林芙美子没後60周年記念展

2011-10-16 00:00:37 | 美術館・博物館・工芸品
横浜山手にある神奈川近代文学館で開催中(~11/13)の林芙美子展に行く。
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昭和前期に激烈な人生を歩んだ林芙美子の人生を振り返る第一部と、その作品論を中心とした第二部にわかれる構成になっている。林芙美子ファンには是非勧めたい展覧会である。

極貧のこども時代。尾道の小学校の位置は、3年前に尾道に行ったときに頭に入っているが、今でも街筋は変わっていない。何しろ文章の上手い女の子で、その後、小説家になることを夢に見ながら東京に上京し、結局カフェの女給をやりながら、詩や小説を書き続ける。

そして出世作が、有名な「放浪記」である。自らの地理的放浪を記述しながらも実は内面に潜む精神の放浪がえメーンテーマだろう。繰り返し復刻されている。


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そして、流行作家として立った頃に始まったのが日中戦争。彼女は慰問団として、以降中国大陸を何度も訪れている。いわゆる戦争協力者ということになる。とくに昭和12年12月31日には占領したばかりの南京に入っている。いわゆる南京大虐殺が起こったとされるのは同月13日の占領から6週間の間といわれるので、まさにその時に作家林芙美子は現場にいたことになるが、彼女が残した記録は、単に南京に到着したというメモだけである。

その後も戦争に協力するが、昭和18年に長野県に疎開して以降は、しばらく軍線からは距離を置く。慰問団は朝日、毎日の両新聞が運営を行っていたのだが、戦後ジャーナリズムはその点には触れない。

そして、戦後。

芙美子は熱病にとりつかれたように書き続ける。そのすべてが、戦争による犠牲を強いられた人を描いたものである。芙美子自身が語るように、「復員兵」になったつもりで働いていた。

そして、ついに働き過ぎで、心臓を傷めた彼女は、46歳で急死する。

通夜のお清めの席が、大荒れになったことや、追悼文としては名文すぎる川端康成の賛辞については、本展では触れられないが、そうして賑やかにして送られる。60年前のことである。

一歩千金

2011-10-15 00:00:37 | しょうぎ
好きな将棋の格言に、『一歩千金』というのがある。

持駒にあと一枚歩があれば必勝なのに、というような時に使う。

表層的な意味を考えれば、小駒である「歩」を称賛しているように思えるが、本当のところは、「わずかな歩一枚があればなあ、と思う時にこそ、その一歩が手に入らない。というようなマーフィーの法則風のような警句なのかもしれない。


さて、10月1日出題作の解答。

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▲3九金 △同玉 ▲3八飛 △2九玉(途中図1) ▲3九金 △1九玉 ▲2九飛 △1八玉 ▲2七歩 △1七玉(途中図2) ▲1八飛 △同玉 ▲2八金まで13手詰

最後に飛車捨てを行うために、あらかじめ飛車を打っておく、という図式である。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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ちょっとさっぱりした軽快手順で・・

一時、はやった図式のような気もするが、昔のことは、よくわからないので。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記していただければ、正誤判断。7手目注意。

原発議論は十年封印したら

2011-10-14 00:00:39 | 市民A
原発推進から原発廃止まで、もともと日本には様々な考え方があるのだし、今までは、何が何でも地元への補助金と政治献金と広告費によるマスコミ操作で、原発を推進していたのだが、それらの構造が明るみに出るにつれ、「なんだこれは」とか「結局安くないじゃないか」とか「何を信じればいいのか」というようなことになってきている。

ただ、現在の議論の主流である「暫時縮小論」だって、「政治資金が払えなくなった」「広告費が払えなくなったからマスコミに見捨てられた」ということかもしれないし、代替エネルギーの多くは、割高と思われる。

さらに、今度の事故や、その前の柏崎の問題にしても、総合的な事故の分析すら行われていないし、だいたい融溶したと思われる炉心にあった核燃料棒そのものが、今、どこにあるのかすらわかっていないのである。敷地の周りの放射線量だけを測定して安全宣言するような話じゃないわけだ。建物の基礎であるコンクリートを現在進行形で破壊中かもしれないし、一旦それを突き破って地面に穴をあけはじめたら何千メートル地下に潜っていくかもわからないし、既にそうなっているのかもしれない。

