持将棋は将棋ゲームの最大の欠陥か

2014-08-16 00:00:29 | しょうぎ
因縁の木村=羽生戦で、持将棋(じしょうぎ)が現れた。両者入玉で決着の見込みなし。タイトル戦では22年ぶりの11回目らしい。羽生三冠としては、以前、一手トン死を食らって笑いものにされた相手に、いつか巨大な借りを返してやろうと思っているに違いなく、持将棋成立局面から指し続けて勝利をもぎとろうと思ったのかもしれないが、プロ棋士のマナーという観点でやめたのかもしれない。

ところで、アマチュア大会は24点法ではなく27点法で勝ち負けがつくため、「宣言ルール」というのがあって、「私の方が駒が多いから勝ちです」とアピールして、実際にそうであれば勝ち。数え間違っていれば負けとなる方式がある。小学生たちに将棋を教える時に、対局の終わりは相手が「負けました」と表現した時であって、決して自分から「勝ちました」と言ってはいけない、と指導するのだが、矛盾している。

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プロの場合は勝ちか負けか引き分けか3択であるが、負けの場合は通常の投了でいいわけで、そうなると、勝ちか引き分けかの宣言になる。確か昨年10月から1年間の暫定運用でプロでも宣言法が導入されたようだが、本局はどうだったのだろう。最終図面は、羽生側の手番で、すでに両者入玉しているのだが、どちらも敵陣+持駒枚数が宣言ルールに未達。つまり、うっかり宣言すると負けになるわけだ。手番や局面のあいまいさからいって「持将棋ですか」と言ったのは羽生王位のような気がするのだが、木村側から「誤った持将棋宣言で、負けではないか」とクレームがありそうなものである。もっとも賢明な王位のことだから「宣言ではないが、持将棋ではないだろうか」と切り出したのかもしれない。「私の方も宣言ではないのですが、あなたからの持将棋の提案には応じます」というようなことだったのだろうか。

ところで、「持将棋」という言葉だが、語源がよくわからない。「持」というのは持駒のことのような気がする。江戸時代は駒台が使われていなかったので、紙とか扇子に駒を乗せていたらしいが本当は手に持っていたのだろうか。駒を手に持ちきれなくなるとか。

あるいは、語源が不明なのは賭け将棋と関係していて、両者が持ち寄った一両ずつを、じゃあ「持ち持ち」にしましょう、とかいって無勝負にしたとか・・


さて、8月2日の出題作の解答。

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▲1七飛 △2五玉 ▲3四銀不成 △2四玉 ▲3三馬 △3五玉 ▲4七桂 △2六玉 ▲4四馬まで9手詰。

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今週の問題。

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わかったと思われた方は、コメント欄に、最終手と総手数と酷評とを記していただければ、正誤判断。

1945年8月、ビルマ。そして原爆。

2014-08-15 00:00:31 | 市民A
お盆なので、ちょっと。

私の何代か前の先祖は、いわゆる本家から分かれて分家という形で独立したのだが、それは江戸時代のことである。そしていくつかの分家があったのだが、本家の方のことである。本家には、年齢的に、私の親と同じ位の代に長男がいたそうだ。そして69年前、陸軍に徴兵され戦死した人がいたと聞いていた。

その結果、本家には男子の跡継ぎがいなくなり、妹が婿をもらって家を継ぐことになっていたのだが・・婿は姓を変えることなく、いずれ亡くなってしまい、そのこどもはもう別の姓になってしまったわけだ。で、妹もほぼ90歳となっている。いわゆる墓じまいが近付いているのだろう。

で、今年、墓参りをした時に荒れてしまった本家の墓地を回ると、戦死者の墓石をよく見ることにする。石の表面がはがれかかっていたりして、不鮮明ではあるのだが、昭和ニ十年八月○日ビルマ ピグーにて戦死 と刻まれている。

後日、調べてみると、ビルマ戦線では、昭和ニ十年の7、8月にはまだ日本軍に戦闘能力が残っていて、ベク―山系で、飢えと病気と武器不足と戦っていた。相手は主に英国軍。2万人が亡くなったようだ。

実際、この最後の数ヶ月で亡くなってしまった国民は多い。


ところで、数日前、倉敷の町中で散歩中に旅行者の親子の会話を聞いてしまった。

原爆がテーマである。父親が男児に「原爆は威力が大き過ぎるので、絶対に使えないことになっている。」と言っている。男児の方は、「日本に3発落とされたら終わり」と教わった、と言っている。で、何か親子で言い合いをしていたのだが。

自衛隊の民間船との契約は徴用?

