どら平太(2000年 映画)

2018-03-16 00:00:23 | 映画・演劇・Video
山本周五郎の「町奉行日記」を元に、「四騎の会」の4人の大監督が共同でシナリオを書いたもののすぐに映画化されなかったのが本映画である。4人の監督とは、市川崑、黒澤明、木下恵介、小林正樹。4人で書くとはどういうことなのだろうか。2時間の尺の作品なので、一人30分ずつ区切ったのだろうか。登場人物に早々に腹を切らしたりしたら、後の監督は頭を抱えてしまう。

ということで、この4人の中で、3人分の香典を払ったのが、意外にも市川崑であった。そして、当然ながら監督を行ったのは彼になった。

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主役の『どら平太』を演じるのは役所広司。主要キャストとしては浅野ゆう子、宇崎竜童、片岡鶴太郎、菅原文太と大物ばかりだ。江戸時代、ある小藩は財源不足を補うために、町はずれに無法地帯を作り、非合法の商いに目をつむり、上りを掠めていた。酒と女とギャンブルとご禁制品の免税取引。現代風に言うと「統合型リゾート、カジノ付」ということ。

そこに現れたのが望月小平太という町奉行で、様々な観点からアプローチして、この不潔な地区の掃除を始めるのだが、その途中でこの地区と藩の長老たちの癒着があきらかになるのだが、カネをばら撒くおとり捜査とか、証拠品の偽造とかありえない捜査手法が登場する。

ということで、筋は面白いのだが、剣の達人(いや剣術映画の達人)である役所広司は刀を振ると無敵なのだが、残念ながら刀の裏側で叩くミネウチで敵を気絶させるだけだ。それでは敵の数は減らないし、かえって恨みを買いそうだが、それが市川崑スタイルなのだろうか。黒澤明だったら、刀を振るごとに血しぶきがあがり、撮影所は血の海になってしまうだろう。

浅野ゆう子の役は役所広司の愛人なのだが、シナリオ的に愛人が突如現れても的外れ的な感じもある。先に大物俳優(女優)の出演が決まっていたものの、何らかの事情で役がなくなったのではないだろうか。あわてて書き足したとか・・

イチローの年収推移を作ってみる

2018-03-15 00:00:24 | スポーツ
イチローのマリナーズ復帰が決まった。年棒は75 万ドルと出来高分とのこと。多いのか少ないのかよくわからないので、過去の年俸をグラフにしてみた。一応、2001年以降はドル建てなので、大胆に1ドル=100円として計算した。グラフの縦軸は万円単位。最初の3年は、よく見るとわかるが430万,800万,800万で4年目に10倍の8,000万円になった。

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オリックスにいたのが1992年から2000年まで。2001年から2012年の途中までがマリナーズ。2014年までがヤンキース。2017年までがマーリンズである。

マリナーズの時は、5億円の時代、12億円の時代、18億円の時代と階段状に増えて行ったことがわかる。その後、ヤンキースとマーリンズは急にケチになった。今年の75万ドルというのは、インフレ効果を除いて4年目と同じぐらいということだろう。

しかし18億円にもなれば、弱小球団なら1チーム揃うほどの額である。イチローのせいではないが、マリナーズが優勝できなかったのは他の選手やコーチや監督に回すキャッシュが足りなくなったせいではないかと思えたりする。

野球は団体競技なのだから、超高額サラリーの選手と低サラリーの選手の組み合わせだと、打線や守備で穴があくことになる。相手チームはその穴をついて敬遠策を使ったり、守備の下手な選手を狙って攻撃をかけたりする。スーパープレーヤーがなしで、堅実な選手だけそろえた方が、結果は良くなるだろう。

そうイチローが考えてくれれば、マリナーズだって中堅選手を並べて、結果としてワールドチャンピオンになれるかもしれない。しかし、そうなれば、当然選手のサラリーが急上昇するだろうからすぐに勝てなくなるだろう。

もっともイチロー選手の年棒を眺めて、75万ドルは安いなあ、とか同情する必要はないのである。彼が登場するテレビCMだが、1社1億円との話だ。知っている範囲では、オリックス/佐藤製薬/トヨタ/NTT/サントリー/SMBC日興証券の6社が契約しているようだ。6社合計のCM出演料は?計算はかなり簡単だ。

「改ざん?」「書き換え?」某證券A氏が使った単語は?

