて石狩湾あたりへ上陸した時、山中に潜んでゲリラ戦を戦うような訓練をしているわけで、島嶼防衛とかミサイル撃墜というものには全く向いていない。イージス艦は海自だし、イージスアショアやPAC3は陸自だ。ミサイルに特化した隊と島嶼防衛に特化した隊が必要だ。

それと、付け加えると、普天間の基地と辺野古の基地の交換は、地価が違うのだから大損だ、といっているようだが、基地としての価値を人口密集地と人口希薄地で比べれば、希薄地の方が価値が高いわけで、かん違いの一つだろう。