また、今だって原発の細かな事故は後を絶つことなく続き、そのたびに長い停止期間に入っている。


それで、簡単にはわけられないが、原発事故は、原子炉そのものの事故なのか、原子炉を地震大国日本の、どこかに置ける場所があるのだろうか、という問題と、管理する体制(会社)が事故を拡大させたのかを考えなければならない。

といっても、「直下地震に強い原子炉」なんて研究は誰もしていない。確かに阪神淡路の時は断層が1メートル以上動いたのだが、原子炉の下の地面が1メートルずれても安全か、というように聞かれても答えられないだろう。

組織問題といっても、この事件をもとに、官僚制度廃止とか言い出しても、とてもできる訳ない。せめて東京ガス程度にしてほしいということだろう。


また一方、日本のノーベル賞作家が反原発推進デモを扇動しているが、彼の反対論は原子爆弾廃止からきているのだろうが、原子核分裂反応を平和利用しようと考えたのが原発なので、ちょっとずれている感が漂う。

まあ、そういうことで、根拠の見えないことを現在、感情論で、決めるというのも、国民を二分するような気がする。

十年(あるいはもっと短くても)研究してから答えを出したらどうなのだろうかと思っているのだ。

えびしおらうめん

2011-10-13 00:00:49 | あじ
川崎のラーメンが熱い。いや、ラーメンはどこでも熱い。ラーメンシンフォ二―は、さらに熱い。

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たまたま、川崎に5回くらい行く機会があった。そしてなんとなく中途半端な時間になり、空腹を満たすために鼻を利かせてみると、地下一階のラーメン街にたどりついた。4~5店舗らしい。

そのうちのひとつ『大山』(たいざん)に入る。

「えび塩」800円。

駿河湾のえびらしいが、その姿は見えない。えびの匂いはするが姿は見えない。

妙なものを考えたものだ。

えびの姿をみるならば、1100円の「えびらうめん」というのがあって、えびのかき揚、大根おろしがのっている。麺も普通のラーメンのソバではなく。「らうどん」というのを使っている。

手を加えれば加えるほど、天ぷらうどんに似てくる。


だが、味的には、ちょっと・・違うかも。

のっぽのピエロ

2011-10-12 00:00:41 | 市民A
「のっぽ」という言葉は、現在、差別用語になっている。ビートルズの「のっぽのサリー」はいつの間に「ロング・トール・サリー」に変わっている。『のっぽ』の反対語は『ちび』であり、『ちび』が差別語なのはよくわかるが、その反対語まで差別語にするのは、どうかと思わないでもない。

「ちび・でぶ・はげ」はかなり多数見受けられる三大差別語だが、反対語まで禁止されるのは「ちびVSのっぽ」位か。もっとも「はげ」の反対語はよくわからない。「O型はげ」と「M型はげ」が反対語の関係になるのかな。「貧乳VS豊乳」とかも差別語なのかな。

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全然、方向違いに発展しそうなので、もとに戻すが、のっぽのピエロのこと(話の展開が、間違っているのだろうか。すでに書き始めているので、このまま進む)。

近くのサーティーワンの前の広場に、身長3メートルの怪人が登場。どうも義足のような足がズボンの裾から見えるのだが、何の支えもなく歩き回っている。帽子にとりつけられた風船を、くるくるとキリンやプードルに加工して、周りに群がるこどもに手渡すのだが、見るからに転びそうである。

といっても、転んだりしないで、こどもたちに足の間をくぐらせたりする。ひざにあたる部分が若干曲がるというのも、なんだかハイテク風だ。

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ちょっと思ったのだが、こんな技術でももっていれば、「失業」しないだろうなあ、ということ。「手に職を持つ」という言葉があるが、このピエロ氏は「足に職を持つ」といったところだろう。まあ、話術とか、ショーの展開力とかも重要な要素だろう。もちろん「転びそうで転ばないこと」がもっとも重要だろう。