2014-08-14 00:00:46 | 市民A
8月3日から数日間報道されていた「民間船員の予備自衛官化」についての件。どうもよくわからない。事の発端は、自衛隊が新日本海フェリーと津軽海峡フェリーの二社との間に高速フェリーの貸し出し契約を結んだところから始まる。後段で再度書くつもりだが、自衛隊が民間の会社から船舶を借りることは、よくあることで、それ自体がけしからないと思うのだが、単に国内のA地点からB地点(多くは基地)に物を運ぶことは珍しくない。

ただ、今回の契約は人員つまり自衛隊員を運ぶ仕事のわけだ。

毎日新聞の報道では、「尖閣諸島を含む南西防衛の有事の際、自衛隊員を戦闘地域に輸送するために民間フェリーの船員を予備自衛官として活用する方針を固めた」となっている。

防衛省は大臣の談話として、「民間フェリー会社との契約は災害時の緊急輸送や自衛隊訓練の際の車両・隊員輸送を念頭に置いたもの。有事の際に民間船員を予備自衛官として活用することは考えていない」としている。

民間船舶の徴用ということになると、第二次大戦の時には船舶や船員が徴用された結果、15,518隻が撃沈し、60,609名の船員が亡くなっている。横浜の日本郵船の博物館には数字があるが、民間船員の死亡率の方が、海軍の死亡率をかなり上回っているそうだ。

しかし、基本的に、有事じゃないときにすら船舶や船員が足りないというなら、有事の時には、もっと足りないわけだ。さらに有事の際に行う訓練は、それ自体が戦闘行為の一部とみなされる可能性が高い。

それに致命的なのは、船員不足。特に若年船員。平均年齢は50歳以上である。徴用なんて話になれば、船会社に就職するような人間はいなくなるだろう。さらに、一般的にいって最新の船舶の特徴は燃費効率。足が遅いわけだ。ゆっくり走らないと燃料を食うわけだ。民間船なのだから、不必要な速度は出さないような構造になっている。その結果、最高速度が低く抑えられている。軍用なら燃料費よりも速度が重要なのであり、そういう意味でも軍事物資輸送には、それ専門の船舶と船員がいないと困るのだろう。

地下道居住者保護(台風により)

2014-08-13 00:00:04 | 市民A
10日、倉敷市にも台風による大雨が予想されている頃、山陽線の歩行者専用の地下道に警察官3名が入っていき、数分後に1名の地下道居住者が保護される。警察の施設に行くのだろうが、台風が過ぎた後はどうなったのだろう。ちょっと怖くて歩けない場所なのだけど。

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50メートルほどの場所に小川というか用水路というか濠というか水路があり、大雨の時には溢れる寸前になる。そんなアブナイ場所に地下道があるのも不思議だが、実は岡山や倉敷には、街中でもあちこちに無数に用水路がある。さらにふたがついていない。毎年、特に冬になると転落者が次々にあって、地方紙に訃報記事が連載されることになる。

もともと、江戸時代に岡山県は池田藩やその支藩は、決められた石数の中で利益を最大化するために、瀬戸内海の干拓を進めていたわけだ。○○漁協とか存在しなかった時代だ。そのために、ため池を作ったり、川の水を引いたり、塩分の多い土地の生産性を改善するためにニシンの粉を使ったり。