2018-03-14 00:00:43 | 投資
財務省による公文書の「・・・・」によって、内閣、財務省その他の信頼は大きく揺らいでいるのだが、この「・・・・」に入る文字が、報道各社で分かれている。

新聞およびテレビ(キー局)の使用する単語は大きく言えば二つに分かれる。

書き換え・・・読売、日経、フジ、日テレ、NHK

改ざん・・・朝日、毎日、テレ朝、TBS、テレ東

改竄・・・産経

新聞とテレビの関係からして、ねじれているのが(日経とテレ東)と(産経とフジ)。
「改竄」というのは「ねずみが齧った」ということだから、産経の選択は、意外に、実態を表しているように思える。基本的には「直す」というよりも「隠す」という感じだ。

ところで、今週行われた、ある日系巨大證券会社のセミナーの中で、證券会社のA氏の発言で使われた単語がある。

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要するに、日本株は下げ止まったので、これからの上昇が期待できるが、問題は政治リスクだが、今回の財務省の「公文書○○」の結果、内閣が退陣しても日銀総裁は既に続投が決まっているので経済に与える影響はほとんどないだろう、という解説だったのだが、果たして證券会社のA氏はなんといったのだろうか。

公文書偽造 である。なかなか厳しいご意見だ。

ところで、会場は満員。ようするに円高で株安というのは外国債券、外国株式を購入するにはもっとも良い時期ということで、(自分を棚に上げていうと)金の亡者が集まってきたわけだ。年配者が多く、休憩時間にロビーに出た後、元の自分の席がわからなくなり徘徊する方もちらほらという感じだ。隣の席の方は、せっかく座っているのにほとんどの時間、平和な寝息が聞こえていた。寝息が聞こえなくなったら大変だが。

どうも推薦されたのは、トルコ、南ア、ブラジル、メキシコとかAIとかロボティクスとかクラウドとか第四次産業革命というような単語を組み合わせることのようだ。

PPM理論でカジノを目指すS社のお土産は

2018-03-13 00:00:57 | 投資
某証券会社が企画した会社の内容説明会。ゲームに特化したS社のこと。元々ゲームソフトの会社とパチンコホール向けの機種(つまりパチンコ・パチスロ機)販売の会社が合併。

しかし、パチンコ関連企業の現在の状況は、「出玉規制」他、各種規制があって、パチンコホールの閉鎖が続いていること。一方、生き残ったホールは台数を増やしていて、トータル台数は変わっていないものの、一台当たりの寿命が延びていて台そのものの販売が縮小傾向にあること。それを部品のリサイクルなどでコストダウンで収益確保ということらしい。

またゲームの方は、なかなか大型のコンテンツに育たないということらしく、中ヒット、小ヒットの積み重ねで、当然ながら不発弾もあるそうだ。といってもパチンコとゲームで売上や利益が均衡しているようだ。

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もっとも、力を入れているのはリゾート部門で、フェニックス・シーガイアの他に韓国のインチョンに「パラダイスシティ」という統合型リゾートを展開していて、そこにはカジノもあるそうだ。ということで、国内で話題になっている数ヶ所のカジノのうちお台場については、是非やりたいということで、どうもインチョンのカジノはお台場のための準備ということらしく、S社の社員がディーラーとしてサイコロを振る練習をしているようだ。

で、この3分野はまさに、米国で70年代の経営学で言われていた(PPM理論)。事業分野を市場占有率(シェア)と成長率で分類し、シェアは高くても今後伸びない分野(金のなる木)、シェアが高くて、今後も伸びる分野(花形)、シェアが低いが成長率が高い分野(問題児)、シェアも低く成長率も乏しい(負け犬)の四分野にわけて戦略を立てるべきという説だ。

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パチンコ機が「金のなる木」、ゲームソフトは「花形」、カジノが「問題児」ということだ。では、「負け犬」は何かというと、別途調べてみるとあった。ジョイポリスという名前のゲームセンター。これがお台場にもある。説明会でまったく説明がなかったのだが、最近、ジョイポリス事業は中国の会社に売却したそうだ。

ということは東京ジョイポリス=お台場=カジノという構造はすでに崩れているわけだ。


ところで、この説明会に参加すると、企業からおみやげを頂ける。

ちょっと驚いたのは、インチョンのカジノ(パラダイスシティ)で使える「70,000ウォン(日本円で7000円程度)」のチケットだそうだ。今時、インチョンに行くのは、それだけでリスクが高いわけだ。

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日本のカジノだが、東アジアには、マカオ、シンガポールにすでに大型カジノがあり、日本は後発なのだから、日本情緒な「花札」とか「丁半」とかやってみたらどうだろう。韓国では将棋(チャンギ)も金を賭ける人が多いそうだから日本将棋もやってみたらどうだろう。室内だからドッグレースは難しいだろうが相撲やレスリングに賭けるのもいいかもしれない。五輪金メダル3個の国民栄誉賞者対4個で国民栄誉賞者の戦いとか。

ナウマン象を食べた人の末裔は?