そして、まったく妙なことに気づくのだが、足を長くすることで、歩くスピードが格段に速くなることだ。東京大地震が起きた時は、この長い脚で都心脱出を図れば、かなり速足で歩けるだろう。が、余震が起これば、ひっくり返って顔面強打するのは、言うまでもないだろう。

EUの蹉跌

2011-10-11 00:00:25 | 市民A
EUで銀行崩壊が始まった。ギリシア国債なんて高が知れてると思うが、一体どういうことなのだろうか。サブプライムローンとか日本のバブルなんかは途方もない金額ってわかるが、欧州のメガバンクがどうなっているのか、さっぱりわからない。何年か前に陽気なギリシアのバンカーと寿司屋で話したことがあるが、まあ、そういう人は上手いことやるのだろう。

これから1週間、アジアへ飛び火するようで、WORK中の輸出案件なんて、ズタズタになるのだろうか。いやになる。日本の周りに、体力のある銀行なんてまったく存在しないのだから・・

ところで、1ユーロ=100円ということになったようだが、ユーロがスタートした時が、そういうレートだった。その後、わけもなく1ユーロ=160円ほどになり、ロンドン駐在員がラーメン2000円に、もがき苦しむことになる。


ところで、ユーロが統一通貨として、市場に登場する1か月前にスペインを旅行していた。結構、通貨では混乱していて、クレジットカードはユーロ決済だった。EUとユーロは微妙に異なっているのだが、本質的には同根である。「ヨーロッパの統合」。

ところが、統一直前のスペインでは、国民の方が心配をしていた。スペイン人らしくないのだが、「EUの足を引っ張るわけにはいかない」という責任感である。無責任な国民でもなく、イスラム教徒を西側でアフリカ大陸に追い返したのは、この国の底力である。

統一前に何をしたかといえば、「シエスタ」の廃止。

シエスタとは昼寝時間のことで、0時から3時まで、職場から消え、自宅に帰ってランチを食べたりワインを飲んだり、夫婦の愛を確認したりする。あるいは愛人とランチを食べたり、ワインを飲んだりホテルで愛を確認したりする。

それを、どの職場でも廃止したそうだ。もっとも朝のバルセロナ駅ではスーツ姿でキオスクでビールを飲んでる人は多い。時間は違っても、やることはやるということだろうか。

そして、スペイン人の努力もむなしく、その後、どんどん加盟国が膨張してしまい、残すところは、ロシアとトルコということになった。(ロシアは加盟する気はまったくない)

で、最初から無理っぽいと思っていたのは、域内の経済格差である。

たとえば。日本では、東京を除いた46都道府県の一人当たりGDPの差は2倍以下である。沖縄が貧しいというが、行ってみると物価が格段に安いから、生活的には、そんなに困窮しない。困窮しているのは首都圏の失業者である。(失業問題は横に置いておく)

ところが、欧州では豊かな方のイタリアでは南北格差が2倍以上。たぶん物価調整の範囲を少し超えているだろう。どこの国でもそれ位の問題を抱えている。その国内の問題を解決するために、先行加盟国は中欧とか南欧とかより貧しい国を仲間に入れて、経済成長をはかったわけだ。

が、そうなると統一通貨内全体をみれば、一人当たりGDPの地域間格差はさらに拡大。一方、生産財の流通は自由なのだから物価の差は均衡化に向かうため、沖縄のような物価調整機能は逆に格差拡大方向に向かっていく。

一方、正式にはまだ決着付いていないのだが、事実上のトルコの加盟を拒否したため、EUという枠組みを拡大することによる経済成長は、「終着駅が見える」ということになったわけだ。トルコが加盟すれば、エジプトだってアルジェリアだって、リビアだって、EUに加盟しようとするだろう。

ギリシアだってオリンピック開催したせいで、財政破綻したといえなくもないし、西洋文明の起源だから追い出されることはないだろうと、根拠なき依存心が国家丸ごと親方日の丸(表現が変だ)になったのが原因だ。公務員がストやデモばかりやる。