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ある意味、石高破りというのが大名の才覚で、干拓したり、芋を作ったり、棚田を作ったりする正攻法もあるが、高級陶器を輸出して大砲を買ったり、もっと手軽に密輸をやったり。まあ、脱法行為よりも違法行為の方が効率がいいのは幕末の結果通り。OPECの盟主であるサウジアラビアをコケにするように湾岸諸国のうち何ヶ国かがLNGや原油類似石油類を採掘して高級ホテルを林立させたり、ワールドカップを開こうというのと類似している。

で、毎年、何人もが街中で不意に落命する原因が、超簡単に言い切ると、「国土維持の歴史」」ということになると、「命と国土」というとんでもなく現代的なテーマに昇格する。

無人の島を守るために、軍隊が戦うことの意味ということになるのかもしれないが、問題は、隣国が狙っているのが、無人の島だけなのか、ということだろうか。C国側だって、「無人の島を手に入れるために戦争して犠牲を払うべきか」ということになるわけだ。負ければ、政権崩壊して大崩壊するのは目に見えているし。

台風と桃

2014-08-12 00:00:34 | あじ
台風11号が西日本に近づいたのが8月8日から10日。8日の段階では進路は、まだはっきりしなかったが、9日の日には高知から岡山を通ることになっていた。実際には、少し東よりになり兵庫県の方になった。

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そして岡山では、白桃の出荷シーズンと重なっていた。8日の段階で、出荷には少し前だが台風被害を受けるならば、ということで出荷を始めた農家が多かったそうだ。結果として、地元のスーパーにはわずかに小ぶりな桃が安価で並ぶことになった。3割ほど安い感じだ。200円ぐらいだ。

台風被害というのは、まず枝が折れること。さらに白桃の特徴である白さを出すため袋かけしておるのだが、強風で袋と桃の実がこすれることにより皮に傷がついてしまうことだそうだ。

実際には、完熟より大分前の桃が食べやすいので(といっても皮をむくのが難しいほど固いのは困る)、お買い得と言える。台風の後でも少し皮に傷かあるのが出るのだろうが。

実際、農家の側からみると、台風がなければ100だった価値が、早めに出荷すると70になる、何もしなければ台風被害でゼロになったり、台風がそれると被害がなかったりする。台風被害がある可能性を50%とすると、全部を70で売る場合と、50%の確率でゼロになったり、50%の確率で100だったり。もちろんすべては仮の数字だが。

 70>0×50%+100×50%

ということになるのだろうが、実際には70とか0とか50%というのは、すべて変数である。ダメになった桃でも白桃ジャムになったりするだろうし、みんなが早売りすれば、桃の価格は上昇するだろう。そもそも一つの式の中に変数が4つも存在するわけだ。

同じようなのが、スカイマークの株価。NISA枠の半端枠で買っただけなので、どうでもいいような話なのだが、エアバスにいじめられて崩壊感覚に近づいている。エアバスとしてみれば、大手の傘下に入るように追いつめて、あわよくば契約も引き継いでもらいたいと思っているのだろう。あまりない商法だ。300円の株を200円で手放すか、崩壊してナッシングになるのか、あるいは神風が吹くのか。台風と桃の(仮の)変数と似ているような気がする。

アウトブレイク(映画・1995年)

2014-08-11 00:00:50 | 映画・演劇・Video
言わずと知れた最強ウイルスによるパニックサスペンス。映画に使われるウイルスは、モターバウイルスといって、エボラをもう少し強力にしたもの(本当は、どちらが強力なのかよくわからない。エボラの潜伏期間は7日だが、モターバは1日。感染者は1日で発病し、翌日亡くなる。エボラは7日間で各地に感染者が拡がってしまう。

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問題は、エボラウイルスにも変種が多いが、今のところ空気感染することはないが、モターバの変種は空気感染する。このため、感染者が映画館で咳をしただけで、人口2600人のアメリカの小さな町が全滅に瀕してしまう。

そこに、登場するのがCDC(米国疾病予防管理センター)やWHOなどの組織。陸軍や大統領などが入り乱れるわけだ。どうも現実と同じじゃないだろうか。主演のダスティン・ホフマンが大暴れ(大活躍)して、宿主を探し出し、ワクチンを作ろうとするのだが、町を気化爆弾で生存者ごと焼き尽くして感染防止を図ろうとする陸軍が妨害するわけだ。