2018-03-12 00:00:10 | 美術館・博物館・工芸品
横浜市歴史博物館に古墳のことを調べにいったついでに横浜の歴史を鳥瞰してきた。

といっても横浜市の多くは海の中にあり、内陸の方が海岸だったようだ。そして日本で多く発見される謎の動物が「ナウマン象」。立派な象である。50万年前から2万年前まで、日本と中国の一部に生息していた。氷河期である。氷河期のように寒い時に生きていたということで誤解されそうだが、暖かい時期(間氷期)に生きていて、少しずつ寒くなって、徐々に数を減らし、氷河期が終わるほんの少し前に力尽きた。もう少し頑張れれば現代まで頑張ったかもしれない。

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日本人はナウマン象やトナカイのような大鹿を捕まえて食べていたようで、大陸方面からナウマン象や鹿を追いかけて日本まで来てしまったらしいとの説もある。つまり、象がいなくなった2万年ほど前から農業を始めたのかもしれない。

しかし、象は体の構造からして草食ではありながら食べ物は限られている。鼻でくわえて口に持って行くのだからキャベツや白菜なんかは食べにくい。木になった果物や、葉を食べたりする。マンモスは餌がなくなって地面の苔を食べ始めたが日本はそこまで寒くなかった。ということはナウマン象がいた頃には大量の果物があったのかもしれない。

ところで、トナカイの肉から想像すれば、大鹿の味は絶品であるだろうが、ナウマン象はどんな味だったのだろうか。現代において世界中さがしても象を食べたことがある人はほぼ皆無と思ったが、アフリカの一部には象のレストランがあるそうだ。また、タイではバイアグラと同様の目的で食べられるそうだ。どうも食べたことのある日本人の感想では、大味でまずい、ということらしい。ただし、ローマ時代の「料理大全」には象の部位ごとの評価が行われていて、足と鼻と臀部が美味とされている。

独ソ不可侵条約並の奇々怪々

2018-03-11 00:00:38 | 歴史
米朝首脳会談が行われるということは、何らかの基本的合意が既に決まっているのだろう。あとは細部にわたる水面下の交渉が行われるのだろうか。とはいえ、核開発というのは、一つは核兵器そのものなのだが、もう一つは核兵器を組み立てるプロセスの研究成果である。核兵器は無くても作ろうと思えば短期間で復元できる能力を得ているとすれば、一時的に放棄したとしても痛手は少ない。まさか、「科学者を米国に引き渡せ」とは言わないだろう。

ところで、「寝耳に水」とか「まさか・・」というコトバが歴史上登場したのが、今から79年前のこと。第二次大戦直前にナチスドイツとソ連(つまりヒットラーとスターリン)とが締結した「独ソ不可侵条約」。表向きは、両国が中立でかつ相手を攻撃しないという条約で、それだけでも驚愕だが、裏協定として両国がポーランドの分割を合意するという内容だった。締結は1939年8月23日。

英仏両国は驚愕したものの、もっと驚いたのは日本。ドイツは味方でソ連は敵という枠組みが一瞬にして瓦解。5日後の8月28日に平沼騏一郎内閣は総辞職する。その時のコトバが「欧州情勢は奇々怪々」ということだった。

そして、9月1日にポーランドにドイツが侵攻し、9月3日に第二次大戦が始まる。英仏とドイツが衝突。隙をついてソ連も9月17日にポーランドに侵攻する。

そして、日本は1年7ヶ月後の1941年4月13日に日ソ中立条約を締結。相互の不可侵を約束する。表向きの独ソ不可侵条約と同じだ。

ところがその5ヶ月後、ドイツがソ連に侵攻を始めたため、奇々怪々な独ソ不可侵条約は紙くずになる。有効だった期間は1年10ヶ月。日ソ中立条約の方は、もう少し長く4年4ヶ月で紙くずになった。