ということで、はたでEU危機の出口を探せば、「ギリシア」を追い出し、「トルコ」を加盟させて、いずれ北アフリカから順にアフリカを経済圏に取り込んでいくようにすれば、まだ数十年は自転車をこぎ続けることは可能なのではないかと思うわけだ。

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2011-10-10 00:00:02 | マーケティング
パソコンを箱から取り出すと、説明書類、一切なし。ちょっと組み立てるのに時間がかかる。キーボードのフニャフニャ感に覚えがあったのだが、二代前のパソコンはhpだったことを思い出す。

あらかじめ、前のパソコンからデータはバックアップしていたので、少しずつ移し替える。VISTAからWIN7にすると、ちょっと時代を遡ったような感じがするが、それにしてもVISTAは使いにくかった。人間の思考パターンを理解しなかったのだろうか。ちょうど、新興国の経済発展の時期だったので、デビュー当時、BRICSからVISTAにという語呂合わせで有名になった(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)。

最初から、「日東駒専」といった語感だったのだが、そういう書き方だと卒業生から怒られそうだ。

やはり、年賀状ソフトは「7」では動かず、7へのアップグレードをダウンロードするつもりが、再び旧型ソフトをダウンロードしてしまった。3000円の損害だ。

しかし、ノート型を二代連続で2年強で壊したのは、詰将棋ソフトをぶん回したせいで、今回はタワー型にしてみた。少しは高熱に強いだろう。

思い出せるかどうか疑問だが、今までのパソコン履歴は、NEC→NEC→富士通→東芝→hp→NEC→DELL→hp。

ネットで購入したのだが、使い始めると、以前のhpのときに不満に思っていたことが、そのままなので、ちょっと驚く。

見果てぬ夢

2011-10-09 00:00:31 | 映画・演劇・Video
かなり久しぶりに、六本木の麻布区民センターホールで開かれる「麻布演劇市」に行く。今回は「演劇集団土くれ」の『見果てぬ夢』。

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ところで、3.11から、ちょっと閉所空間に行くのが怖かったのだが、最近、閉所中の閉所と言うような場所に突然の都合で入ることになった。(とはいっても、留置場じゃない)

まあ、そんなわけで、閉所克服がなって、小劇場に行く気になったのだが、カーテンが開く前に地震の時の注意事項の口上がいくつか並べられ、非常口には、あらかじめ「避難誘導員2名」が配置されるということになったそうだ。(問題は建物を出た後の誘導員なのだが)誰が時給を払うのだろうか?

さて、小ホールなので、ざっと観客は100人強。出演者は後で数えると13~14名だったか。なかなか感動的なところの多い劇だった。

下敷きは、ドンキホーテらしいのだが、どこがドンキホーテなのか、それはさっぱりわからないのだが、舞台は「病院」。重病の患者から盲腸の青年、老人に若者。がんの告知ができない気弱な医師。

悲劇なのか喜劇なのか。本来は重いテーマであるのだが、「しょせんは、人間は生と死の二元論」というようなところなのか。

あれこれ、書きとめておきたいような名言が多数登場するのだが、ホールを出たとたんに、すべて忘れてしまったので、残念。


20歳若ければ演劇の世界に入ろうかと思ったかもしれないが、20年前に演劇の世界に入るような状況でもなかったわけで、しょうもないので、アマチュア的に今の自分を演じることにする。

キズ作登場の恥ずかしさ

2011-10-08 00:00:08 | しょうぎ
そういえば、LPSA製作の「日めくり詰将棋カレンダー2012」に応募した作は、どうなったかなと思い始めた頃、採用通知と一緒に記念のボールペンが送られてきた。

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複数作が当選したのは嬉しい限りなのだが、うち一作は、「あれれれ」といったところだ。
7手詰で2手目に玉型の変化によって別手順に進んで、やはり7手詰持駒なしという筋で詰む。いわゆる「変同」。キズ物である。まあ、詰まない問題よりマシだが。

