川端康成コレクション(東京ステーションギャラリー)

2016-06-19 00:00:04 | 美術館・博物館・工芸品
ノーベル文学賞作家の川端康成氏の美術品コレクターぶりについては、ここ数年間、川端康成記念会による全国ツアーにより、全国各地で目にした人も多いだろう。私も、何カ所かで拝見している。

さらにご自分の身の回り品として使われていた机や筆記具など、そのご大尽ぶりには驚くばかりだ。また盆栽の収集もそうだが、「最高級」と「新奇性」というのが特徴と言われるが、個人的には、「金策に困った知人の救済」といった面もあるように思える。

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今回の東京ステーションギャラリーには、国宝が二点登場。浦上玉堂と池大雅作である。また日本の洋画家として忘れることのできない古賀春江の作を数多く収集、多くが散逸した奔放で夭折した天才を我々が認識できるのが川端康成のおかげなのだ。

一方で、新感覚派としての川端文学に影響を与えた同時代人として、横光利一と古賀春江が上げられるように、得たものも大きいと思われる。また、埴輪やロダンの彫刻など手に入れると、すぐに畳の上に転がして指紋だらけにしてしまうのは、それらから湧きあがる作者のエネルギーを吸収するという行為だったのだろう。

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コレクションの前半生は、おそらく原稿料を美術品と交換してその影響で次の小説を書き、さらに高額の原稿料をさらに高額の美術品と交換していったのだろう。後半生では、おそらく画商の持ちこむ案件を純粋な美術コレクターとして集めたのだろう。

展示は美術品だけではなく、自身の原稿や書簡類もふくまれ、出口のところには太宰治が「川端先生、芥川賞ください!」と懇願する有名な長文の手紙が展示され、まったく太宰にとって恥ずかしいばかりで、これから何十回もこの手紙が公開されるのだろうと思うと、死んだ方がましだと思うかもしれないが、思えば両者とも奇抜な結末に至ったわけだ。

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