ドバイショックが起きている。政府系の不動産会社である「ドバイワールド」がデフォルト状態になり、さらにドバイ政府がこれを助けないということである。かなりのでたらめぶりだ。しばらく前には世界最高の贅沢航空会社であったエミレーツ航空が破綻の危機に陥り、これもドバイ政府が見捨てたものを、UAEとして連邦を組む隣のアブダビが出資して危機を脱している。
このあたりの事情は、裏が複雑でよく見えないが、まずUAEというものを考えてみる。
United Arab Emirates が英語名である。日本語ではアラブ首長国連合となっている。このEmirateという単語を「首長国」と苦しい訳語を当てているのだが、本来は「酋長(しゅうちょう)」という意味で、国民ではなく「土人」が住んでいるわけだ。「酋長」も「土人」も差別用語となっているため「首長国」の「国民」ということにしたのだろう。
親米国家ということになっているが、民主主義からは北○○以上に離れているということすらできる。選挙権は選ばれた非常に少ない人たちに限られている。さらに、各国の王室は封建君主の座を享受している。以前、アブダビの皇太子邸(敷地は球場位)の横の道を通過した時にチラッとみたのだが、皇太子邸の四方に四人の奥方用の大邸宅が配置され、空中回廊で行き来できるようになっていた。
そして、UAEとして連邦を組むのはアブダビ、ドバイ以外に5ヶ国で、計7ヶ国だが、豊かなのはアブダビとドバイ。原油が産出されるからだ。
といっても、実はドバイの原油は、油田の生産量も少ないし、埋蔵量も少ない。UAE全体の原油生産量は、日量260万バレル前後であるが、うちドバイは20万バレル程度。埋蔵量から言えば、UAE全体の4%しかない。
しかも、最近、原油生産量についてのOPECの生産カルテルの外側として、各石油生産国は、天然ガスとか天然ガソリンといったカルテル枠外品の生産に力を入れているが、ドバイにはそれがない。
ドバイワールド社はじめ多くの不動産会社によるハコモノ再開発の結果、国内消費エネルギーが不足して、アブダビや隣国カタールから天然ガスを輸入。輸出する原油より多くのエネルギーを輸入することになってしまった。(つまりエネルギー価格が上がると、損をする)
では、なぜドバイ原油がWTIや北海ブレント原油といった指標原油と並んで、中東原油の指標して有名なのかだが、たいした理由はない。普通の国は、原油を安定的に売るために、かなりの数量については、特定の会社や国と長期(1年~3年)契約を結ぶのだが、ドバイ政府は何もしなかったわけだ。放任主義だったために、価格はそのつどのマーケット価格で決めることになった。スポット価格方式である。
そんなことで、将来、原油を掘り尽くすと「砂漠に戻るだけ」というのが実態だったので、次の産業が絶対に必要と思ったわけで、「大リゾートセンター」の建設を始めた。このあたりは規模の違いはあっても中東産油国共通の課題であり、それぞれ違う道を模索している。
それらの努力が、実際に成功しているかどうかは微妙なところだが、ドバイは「ハコモノ」に邁進し過ぎたわけだ。夏に行けばわかるが、気温45度、湿度85%が快適かどうか、もう少しマーケットリサーチが必要だったのではないだろうか。ハコモノの特徴としては、「作ることに意義があり、できた後は、なるべく維持費が高いほうがいい」というのが世界共通のルールであり、まさに将来の破綻が約束されたようなものだった、とは言い過ぎだろうか。
結局、UAE全体の首都であるアブダビがドバイのあけた穴を埋めることでとりあえずの危機を脱するのだろうが、ドバイ発の次なる不安な兆候は高騰中の「金相場」かもしれない。大きな金市場であった中東マーケットはすでに飽和状態で、私見で言えば「Xデイは来る」と思っている。その時、再びリーマンショックの第二ラウンドが始まる可能性はあるだろう。