つまり奇々怪々な条約というのは、そもそも無理があるのに北風と南風が打ち消しあったような刹那的な誤解の上に成り立つことが多いため、その後、風向きが変わると、大破綻に終わりやすいという特徴があるということだろう。

とりあえず、日本の現政権が数日内に総辞職する可能性は少ないのだが、辞める前には1995年に起きた大事件のケリだけはつけておいてほしい。

18才と81歳

2018-03-10 00:00:40 | しょうぎ
大津市にある「将棋を孫に伝える会」の発行する詰将棋本を20冊/回、定期購読しているのだが、郵送された中に「山田地区将棋同好会」の資料があった。笑いは長寿の秘訣、として「18才と81歳」という取り合わせで、俳諧でいう「付け」もどきを行っている。お題は14題だが、全部紹介すると著作権のこともあるし、何しろ「山田地区」というのがどこにあるのかもわからないわけだ。ということで3題だけ紹介してみる。

 恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳

 家を出るのが18歳、家を出されるのが81歳

 暴走するのが18歳、逆走するのが81歳


笑いは長寿の秘訣と副題が付いているが、素直には笑えない。


2月24日出題作の解答。

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カーリング的に少しだけ駒を動かして弱点を見つける。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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手筋もの。特にヒントはいらないだろう。

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判断します。


見附島(能登の酒)は辛口でさっぱり

2018-03-09 00:00:26 | あじ
宗玄酒蔵といえば珠洲市の酒蔵会社で、『宗玄』で有名だが、それほど格式張っていないブランドが、この見附島である。

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見附島とは珠洲市の海岸に実在している島だが、住人はいない。物理的に住むことはできない。海岸の近くにある巨岩といったところだ。岩の上に樹木が生えているのだが、この島の別名は軍艦島。軍艦島といえば長崎県の島は世界遺産に指定されたが、軍艦を横からみた図によく似ているからで、石川県の軍艦島は軍艦が正面から突っ込んでくるような迫力である。無論、岩なので動かないわけだ。

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といっても、危機迫るような味の日本酒ではない。ごく普通の範疇の酒である。

思うに、冷酒を飲むなら春から夏がよく、熱燗がよいのは秋から冬ということなのだろう。酒の肴には、すき焼とかいいなあ。

ということになるだろうか。

英語で味わうシェイクスピアの世界

2018-03-08 00:00:32 | 書評
昨年暮れから読み始めていた本。シェイクスピアを全部英語で読もう、というような元気はまったくないのだが、シェイクスピア戯曲にはさまざまな要素があってなかなか魅力的である。有名作品の「あらすじ」と「ハイライトシーン」が英語になっていて、難しい言い回しには日本語の訳が付く。

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ただ、シェイクスピアの原本は、古典英語なのだ。たとえば「私の」ということばの英語が「my」であるのと同じように、「あなたの」は「thy」。もちろん現代では「your」。多くの作品は西暦1600年前後に書かれている。芭蕉や西鶴よりも古いわけだ。

とはいっても、この本にも収録された「As You Like It(お気に召すまま)」は高校の時に原文にチャレンジしたことがある。

収録作は、「ロミオとジュリエット」、「ハムレット」、「ヴェニスの商人」、「お気に召すまま」。

欧米の評論家は、「シェイクスピアには悲劇も喜劇もない。人生そのものだ。」というのだが、確かに四代悲劇という「ハムレット」「リア王」「マクベス」「オセロー」のいずれも全編を通して悲劇的な感じは漂うのだが、「人間の不条理」という方が強いような気がする。そしてこの四作ともフィナーレにおいては少なくとも犠牲者の名誉は回復する。

そういう意味で、救いがないのが「ロミオとジュリエット」だろうか。(なぜ日本語ではロメオではなくロミオなのかは不明)観客は救いのない涙を流すしかない。

「ハムレット」。復讐劇である。言い方は変だが忠臣蔵みたいなストーリーだ。有名な”To be or not to be” 生きるべきか死ぬべきかと訳が付いているが、そう解釈してもいいのか自問するわけだ。まさに浅野内匠頭。吉良を斬ろうかやめようか。