実は、問題送付後、締切日が過ぎてから気付いたのだが、豪華な選題委員の顔ぶれからみて、すり抜けるのは困難と判断し、放置してしまった。

修正は、あっという間に終わる(一枚駒を追加)のだが後の祭りである。

おわびの気持ちとして、直ちにカレンダー予約をしてと思ったのだが、パソコン不調なので、後回し。


さて、9月24日出題作の解答。

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▲3一角 △1一玉 ▲1三飛 △1二歩(途中図1) ▲同飛成 △同玉 ▲1三歩成△1一玉(途中図2) ▲2二角成 △同歩 ▲1二歩 △2一玉 ▲3二歩成まで13手詰。

この問題、3五の香の位置が難しく、うっかりすると3二歩成で詰んでしまう。

また、玉を1一に配置して、初手に2二に捨駒を放って王を引っ張り出したい。たとえば3四に桂を配置して、初手に成り捨てなのだが、2二に角を打って詰んでしまう。2二に玉型の角を置けばいいのだが、いきなり角を取るのでは味が悪すぎる。

また、当初は2一には歩を配置したのだが、4手目の合駒選択で、「桂合」の変化を1秒考えてもらえるように香に交換。

盤上「(香+歩)×2」になる。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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必要なものは、犠牲を払っても手に入れること。一人のサウジアラビア人を見つけ出すために23万6千人が亡くなったことを思い出す。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記していただければ、正誤判断。

4Sは for Steve

2011-10-07 00:00:17 | 市民A
10月4日に発表された iPhone 4S は、当日は不評の嵐だったようだが、翌日になって、4Sに別の意味があったらしいと言われ始めた。また、当初発表予定と言われていた10月5日はiPhone5と語呂を合わせていたと言われていたそうだが、1日早めたのにも、意味があったのだろうか。

4S = for Steve

創業者の後継者というのは、実に難しいものだ。また、ワンマン社長の後継者というのも難しいもの。

ひそかにAppleに期待していたのは、本体自体がiPhoneサイズになったりiPadサイズになったり大きさが変わるような機種だったのだけど、・・・

ところで、10月4日に発表されると噂されていた iPhone5 だが、本物より前にニセ物が登場するという珍事が発生。

中国・福建省福州市で、Apple社の「iPhone5」偽造品61点が押収された。

iPhone5は発売どころか、発表もまだされていない。パクリ商品がついに本家を出し抜いてしまった。

2011年10月3日付の新華社の報道によると、工商行政管理部門が市内のデジタル製品販売市場を抜き打ちで検査したところ、「最新のiPhone5」とうたった商品を300元(約3600円)で販売しているのが見つかった。裏にはAppleのロゴがあったという。商品名は明らかにされていない。


*DELLのノートが不調のため、発注していた hp のデスクトップが到着。こちらのメーカーは、社長が猫の目のように変わるのが特徴だ(総理大臣ほどじゃないけど)。

「八月十五日の夜会」(蓮見圭一著)

2011-10-06 00:00:10 | 書評
ちょっと怖い本である。事実なのかフィクションなのか。朝の通勤電車で読むには構わないが、深夜にベッドの上で読むにはちょっとタフな気持ちがなければ眠れなくなる。

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時は昭和20年8月から9月にかけて。場所は沖縄本島の北東にある離れ小島である伊是名島。日米戦争の末期に沖縄本島では日本軍がすでに敗退していた。陸軍も海軍も、組織的には壊滅し、終戦を迎える。

ところが、終戦が終わっても、ここ伊是名島では、日本軍の残党がゲリラ戦を展開していた。島に渡った米兵を射殺したり、島民をスパイ呼ばわりしてリンチ殺人し、浜に埋める。その他、全編が戦争の残忍さで満たされている。

沖縄本島から流れた敗残兵、中野学校の卒業生、仲間から意図的にはぐれ島の浜に不時着した特攻隊員。信じられるものは何もない絶望の世界が描かれている。

作家は、戦争の無残さを訴えたのか。あるいは戦後生き抜いた主人公たちの隠された人生を描いたのか。あるいはそれらの日本の記録を覆い隠す戦後日本の怠慢を描きたかったのか。