住民ごと気化爆弾で窒息死させる方法なんか、イラク戦争で練習済みだからだろう。69年前には原爆2発を使った国だから、いまさらヒューマニズムなんて・・

ところで、エボラの方だが、米国(CDC)とWHOの主導権争いになると具合が悪いような気がする。自国民を連れ帰り、それぞれの国が治療薬を使うのだが、薬を使えば、そのつど新たなウイルスの変異を促すだろうし、それをコントロールすることは極めて難しいからだ。特に、村ごと焼いてしまえ、というように映画方式になった場合、空気感染できるウイルスに変異してしまうと、本映画と同様に、世界中が地獄となるだろう。今のうちに、水や食糧の買いだめが必要だろう。

細川家の絵師たち展

2014-08-10 00:00:42 | 美術館・博物館・工芸品
羽田空港第2ターミナル内にあるディスカバリーミュージアムで公開中の「細川家の絵師たち」展へ。

この空港内の無料美術館だが、なぜかずっと細川家のお宝発表会になっている。細川家のお宝といえば、旧江戸屋敷のあった目白に永青美術館があるのだが、所有美術品の規模は、はるかに美術館の容量を超えていて、半永久的に展示することができないような美術品も多数あると聞いていた(都知事選に何回立候補しても大丈夫なのだろう)。

この空港美術館も、そういった公開サービスの一環なのだろう。

そして、今回の「絵師」だが、基本的には大名と言うもの、絵師をお抱えにするものだったそうだ。当代の画をはじめ、各種行事の際の装飾や、側室一号や二号が量産する女子の嫁ぎ先への嫁入り道具やら、屏風にしても何種類も必要だろうし。まったく費用がかかるわけだが、家の格もある。

大型大名のひしめく九州の熊本にいた名門細川家は代々の美術好きということで、矢野派、肥後加納家と多彩である。まあ、農民の年貢がきつかっただろうとは思うが、美術品好きがいたからこそ、現代人を喜ばせるのだから、まあ批判するのはやめておこう。


展示品は、数多くの名品だが、その中で、屏風が引き立っていた。

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前期展示では、宇治川合戦図屏風、後期展示では、一ノ谷合戦図屏風。いずれも矢野三郎兵衛吉重の作。源平合戦を描いたもので三代当主細川忠利の時代である。細川家は、武家の中では源氏筋ということになっているが、この屏風に影響を与えているのだろうか。よくわからない。

そして、次回の展示会は、この平家物語や源平盛衰記を題材としたものらしい。実は今、仮寓を構える倉敷には、源平合戦の歴史に刻まれる二つの戦場がある。一つは平家の勝、一つは源氏の勝。まだ現地未調査なので、戦場ルポは、そのうち。

夢想の研究1を読んで

2014-08-09 00:00:33 | しょうぎ
将棋パラダイス8月号から連載が始まった若島正氏による「夢想の研究」。夢想=無双ということらしく、伊藤宗看の「将棋無双」の現代的読み直し(詰め直し?)のような内容で、わかりにくい構想作をわかりやすく解説している。無双は100題あるのだが、まさか連載が100回にわたることはないだろうと思うが、若島氏のことだから心配だ。そのあと、さらに看寿の「図巧の研究」全百話が始まったり・・

実は、前から気になっているのだが、無双なり図巧なりの献上図式に含まれなかった作品のこと。この二冊の献上図式は初型の玉位置が全格配置になっていて、その81の場所以外の19も規則的な位置を与えられ、さらに1~100までの並び方にもルールがある。

その結果、本来は宗看や看寿の作品の中ではベスト100に入らないのにマスの穴埋めのために献上図式に掲載されたものもあるのではないだろうか。そうなると、逆に幻の未発表作品群というのが、あるに違いないと思うわけだ。