「ヴェニスの商人」。前から思っていたのだが、シャイロックってそんなに性悪商人なのだろうか。ユダヤ人であることで迫害されて、カネを借りるのは当然という態度のキリスト教徒が返せなくなった時に、「カネは返さなくてもいい。傲慢なお前たちの心臓のまわりの筋肉を差し出せ。」と証文通り迫って、何が悪いのだろう。それなのに、証文は無効で、逆に殺人未遂罪でキリスト教に改宗の上全財産没収または死刑などと人種差別される。結婚詐欺の未亡人に400万円超を貢いだあげく、関係がなかったことにされ、王室やマスコミに叩かれているような図式だ。

「お気に召すまま」。題名からして暗示的だ。王室を追われた人たちが森に逃げ込んで楽しい生活を送るわけだ。ボヘミアンである。他の戯曲のように悪が滅び善が勝って再び宮殿に戻ったりはしないわけだ。

ところで、英国人が戯曲を書き、英国人が演じるにもかかわらず、シェイクスピア劇の舞台は英国ではない。イタリアだったりデンマークだったり、キプロスだったり。なぜなのだろうと考えても答えはどこにもない。やはり革命前の英国では、体制の取りしまりが厳しく、日本でも時代を変えて演じていたように、別の国の話として書かなければならなかったのだろうか。ちょっと英国以外は二流三流国家であるような驕り(あるいは真実)も感じられる。

ところで、この本の表紙には女性が川の中で着衣のまま背泳ぎをしている画が使われているが、この絵は19世紀の画家であるジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」という作品で、ハムレットの恋人のオフィーリアが溺死した絵である。日本では無数の本が出版されているが、表紙にご遺体の絵を使うものは、他にはほとんどないだろうか。

富士登山(ただし川和富士)

2018-03-07 00:00:18 | おさんぽ
自宅から30分ほど歩くと(つまりクルマで5分強)、田畑の中に富士山がある。通称川和富士。この富士山は江戸時代中後期に流行した富士信仰に基づくものとされているのだが、あまり確かな情報ではないらしい。山を登るのに2分程度で、天気が良いと本物の富士山が眺められるはずだが、春霞に丹沢山系すら見えない。

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頂上から眺めた景色だが東側、北側、南側の三方は住宅街で、この富士山より高いマンションが東京方面や横浜港方面の視界の邪魔になる。残るは西方で、こちらはまだ日本のTibetと呼ばれていた頃の面影が感じられる。


ところが、こんもりと浮き上がった島のような丘を無残に切り裂いた緑色の施設がある。どうみてもゴルフ練習場だ。(無残と書いたが、自分も行ったことがある。確か150ヤード程度の長さだ)

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そして、なにげなく30秒ほど眺めているうちに不意に思ったのだが、丘の形や、その存在の突然性が何か不安な気持ちをかきたてたのである。

どうみても、古墳のように見える。もっともゴルフ場も古墳も地面に穴をあけて「玉」という字で表す「ゴルフボール」または「玉体」を沈めるのだから、同系列の場所ともいえるのかも知れない。


見ているだけでは、それ以上真実に近づけないので、帰宅後にまず、ネット周りで調べると、まず近隣には三つの富士山があり、この川和富士と山田(やまた)富士、そして池辺(いこのべ)富士の三つがあり、池辺富士は別名「富士塚古墳」ともいわれるらしいが、古墳である証拠はないとのことらしい。つまり登った川和富士自体が古墳の転用で富士山に見立てられた可能性すらあるわけだ。


後日、博物館で調べると、古墳はこの近くでかなり見つかっているのだが、多くは開発に伴って邪魔になり、発掘調査を行った後に宅地になるようだ。3世紀頃の歴史は実際にはよくわかってないし、関東の古墳は大人物ではなく中人物クラス(地元のボス)の墓なので、現代では、詳しく調べる動機もなくおカネもなく調査員もいないということだろうか。

ゴルフ練習場の森も豪族か中央政府の小役人の墳墓だった可能性が高いような推察をしておこう。近くには税務署もあるし。

コンタクト(映画 1997年)

2018-03-06 00:00:25 | 映画・演劇・Video
地球外生命体との出会いをテーマにしたカール・セーガンの小説をもとにした映画で、「これはSFではない」と地球外生命体の存在を前提としているので、「そんなものはいない」と信じている人は、劇中の宗教家たちのように面白くないかもしれない。この映画を見ない方がいいだろう。