仮に、本書がノンフィクションに近いとするならば、「日本最後の戦闘」を描いた作品ということができるのだろうか。

踊り場のこと

2011-10-05 00:00:00 | 市民A
「踊り場」という日本語の由来を最近知ることになった。

「踊り場」というのは、もともと中折れの階段の途中にあって、そこで向きが変わって登ったり降りたりする場所である(誰でも知っている)。

ところが、実際に相場などで使われる「踊り場」は、階段の途中というわけでもなく、景気の踊り場といっても上昇局面が一服して、次の上昇局面までのタイムラグというわけでもない。踊り場からまた下ったりするわけだ。だから、なんとなく階段の先に広場があって、そこで日と踊りした後、再び登ったり今度は下ったりするというようなのがコトバの実態だ。

もっとも相場の踊り場状況の先が、上向きか下向きかがわかっていれば、大儲けできるのだが、踊り場の先を読むことは難しい。

実は、「踊り場」とは、鹿鳴館から発生したコトバだそうだ。

元々、日本の在来建築では、階段は、ストレート仕様だったそうだ。そして「折り曲がり階段」が登場したのが、鹿鳴館だったそうだ。

そして、鹿鳴館で行われていたのがダンスであって、ロングスカートの女性が階段を上っていって途中で向きを変える時に、スカートの裾がヒラーリとした状況が、ダンスをしているようなイメージであったことから、「踊り場」ということになったそうだ。何か小雪さんが二階の寝室にいる知人男性の部屋に向かおうとしていて、途中の踊り場で、「やっぱり、やめた」と踵を返す図が思い起こされる。


踊り場というのは始末の悪いもので、「瀬戸際の人」というのは、それなりに何かをやらないとダメであるというのは言うまでもないが、「踊り場の人」というのは、行動が難しいわけだ。

小耳に聞こえた話

2011-10-04 00:00:33 | 市民A
仕事場が霞が関の官庁街に近い。といっても官庁街と町民街の間には、外堀通りという道路がある。最近は、さらに外堀通りの中央にフェンスができて、『ここより先、町民と犬猫立ち入るべからず』という感じが強まる。

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といっても、江戸の時代から公務以外の時間帯は、役人も町内を自由に闊歩する(逆はダメ)。昼休みになると、各省庁の国家公務員の方々は、下々の街に下りてきて町民と同じ場所で昼食をとる。それだもので、昼休みに耳を研ぎ澄ませば、役人同士の密談を垣間聞くことができる。

最近、長崎チャンポンの店で、ある二人組の会話。どうも入管(法務省)関係みたいだ。

「コロンビアの女の子だけど、未成年でね。」
「ほお・・」

「出国する時に見つけたんだよね」
「どうしてわかったの?」
「母親のパスポートなんだよね」

「売春?」
「決まってるよね」

「なんで、そんなので入国できたの?」
「地方空港から入ったんだよね。チェック大甘だから・・」

まあ、そういう話は聞いたことがあって、茨城空港なんて、インチョン空港から入ってきて、マイクロバスの送迎車がきて、その日のうちに上野方面で商売始めて、何日かしてまたいなくなるという話を聞いたことがあった。入国する時には、まだ犯罪行為は行われていないし、マイクロバスに乗っていれば、そのまま路上からの東京スカイツリー観光ができる。

しかし、現実は、インチョン発のアシアナ便は旅客数不足でいきなり運休になって、かわりに上海から週三便で、飛んでくる。業者手配のマイクロバスの必要はなく、東京駅から直行バスが走り始めた。


話の続きが聞きたかったが、チャンポン屋では新たな問題が発生。隣の中華料理店の出している看板を見て、初老のオヤジが入ってきて、「マーボー麵」を注文。ボケだ。

店長が出てきて、マーボー麵は隣の店で、当店ではチャンポンしか作れないというと、怒りだした。

役人以上の傲慢さ。

外郭団体の理事とか、独占事業の相談役とかかしら・・

元生徒会長が「万理一空」と言った

2011-10-03 00:00:16 | スポーツ
27歳の琴奨菊が、遅まきながら新大関になった。出身の明徳義塾学園では中学生の時に、高校の先輩に朝青龍がいたそうだ。そして、高校の時には、推されて生徒会長になっていたそうだ。当時は推されて、今は押し相撲というのも、何かの縁だろうか。