もちろん、それらがすべて脳の中にのみ存在していたのなら、もはや消えてしまったということだが、完成作品の複雑さを考えれば、「紙」の上に存在していたと考えるのが妥当なのだろう。そして、残されたのか、焼却されたのか。

一般的に言うと、名人になると幕府に献上していた図式百番だが、各名人は大いに苦労していたようだ。名人就位に間に合わなかった程度ではなく、弟子に作成を依頼したり、古来から家元に伝わる秘伝の図を使ったり。

仮に、伊藤家でもそういう危機感があれば、未来の名人のために無双、図巧の補欠作をリザーブしたのではないだろうか。

しかし、献上図式はこの二人のあと大橋家より二冊が献上され、その後、大橋宗英がギブアップしてしまい、伊藤家の名人達が献上することはなかった。

となると、今でも伊藤家のご末裔の方の倉庫に眠っている可能性があるのではないだろうか。


さて、7月26日出題作の解答。

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今週の問題。

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また欠点を見つけられそうな予感あり。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数を記していただければ、正誤判断。

ニシンとホッケ(とアジ)

2014-08-08 00:00:10 | あじ
先日、北海道に行ったときに、ニシンの焼き物を食べる。生ニシンではなく、軽く干したもの。その時に、「ニシンは皿に乗るときに皮の部分が上なのだが、ホッケは腹の方が上だったのではないだろうか。」という疑問がわきあがった。

nishin


その後、岡山に戻ると、ニシンもホッケも姿を見ることがなくなる。岡山の人の口には合わないのだろう。となると、ホッケが腹を上にしているのかどうかわからない。たまたま、東京で宴会があったので、さっそくホッケの焼き物を頼むと、・・・

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やはり記憶の通り。腹が上だ。なぜ逆にするのだろう。

一つの仮説として、ホッケの皮は固くて、やや気持ちのわるい黒さがあるため、見えないようにした、ということができる。

また別の仮説としては、ニシンの小骨がのどに使えないように食べるには背中の方から箸でついばむのがいいから、ということも言えるかもしれない。

早い話がどうでもいいようなことなのだが、少し気になる。

ところで、最近、大手町で「アジの塩焼定食」をいただいたところ、800円と、やや周りよりも安い感じがしたのだが、食べてる途中で気が付いたのだが、アジは半身しかなかった。残る半分は別の人に回すのだろう。シッポは一つしかない。

右寄り?左寄り?

2014-08-07 00:00:37 | 市民A
昨年来、なんとか腰痛をごまかしていたのだが、5月に再発。10年ぶりにカイロプラテックに行き、数万円の対価で何回か調整の結果、右側の腰が大きく下がっていたものを矯正する。3ヶ月がかり。診察券で確認すると、15年前、10年前と二回調整していて、今回が3回目。

どうも、バッグなどをいつも右手で持っていたことが、右腰が下がっていった原因ではないかと推測している。

それで、なるべく右手ではなく左手でバッグを持つことにした。

しかし、そうすると問題があることに気が付いてきた。エスカレーターである。今、全国的にエスカレーターに乗ると、左側に寄って立つことになっている。右側を急いで登る人のためにあけておくためだ。

その時、左手にバッグを握っていると、左側の手すりを触ることができない。かなり不安全な状態になる。

じゃあ、右の手すりを持てばいいのだが、それでは「大阪方式」になる(新大阪駅は「関東方式」であるが)。大阪は右寄りだから左手バッグで問題ない。

では、岡山県はどうかというと、実は混在している。年配者が右寄り(大阪方式)。若い人が左寄り(関東方式)。そして、現在は、急速に左寄りに変わりつつある状況である。まあ、みんな世代間差異のことをわかっているのだよね。で、若く見られたいから・・・


それで、左側に寄りながら、右手で手すりを持つ方法について、色々と研究していたのだが、最近、ベストな方法に辿りついた。

つまり、エスカレーターに後ろ向きに乗ればいいわけだ。ただし、まだやったことはない。

流人と非人(森永種夫著)

