「しまむら」探索

2006-01-11 21:45:28 | マーケティング
9a052baa.jpg自宅近く、横浜市北部某所に「ファッションセンターしまむら」がオープンした。ある中規模スーパーの2階で、以前は、スーパー自身が衣料品を売っていたが、少し冴えなかったところだ。

だいたい、「しまむら」は埼玉県の郊外には大量に出店していて、幹線道路をクルマで通ると、「しまむら」と「山田うどん」ばかりが目立つ。ところが、どうも全国規模になっていたようだ。ユニクロみたいなものなのだ。しかし、自宅のまわりには何ヶ所もユニクロがあるのに、「しまむら」はない。

まず、ホームページで調べると、2005年12月の店舗数はユニクロが703店、「しまむら」は988店。ユニクロの方が70%程度である。ところが、売上げは、ユニクロが3800億円/年に対し、「しまむら」は2200億円/年。逆に売上げは60%となっている。つまり店舗あたり売上げは1/2程度ということだ。さらに、売上高経常利益率はユニクロが15.9%に対し、「しまむら」は8.5%と二倍の差がある。これだけみれば、ユニクロの方が効率経営といえるのだが、そう簡単な話ではない。

要するに、顧客のターゲットが違うらしいのだ。このあたりは、ネット上に多数の「ユニクロVSしまむら」という論文があるので眺めてみてもいい(ただし、明らかに間違っているレポートも多い)。まずは、表層的に考えて、両社のヴィジョンやターゲットを自社ホームページでひろう。「ユニクロ」いつでもどこでもだれでも着られるファッション性のある高品質なベイシックカジュアル。「しまむら」25~45歳までの家庭の主婦が日常生活のために使用する衣料品。つまり、かたや「誰でも」という戦略に対して、かたや「主婦だけ」という差がある。となれば、共存共栄関係か、というとそうではないのだ。

奇妙なことに、ユニクロの多い地区には「しまむら」は少ない。たとえば、しまむらは東京都には14店しかない。埼玉には80店、千葉には52店、茨城45店、群馬35店など。神奈川にも少ない。23店。思うに、ターゲットの差もあるだろうが、二社の経常利益率の差から、土地代に対する負担能力が違うということに起因しているように思える。郊外店が多いのは、むしろ、そのせいではないだろうか。

そして、この新しくオープンした「しまむら」は競争激化地区なのである。国道246号線と直角に交差する主要道路に面し、南側400メートルに位置するのだが、その交差点から逆に246の北側400メートルにはユニクロ郊外店があって、いつも駐車場は満車状態(その駐車場需要を狙って、向かいにコメダ珈琲店があるくらいだ)。

オープンから3週間ほどした週末に「しまむら」をのぞいてみた。まず、中央に大きく広がるのが、店の狙いである「主婦向けのエリア」そして、壁際には、こども衣料と男性衣料が少し場所をとっている。そして、店員はほとんどみない。レジ打ちだけだ。さらにBGMがユニークだ。どこかで聞いたことのあるメロディがカンフー調にリアレンジされている。まったく中国の百貨店だ。ユニクロも中国製だが、しまむらもほとんどが中国製なのだろうが、中国製であることを隠そうとしない。

そして、気になったのは、お客様の動静なのだが、肝腎の中心部にはあまりいない。「おおきなサイズ」コーナーには何人かが滞留しているが、広い店内で、壁沿いの、こども・男性コーナーでは、山積みのバーゲン品が売れている。それも、主婦が、ケイタイでサイズを確認しながら買っているわけだ。

このあたりをまとめると、こういうことだろうか。(主婦の心理)私の服は、「しまむら」では買わずに、阪急百貨店か高島屋で買うとして、その購入資金を潤沢にするために、夫やこどもの衣料費は「しまむら」で買い物をして浮かしてしまおう。

埼玉県の方にうかがうと、衣料品全身一式を計3000円で「しまむら」でそろえる女性のことを、「シマムラー」と呼ぶそうである。逆に、神奈川では、こどもや男が、本人の知らない間に「シマムラー」にされてしまいそうなのである。  


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