先輩大関の千代大海などは、地元の札付きのワルだったらしいので、かなり違う種類なのだろうか。というか、そういう人間なら大関にしても「安心」ということなのだろうか。前の日本人大関が、ギャンブラー琴光喜というのも対象的だ。

また、どうみても日本人の顔で、久しぶりの日本人大関ともてはやされているが、個人的には、日本人が大関の座に座ることに、すでに違和感を感じるようになっている。

大関受諾の席で、抱負のコトバとして「万理一空」と語ったそうだ。殺人鬼である宮本武蔵が晩年に達した境地で、世界にはさまざまな理が存在するが、辿りつく先は一つの世界「空」だ、というような意味らしい。総理大臣になれなかった海江田万理が一人で空しくなることじゃない。

どうも、熟語の中に「一」を入れようとしていたらしく、思えば本名の菊次一弘の「一」なのかな。「一発逆転」とか考えたのだろうか。

ところで、今までの大関達は、昇進後、いつの間に「大関互助会」に入会して助け合い運動をしていたのだが、元生徒会長は、互助会に入会するのだろうか、あるいは入会せずに一人で奮闘することになるのだろうか。

農民に扮するルーツは・・

2011-10-02 00:00:03 | 市民A
最近のニュースで九電社員が公開討論会に身分を変えて出席し、「仕込み発言」を行った、というのがあった。

九電社員、農家装い「売れ行きに原発影響ない」

九州電力の「やらせメール」問題に関する第三者委員会の調査結果で、またも驚くべき事実が判明した。

 2005年のプルサーマル発電を巡る佐賀県主催の公開討論会で、県と九電が事前に進行を打ち合わせ、九電社員が農家になりすまして発言するなど巧妙な世論操作の実態が浮かび上がった。

討論会では、18人が質問に立ち、賛成派8人のうち7人が九電関係者だった。ほとんどが九電が用意した原稿を読み上げる形で発言。

 最初に質問した社員は手帳を見ながら、「危ない、危ないと言われて、玄海1号機が運転を開始して30年近くたつが、私の家で作っている米とか野菜が放射能の影響で売れなくなったことはない」と農家を装った。


たぶん地元社員では不自然だろうから、同じ九州でも離れた県から出張したか、本社の秘書室あたりでゴルフ焼で農民風に黒くなった社員が偽装したのだろうかと想像は膨らむが、別角度から考えてみた。

「農民に扮する」という点について。

実は、江戸時代に農民に扮するという職業があった。

「忍者」である。

忍者といっても24時間姿が見えないわけではなく、普段は農民の姿に扮していたそうだ。ドラマにでてくるような黒頭巾に黒装束なんてのじゃなかった。白頭巾に白装束とか赤装束の「くの一」なんて論外なはず。目立ち過ぎる。

要するに、当時の国民の80%が農民だったのだから、風景に姿を消すためには農民スタイルがもっとも適していた。だからこそ、鎖鎌なんて恐怖の武器が登場する。農民が鎌を持って出歩いていても、何も不自然じゃない。刀を持つと目立つので、かわりに手裏剣を隠し持つわけだ。

衣装は、ねずみ色の農民服。忍者は主に夕昏にまぎれて移動したそうなので、黒くもなく白くもないという色が選ばれたそうだ。


そして、現代の偽農民。ねずみ色の作業着を農協で購入したのだろうか。土のついた軽トラと長靴とか小道具があったのだろうか。仕込み杖ならぬ「仕込み発言」で、世論操作を目論むなんて、やはり情報工作である。江戸時代の忍者は、見つかれば切り捨てごめんだが、現代の忍者は、どれほどの痛い目に会うのだろうか。