2014-08-06 00:00:46 | 書評
runin著者森永氏は、長崎出身ということで、江戸時代の長崎の古文書を研究されていたようだ。同じ岩波新書の「長崎奉行の記録」に続く二冊目の上梓ということだったようだ。(この本は1963年の初版なので50年前のことなのだが)

まず、題名に違和感があったのは、「流人」と「」というのはカテゴリーが違うのではないかと思ったこと。「流人」というのは放浪者ということではなく「島流し」になった人のこと。つまり犯罪者(中には無実の罪を着せられた者がいたかもしれないが、いやいるに決まっている)。一方、「」は非差別階級者。本のテーマとしてはジャンルが違うのではないか。

ただ、読んでみると、「」の方は、差別の問題を書いたのではなく、「流人」と同様に犯罪を冒した結果、「階級」にされた(手下)人のことを書いたわけで、ようするに本書の言いたいことは、江戸時代の長崎周辺で、どういう犯罪が行われて、その結果、島流しや身分を失うものがいたか、という犯罪記録帳ということのわけだ。

さらに、「流人」や「」になるに至った犯罪の記録であるとともに、そういう身分になってもさらに犯罪を続けるものがいて、それらの記録も細かく述べられている。

犯罪は、社会を写す鏡ともいえるわけで、結局は江戸時代の社会を描いた本であると言った方がいいのかもしれない。さらに長崎は、日本指折りの大都会であったわけで、切った張ったとか、好いた好かれたというような江戸の町とは違って、「密輸」とか「巨大詐欺」、「汚職」、「贋金つくり」「島抜け」と派手なのが多い。

それと、江戸の末期の方になると、処罰が軽くなってきたり、親戚一同の連座制もほとんどなくなったりしているようだし、犯罪者の再犯に対する処罰も、二回目はおもくなるということもないようで、現在の方が厳しいのではないかと思うぐらいだ。

ところで、江戸時代の初期には、なんでもかんでも「島送り(天草方面)」にしていたようで、何か恩赦があると、返してもらえることがあったようだが、恩赦の報が届いた時には、すでに亡くなっていたり、帰る気力を失っているものが多かったようだ。

北西の国に連れて行かれた人たちのことを、連想してしまう。

日本語をさかのぼる(大野晋著)

2014-08-05 00:00:45 | 書評
nihongo大野晋氏の著作を岩波新書で何冊か読んでいるのだが、本質的に難しい研究を、かなりわかりやすく書かれている。本著は、日本語の奈良時代の少し前あたりから平安時代あたりまでの変遷について詳しい。

ここに本書をサマリーする能力もないので、部分的なところだけだけど、なぜ日本の古典の多くは女性の手になるのかということ。

結局、日本の男性エリートは、小舟に乗って中国にいって勉強してくることになっていた。歴史上に詳しいが、ロス率が高い。5隻で行っても2、3隻になってしまう。沈んでしまえば、エリートでもグッバイとなる。さらに、行ったら帰らなければならないが、帰れなくなる人もいるし、反対に日本に着たまま中国へ戻れなくなる人もいる。

そのような困難を経なくても、中国から取り寄せた書籍を読まなければ文化人とはいわれないが、外国語である。さらに中国は今と違って先進国だったので、発展途上の日本にいては理解できないことばかりだ。とても、「文学」に手が回らなかった。ということだそうだ。

それと、源氏物語(つまり紫式部)の特徴として、「新語」がすさまじく多いということがデータで示されている。ちょっとした単語は文法と語感をリンクさせて簡単に作ることができたようだ。

たとえば、「ウラメシ(うらめしい)」という基本語に「モノ」という接頭語(なんとなく、定かならぬの意)をつけ、「モノウラメシ」を作り、さらに接尾語「ゲ」(見た様子)をつけたり、さらに「ナリ」をつけ、「ウラメシ」、「モノウラメシ」、「ウラメシゲナリ」、「モノウラメシゲナリ」と、どんどん作って、話の状態に応じて使い分けていくそうだ。