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実際には、今まで発見されていないからといって存在しないというほど傲慢にはなれないのは、例えば微生物など、近くにあっても発見されていないことの方が多いわけで、地球と同じような環境の星で生命が生まれるかどうかを調べるには、人間の力で地球上の物質で生命を作り出せるか研究した方がいいかもしれない。無論、そういう研究している人はいないような気がする。

で、現実の世界では、宇宙のどこかにいる地球外生命とコンタクトしようと、近くにいそうな空間に信号を送っている。とても危険だ。少なくても月とか火星とかダミーの星から信号を送らないと、発信源を破壊しようと思う輩がいるかもしれない。地球だって善人と悪人がいるのだから、宇宙だって同じだろう。

映画では、果てしなく宇宙からのサインを待つわけだ。そして、それはベガ星方向からのご招待という形になり、色々とバタバタとした結果、招待状を受け取ったジョディ・フォスター博士本人が地球人代表として空間移動装置に乗り組むわけだ。

この装置の原理については映画の中では語られないので、代弁すると、アインシュタイン博士が断定した「宇宙でもっとも早いものは光」という理論に使われる速度というのは「単位時間に対する移動距離」なのだが単位時間というものが空間を歪めることによって早くも遅くもなるもので、簡単に言うとワープマシンを使うわけだ。実際には地球上の1秒の間にフォスター博士はベガ星に18時間滞在し、人類の数億年先を行く知能に接触して、そして帰ってきて変人扱いされる。いわば逆浦島太郎現象である。

ところで、このワープマシンだが、あまりに高額過ぎて地球上の多くの国からの支援を受け3000億ドル(30兆円)を集めて、日本が下請けになって北海道に作るわけだ。しかし、残念ながら日本には何も恩恵がなかったようにも思うし、たかだか日本国債の発行残高の1/40でしかないわけだ。

そしてわからなかったのは、生命体の正体。地球上の生命と同じように効率の悪い神経回路を使って考えたり行動したりするのだろうか。あるいはデジタル信号の中で記号として存在しているのだろうか。

キメラのこと

2018-03-05 00:00:47 | 市民A
最近、ナショナル・ジオグラフィックの週刊メールが面白い。

たとえば、ネアンデルタール人が壁画を描いていたことがわかり、従来の定説は現生人類の方が優秀で、ネアンデルタール人の方が無能だったため、現生人類が滅ぼしてしまったということになっていたのだが、しばらく前にDNA分析でヨーロッパ、アジアの現生人類のDNAの中にネアンデルタール人のDNAが2%含まれていることが発見された。

つまり、アフリカで発生した現生人類は、コーカサスあたりで北東アジアとヨーロッパに分岐したのだがどちらにもネアンデルタール人との混血が見られるわけだ。しかも文化程度は同じぐらいだった。となると、優秀か無能かというよりも、狂暴か温厚かということで存亡が決まったのだろうか。さらに、混血が起きるということは、現生人類とネアンデルタール人とは元々は同一種であったのだろうとの推測が成り立つが、それはいつどこで起きたのだろうかというように謎はどんどんと深く広がっていく。

先週号は、もっと奇怪なキメラの話だった。ギリシア神話に出てくる人獣混血話。ある意味でネアンデルタール人はもはやいないので、ルーツが何であっても構わないと言い切ってもいいのだが、キメラは違う。近未来の話だ。

前座は2017年初頭に行われた「人間と豚のハイブリッド胎児」。ヒト細胞を0.001%持つ豚の胎児が作られた。

今回は、ヒト細胞の比率が10倍(0.01%)になり、「人間と羊のハイブリッド胎児」が作られ、4週間まで育てられたとされる。

何のために、こんなことをするかというと、全米で毎日22人が臓器移植を待ちながら亡くなっている現実に対応し、人工的に人間の内臓を得るため。

原理は、ヒトの幹細胞(遺伝子に書き込まれた設計図通り、どんな細胞にも変化できる)を、羊(以外でも可)の胚に導入し、同時に羊のDNAを肝臓などの特定の臓器を作らないように編集すると、導入された人間の肝細胞がその穴埋めに臓器となる。その臓器は人間の細胞でできた臓器になる。これを取り出して人間様が利用しようということだ。

現在の混入率が0.01%というのはいかにも少なく、およそ全身に対する臓器の重さ比率分は必要だろうと言われている。少なくても1%は混入しないと実用化できない。

ということなのだが、少し考えてみると例えば10%の重さといわれる脳について、馬ののDNAに脳を作らないように書き込み、馬の胚に10%のヒトの肝細胞を導入すると、どうなるのだろう。人間の脳を持った馬が誕生するだろう。ケンタウロス。ペガサス。マラソン無敵。