ところで、こういうドバイとアブダビの関係だが、大阪と東京の関係に似ているように思える。根拠なきハコモノを大量に建てた大阪府(大阪市)は、すでに破綻危機に陥っている。
さらに調べていて発見したのだが、ドバイと大阪とは、姉妹都市の関係になっていたわけだ。
このあたりの事情は、裏が複雑でよく見えないが、まずUAEというものを考えてみる。
United Arab Emirates が英語名である。日本語ではアラブ首長国連合となっている。このEmirateという単語を「首長国」と苦しい訳語を当てているのだが、本来は「酋長(しゅうちょう)」という意味で、国民ではなく「土人」が住んでいるわけだ。「酋長」も「土人」も差別用語となっているため「首長国」の「国民」ということにしたのだろう。
親米国家ということになっているが、民主主義からは北○○以上に離れているということすらできる。選挙権は選ばれた非常に少ない人たちに限られている。さらに、各国の王室は封建君主の座を享受している。以前、アブダビの皇太子邸(敷地は球場位)の横の道を通過した時にチラッとみたのだが、皇太子邸の四方に四人の奥方用の大邸宅が配置され、空中回廊で行き来できるようになっていた。
そして、UAEとして連邦を組むのはアブダビ、ドバイ以外に5ヶ国で、計7ヶ国だが、豊かなのはアブダビとドバイ。原油が産出されるからだ。
といっても、実はドバイの原油は、油田の生産量も少ないし、埋蔵量も少ない。UAE全体の原油生産量は、日量260万バレル前後であるが、うちドバイは20万バレル程度。埋蔵量から言えば、UAE全体の4%しかない。
しかも、最近、原油生産量についてのOPECの生産カルテルの外側として、各石油生産国は、天然ガスとか天然ガソリンといったカルテル枠外品の生産に力を入れているが、ドバイにはそれがない。
ドバイワールド社はじめ多くの不動産会社によるハコモノ再開発の結果、国内消費エネルギーが不足して、アブダビや隣国カタールから天然ガスを輸入。輸出する原油より多くのエネルギーを輸入することになってしまった。(つまりエネルギー価格が上がると、損をする)
では、なぜドバイ原油がWTIや北海ブレント原油といった指標原油と並んで、中東原油の指標して有名なのかだが、たいした理由はない。普通の国は、原油を安定的に売るために、かなりの数量については、特定の会社や国と長期(1年~3年)契約を結ぶのだが、ドバイ政府は何もしなかったわけだ。放任主義だったために、価格はそのつどのマーケット価格で決めることになった。スポット価格方式である。
そんなことで、将来、原油を掘り尽くすと「砂漠に戻るだけ」というのが実態だったので、次の産業が絶対に必要と思ったわけで、「大リゾートセンター」の建設を始めた。このあたりは規模の違いはあっても中東産油国共通の課題であり、それぞれ違う道を模索している。
それらの努力が、実際に成功しているかどうかは微妙なところだが、ドバイは「ハコモノ」に邁進し過ぎたわけだ。夏に行けばわかるが、気温45度、湿度85%が快適かどうか、もう少しマーケットリサーチが必要だったのではないだろうか。ハコモノの特徴としては、「作ることに意義があり、できた後は、なるべく維持費が高いほうがいい」というのが世界共通のルールであり、まさに将来の破綻が約束されたようなものだった、とは言い過ぎだろうか。
結局、UAE全体の首都であるアブダビがドバイのあけた穴を埋めることでとりあえずの危機を脱するのだろうが、ドバイ発の次なる不安な兆候は高騰中の「金相場」かもしれない。大きな金市場であった中東マーケットはすでに飽和状態で、私見で言えば「Xデイは来る」と思っている。その時、再びリーマンショックの第二ラウンドが始まる可能性はあるだろう。
ところで、こういうドバイとアブダビの関係だが、大阪と東京の関係に似ているように思える。根拠なきハコモノを大量に建てた大阪府(大阪市)は、すでに破綻危機に陥っている。
さらに調べていて発見したのだが、ドバイと大阪とは、姉妹都市の関係になっていたわけだ。