だから、源氏物語は古語辞典と相談しなければ読めないわけだ。

そして、日本人の空間感覚、信仰感覚、時間感覚について東アジアの中での日本の特徴について論は進む。つまり言語、意味を文化の中の一形態としてとらえるわけだ。

日韓というのも、結局は「似て非なるもの」なのだろうと思うわけだ。

マッチポイント 殺人犯の運命は

2014-08-04 00:00:20 | 映画・演劇・Video
2005年公開のウディ・アレン監督作。英国上流階級を小馬鹿にした映画だった記憶があり、観終わった時の第一印象は、「英国紳士の集まりにノーネクタイで行くのはアイルランド人とみなされる可能性がある」ということ程度だったのだが、しばらくして、色々な細部が繋がってきた。

ネットで評を読んでみると、私の第一印象と同じように「駄作」と思った人と、シェークスピアクラスの名作と評する人に二分されることがわかった。もっともシェークスピアは彼の前に彼はいないのだが、現代のシェークスピアは、シェークスピア劇のもじりと言ってしまうこともできる。

おおあらすじで言うと、元テニスプレーヤーのクリス(ジョナサン・リス・マイヤーズ)がテニスコーチをしていて、知り合った大富豪一家の娘と首尾よく結婚し、会社の重役に昇進していくのだが、愛人ノラ(スカーレット・ヨハンソン)との愛慾生活に溺れているうちに妊娠させてしまい、離婚を迫られるわけだ。よくあるドラマ筋である。

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で、ここでついに殺人を決行するに及ぶわけだ。私は、話の流れからして、本妻を殺すのではないかと途中で予測していたのだが、猟銃で撃ったのは愛人の方。さらに麻薬中毒者の強盗殺人を装うために、無関係の愛人の隣人を殺してから偶然現場で出くわしたかのように偽装工作を行う。

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で、一見、警察の捜査から逃げ切ったかのように見えるところで、THE ENDとなるのだが、・・・

途中でクリスが読んでいたのが「罪と罰」。証拠隠滅の綻びは何カ所かにあって、隣人の指輪を川に素手で投げ捨てたのが失敗。さらに凶器の猟銃を義父の銃ケースに戻す時にはまたも指紋を残している。刑事は、まだ疑念を晴らしていない状態でクリスはノラの亡霊に悩まされる。「罪と罰」状態が進んでいくわけだ。またロンドンには市内に防犯カメラが多数設置されているし、目撃者は多い。

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気になって調べてみると、英国(イングランド)では、殺人事件に時効はない。現場に髪の毛でも落としていれば、いずれ、正義は勝つのではないだろうか。

ところで、何かコーチをして大富豪の娘と近づきになると、いいことがあるのだろうか。何も愛人作成まで発展しなければそれでいいではないだろうか。手っとり早いのが将棋コーチなのだが、わざとゆるめて、「お強いですね、すぐに女流プロに勝てます」とか保証してしまい、女流プロに「わざと負けてもらう工作をお願いする」というような展開になるのだろうか。工作料の出費が予想される。なかなか成功への道筋が描けない。

高梁成羽美術館で化石展

2014-08-03 00:00:25 | 美術館・博物館・工芸品
『世界に誇る成羽の化石』展の無料チケットを高校時代の同級生から分け頂いたところから、今回の話は始まる。

関東の大学を起点として、希少動植物を世界の秘境に求め、研究を続けているのだが、岡山県の内陸のさらに山間の展覧会に行きたいと思う人はそう多くもないはずで、遠慮なくいただくことにする。

倉敷からは、クルマで1時間と少しかかるが、なかなか運転は大変である。川沿いの道を上り、山城(備中松山城)で名高い高梁(たかはし)の町で高梁川を横切り、支流である成羽(なりわ)川に沿ってさらに山地に分け入る。