といって、人間が将来の病気のために自分のクローンをリザーブするようにするのだろうか。一応、クローンの寿命は元の原体と同じと考えられているのだが。

クローンかキメラ。どちらの方法が勝つのだろうか。個人的には自分の脳は深海の海底をぶざまにさまようシーラカンスに埋め込んでほしいな。あまり泳ぎが得意じゃないし、核戦争の影響も少ないし。

サメの歯の行方

2018-03-04 00:00:34 | 美術館・博物館・工芸品
今年1月28日に日テレで放送された『ザ!鉄腕!ダッシュ!!』でTOKIOメンバーが試みた実験は・・

同グループが以前東京湾で吊り上げたヨシキリザメの歯を加工して作った漁具を使って、実際に漁を行うこと。

実は、全国の縄文時代、弥生時代の遺跡からは削り加工などをされたサメの歯が発掘されている。その使い途について、漁業ではないかと思われていたが、実験例はなかったそうだ。つまり、石器の加工は重労働である反面、水中では落下しやすいので消耗品には向かない。一方、動物を捕まえたり加工したり皮をはがすにはサメの歯では柔らかすぎる。ということからの推論である。

ということで、横浜市の歴史博物館の高橋さんという方が思い立ち、サメの歯の漁具化を主導することになった。

手順は、

1. ヨシキリザメの顎から歯を抜く
2. 紙やすりで磨く
3. 漁具の作成開始
4. 銛(もり)と鏃(やじり)の完成

以上で約半日。

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そして実験開始。場所はTOKIOリーダーの苗字を尊重し、神奈川県三浦市城ケ島沖。

収穫は、ヒラエタイ・マダコ・ハコフグである。

テレビ側からいうと「サバイバル物」であるのだが、学問的には「再現考古学」という分野になる。考古学というのはおカネにならないことから常態的に金欠学問なのだが、もっと陽が当たってもいいと思うわけだ。縄文時代を知ることは重要なのだ。

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そして、この実験道具だが、横浜市歴史博物館に期間限定で展示されている。期間は3月31日まで。無料エリアであるのだが、『DASH』とか『TOKIO』とかの表示はまったくないので注意が必要なのと、休館日があることと、横浜駅からはまったく異なる場所にあるので、行く前には確認が必須だ。


ところで、展示期間終了後のこのサメの歯の行方はどうなるのだろう。

現代では、サメの歯は、「何度でも再生する」という性質からお守りに使われていて、ネットオークションには多数出品されている。(もしかしたら受験不合格者が癒しのために使うのかもしれない。)同様のお守りは縄文時代にも使われていたようだ。

少し気になる。

A級順位戦 肉×魚の夕食決戦

2018-03-03 00:00:05 | しょうぎ
3月2日、混沌のA級順位戦は静岡市で行われた。静岡は大都市なのだが新幹線のぞみは滅多に止まらない。東京から夜、新幹線で新横浜まで約20分なのだが、うっかり着席して眠ってしまうと名古屋まで行ってしまう。静岡にも止まれば少しは被害は小さいのだが。

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さて、今回の順位戦は全5局が挑戦権と降級枠に関係するという豪華版で、6人に挑戦の目があり4人に降級の目がある。特に6勝3敗とトップにいるのが順位下位の久保、豊島の両棋士であり、多人数プレーオフになるとパラマス方式で下位から潰しあって這い上がる方式なので、是非とも勝ちたいはずだ。仮に6人プレーオフになると、この二人は1回戦からで5連勝しなければならない。この1年間のリーグ戦は何だったのか、ということになる。

そして注目したいのが10人の棋士の夕食。肉派と魚派に4対6にわかれた。5局中3局が肉×魚の直接対決になる。

久保(ミニカツどんセット、蕎麦付き)×深浦(ミニカツカレーセット、蕎麦抜き)

豊島(ミニカツカレーセット、蕎麦付き)×広瀬(静岡にぎり)

稲葉(藤にぎり)×行方(静岡ちらし)

佐藤(藤にぎり)×屋敷(静岡にぎり)

渡辺(藤にぎり、サビ抜き)×三浦(焼肉定食)

