首里城と源氏物語

2019-11-04 00:00:33 | 市民A
首里城炎上』と『源氏物語図扇面』の二つの記事を書いたのだが、よく考えてみると、この二つを結ぶ一つのリンクがある。ミッシングリンクと言いたいが、かろうじて世界から失われてはいないのだが凍結に近いもの。


つまり、『2000円札』である。



まず、表面のデザインだが、「守礼門」である。不思議なのは、なぜ首里城の正殿ではなく、門の絵が使われたのか。門も立派だが、観光客は門を見ただけで帰ったりしないはず。少なくとも正殿の正面には立つはずだ。



何かあったのだろうか。つまり、「将来、正殿がなくなる時があるが、門は残るはず」という見えない力が漂っていたのだろうか。




次に、裏面の方だが、源氏物語が使われている。

源氏物語から三つの素材が取り込まれている。

まず左側に二人の人物が描かれている。左側は冷泉天皇で右側が光源氏。源氏物語絵巻にはあと数人の従者が描かれているが二人だけが使われている。源氏物語では華やかな光源氏の女性遍歴が描かれるのだが、全編を通していくつかの深層水脈が流れている。その一つは光源氏が父親の后(藤壺、つまり義理の母)と密かに関係して、生まれたこどもが後に冷泉天皇になったこと。顔立ちも似ているとされ、二人はほとんど会うことはなかったが、この夜(8月15日)は月見をするというので、光源氏が天皇に呼ばれたわけだ。かなりスリリングな展開である。

そして、その二人の上にかぶるように文字が書かれているが、この文はこの面会の数時間前に光源氏が妻である女三宮に会って、鈴虫の声を鑑賞したときの描写である。実は女三宮は光源氏の兄の朱雀天皇の娘なのだが、二十歳以上年齢差がある。彼女は柏木という男と不倫をして薫君という男子を生む(源氏物語の後編の主人公)。結局、女三宮は出家するのだが、光源氏がやってきて嬉しくないわけはない。

つまり、二つの不倫系の秘密がここには描かれている。

さらに右側には女性の姿があり、2000年の発券当時は紫式部ということになっていた。(実は別人ではないかという研究もあるそうだ)

そして、源氏物語の深層水脈はもう一つある。六条御息所の怨霊(おんりょう)である。光源氏が初めて関係した女性とも言われる。若くして夫を亡くした後の寂しさを紛らわせるためだったのだろうが、年配女性の心に火がついてしまった。その後、光源氏は藤壺に始まり紫の上とか葵の上とか渡り歩く。六条御息所は嫉妬のあまり光源氏の交際相手を次々に呪い殺していくわけだ。そして自分の死後も妖怪となる。光源氏の心の中にあるリアルな藤壺への永遠の愛と六条御息所の狂気の怨念という対立軸があって、女三宮も怨霊にとりつかれている。


といって、六条御息所の怨念が1000年後に蘇り、藤壺や女三宮の情の染みついた紙幣を嫉妬にかられて燃やしてしまったところ、反対面の首里城まで燃えてしまった、などといいたいわけではない。紫式部や清少納言はまったく怨霊を信じていなかったらしい。(シェークスピアもハムレットの中では、重要な場面に幽霊を使っているが、信じていたわけではないだろう)

多くの二千円札は日銀の金庫に死蔵されたままになっているらしい。首里城復興に使ってみてはどうだろうか。
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