と、

突然、近代的な建物が現れる。

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高梁成羽美術館である。

ただ、なぜ美術館で化石展が行われるのかについては、事前にわずかに調べたところによれば、成羽が化石の発見多数地域だからだそうだ。

さらに、混乱するのが美術館なのだが、この地出身の画家児島虎次郎を記念する目的であったということらしい。児島虎次郎といっても、画家としてはそれほどメジャーではないが、倉敷のコレクター大原孫三郎が大原美術館を計画した際、パリを中心としての美術品買付を一任された人物として有名だ。画家としての傾向としては、フランスの多くの画家をトータルしたような独自の画風で、誰にも似ているようで誰にも似ていないというか、酷評すれば個性が薄いということもできるが、だからしてコレクターの代理人としては大成功したと言えるのかもしれない。

さらに、オリエント系のコレクションも残していて、この美術館は、児島虎次郎の遺作群と児島虎次郎のオリエントコレクション群と化石(主に植物化石)群の3要素からなっている。

さらに、美術館そのもの。建物に入るエントランスは水に囲まれていて、コンクリ打ちっぱなしの壁などの感じが、「安藤忠雄」風だなあ、と感じながらも、まさかここに安藤忠雄の設計があるわけないし、とか思いながら入口に到達すると、どうも近々安藤忠雄の講演会があるらしい。

無料招待券を出しながら、つい「安藤さんの設計ですか?」と気軽に「安藤さん」が知人かのような聞き方をしてしまった。

たぶん、そこで勘違いが発生したのだろうけど、「安藤さんの知人」と思われてしまったらしく、化石ルームでも絵画ルームでも三越の店員みたいに学芸員と思われる館員の方が付き切りで説明していただけそうになって窮地に陥る。(20年前。公立美術館としては安藤さんの最初の設計だそうだ)

といっても植物化石のことなど、もともとよく知らないので、なかなか対応が難しいのだが、小学生の時にかなり標本とかやったことがあるので、現代では珍しい妙な葉脈の化石など結構面白い。

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で、なぜ成羽に化石があるかということなのだが、3億年位前には、この場所は中国大陸の沿海部だったようだ。上海のあたりというイメージだ。

日本で中国の一部だったのは、そのあたりから北九州のあたりまでで、ではなぜ現在の中国山地の一部のような場所が中国の沿海部だったのかは、よくわからない。日本の残りの場所は海だったわけだし、日本海とか瀬戸内海とか、それからずっと後に完成(表現が悪いなあ)したようだ。また、僅か1千万年程度、海だった時期もあり、その頃の貝類も発掘されている。

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植物化石のことをこれ以上書き綴るのも困難なので、この知人のことなのだが、高校の時に地学の先生の授業を一緒に受けているのだが、大苦痛だったのが、フズリナの化石標本作りだった。化石の塊を鰹節みたいに番手の違う紙やすりで薄く削って仕上げなければならない。

「もしかして、その時の授業が現職に至る第一歩ではなかったのか」という推測を思いつき、聞いてみたのだが、「その通り」ということだそうだ。残念ながら、私には、何の影響も与えなかったわけだ。


ところで、入口で「安藤さん」ではなく「安藤ちゃん」と言うと、どういう結果になるのか知りたいのだが、誰かチャレンジしてくれないかな。

*喫茶室で、日本の宇治茶の茶葉から作った紅茶飲めます。おくゆかしき味です。

名人就位式は終わったのだが

2014-08-02 00:00:54 | しょうぎ
名人戦が終わり、免状署名者が永世名人3人(名人、竜王、会長)の連名になったはずなのに、そういう話が聞こえてこない。まさか、竜王・名人が一人だった時に書き溜めていたものを在庫がなくなるまで使う気ではないだろうか。すぐに竜王戦が始まるので、気が気でない。

在庫販売といえば、棋譜用紙。プロ棋士の棋譜は140150手までを1枚の用紙に記入できるのだが、将棋連盟の売店に買いにいくと売ってくれない。アマチュア用は120手だから、と言われる。棋風が変わって長手数をいとわなくなったため120手だと二枚になりやすいので140150手用がほしいわけだ。120手用はまだ使いきっていない。といっても、元々プロは120手用を使っていたので明らかに在庫処分が目的だろうと思うわけだ。


さて、7月19日出題作の解答。

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今週の問題。

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わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数を記していただければ、正誤判断。