まず、藤にぎりと静岡にぎりの差だが、藤にぎりには鉄火巻きが含まれる。つまり海苔巻きである。海苔の黒は黒星につながるような感じだ。つまりマイナス。どちらも静岡名産のカツオやマグロを含むのでプラス度は高い。

健康にいいのは、蕎麦、カレー。縁起をかつぐなら「カツ」かな。「サビ抜き」はよくないだろう。ワサビは対局が行われている静岡県の名産だ。

ということで、久保(+2ポイント)、深浦(+2ポイント)ということで混戦だが、カツどんセット蕎麦付きは重すぎるのではないだろうか。

豊島(+3ポイント)、広瀬(+1ポイント)で豊島大有利のはずだが午後9時現在、大苦戦だ。食べ過ぎだろうか。

稲葉(+1-1でゼロポイント)、行方(+1ポイント)で行方辛勝か。

佐藤(+1-1でゼロポイント)、屋敷(+1ポイント)で屋敷有利か。

渡辺(+1-2で-1ポイント)、三浦(0ポイント)悪手で決着し、昨年の敵討か。

結果は、蕎麦を食べた二人が負けることになった。



今週の出題は、還元玉(元の位置に玉が戻ってくる)。

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手数は長いが、考えるべき手は少ない。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。

魚沼産コシヒカリ特Aをはずす

2018-03-02 00:00:41 | あじ
日本穀物検定協会が2月28日発表した平成29年度米の食味ランキングで新潟県魚沼産コシヒカリが平成元年からずっと続いていた「特A」から「A」に転落した。

詳しくは日本穀物検定協会のHPにランキング表が掲載されているので参照いただきたいが、全国で激戦が続いている。特に本年度からは減反なしのガチンコになるわけだ。

最近、新潟産の「こしひかりビール」を飲んだり、魚沼産のもち米から作った餅などを食べていたのだが、関連商品の売上にも影響があるかもしれない。

koshihiksri


魚沼の現地では、8月の日照不足が原因といっているが、新潟の他地域では特Aを維持しているので要因としては絞れない。

資料を読むと、特Aは全国の43地域が獲得していて、ブランド別にはコシヒカリが13地域と圧倒しているが、第2位はつや姫とひとめぼれの各4地域、4位はきぬむすめとヒノヒカリが各3地域というようにコシヒカリ以外が30地域というように、コシヒカリの時代はある意味終わりつつあるのかもしれない。

20年近く前に、とある事情で米の販売を本気でしていたことがあって、勉強していたのだが、当時はササニシキとコシヒカリが2大ブランドであったのだが、そのうちあきたこまちとかきららとかの甘口の食味の米が登場し、ササニシキはマイナーになっていった。現在は発祥の地である宮城で僅かに生産されていて、その後はコシヒカリ対新興米という構図になっていた。

実は、それより前の時代でもブランド米というのはあったそうだが、おおむね10年強で主役を譲ることになっていたようで、そういう意味でコシヒカリの人気寿命は異例的に長いわけだ。なぜ、人気米が変わるのかということに定説はないのだが、以前においては種米の交雑ということが原因としてあって、農家が自家用の米から種米を選んでいたため、遠くの田から飛んでくる別品種の稲の花粉を少しずつ拾っていき、結局、純粋種が保てないというようなことが一因とされた。しかし、現在では種籾は純粋種を購入するのが一般的だ。

生活習慣の変化で、国民の食べる「おかず」が変わることで、求めるコメの味が変わるという説もある。また、おいしい米であっても食べ続ける間に飽きてくるから、という説もある。

個人的には、スーパーの売り方にも原因があるような気がする。スーパーで商品単価の高い米をたくさん売るには、同一品種のコメ袋を縦に積み上げると、横幅が取れないことになる。ブランドを増やせば同じ数量でも横幅が取れて目立つようになる。違いが判らないようなビールを多品種販売するビール会社の戦略と同じだ。


ところで、話は変わるが、トップ陥落した魚沼地域だが、魚沼市と蔵王市が蔵王山を挟んで東西の盆地になっている。この蔵王山の湧き水がおいしいお米の生育に影響しているそうだが、日本で米を作るようになる前の縄文時代から、文明が存在したそうだ。約1万年前である。最近の研究では、縄文時代にはすでに太陽の運行や月の満ち欠けを観察していて、いわゆる縄文哲学を持っていたらしい。その自然と共生するという哲学が、現代日本人の思想の中にも色濃く残っているらしいのだ。