SUBARU株主総会は二極化の様相

2018-06-25 00:00:47 | マーケティング
昨年に続いてSUBARUの株主総会へ。どうも昨年の総会では消極的経営への批判が多かったことと、不良エアバッグのタカタ問題が問題の中心だったように記憶するが、今年の問題は言うまでもなく完成検査手抜き問題。それとトランプ関税への対応ということだろうか。

まず驚いたのが出席者の数。昨年を遥かに上回る人数だ。(もちろん去年も今年もお土産はなし)。第二会場まであるようだ。

まず、検査の問題では完成検査の手抜きと燃費検査のデータ書き換えと二種類あって、ただいま調査中とのことではあるが、すでにはっきりしているのは「技術偏重主義」と「風通しの悪い社風」とのこと。ということで今までの社長はCEOを辞めてコンプラの徹底と組織改革に専門に取り組むとのこと。


ということで、株主との質疑応答だが、一つのジャンルとして車種のラインナップの問題が出ていて、日本車でいえば5ナンバーにあたる中小型車が存在しないこと、とか、車が大きいのに3列シートがないこととか、タイヤの選択肢とか、いかにも不思議に思える疑問が呈しられ、あまり理解できない不思議な解答が用意されていた。

要するに突き詰めれば生産規模が小さいので、いろいろ用意できないということになるのだろうが、それなら工場を建てるとか拡販するとか考えないのだろうか、やはり慎重経営なのだろう。

そして核心の部分の不正検査については、どうも株主の意見が二分されていたようだ。

一つは、SUBARUの風土の問題を取り上げて、経営基盤となる組織運営力が弱いという方向の指摘をする意見。

もう一つは、SUBARU信者とでもいうべく人たちで、技術偏重だから良いクルマが作れるのだから、完成検査というルールそのものを廃止すべきというような意見。


おそらく、総会の冒頭で「技術偏重が不正の原因」と発表したから、これに対応する発言と思われるのだが、個人的意見としては「技術偏重」と「不正の発生」は別問題と考えるわけだ。というのも完成検査をしなかったのではなく、現場判断で無資格者が有資格者の名前で検査をしているわけで、有資格者の育成をしなかったことが原因であり、それと技術偏重とは結び付かない。

実際、その努力に必要な金額と、バレてしまって失う金額を考えれば、どんな職種の人間でも普通はやらないはずだ。

また完成に至る過程で各部品ごとの検査は行われているのだが、といっても完成してから検査を行うことには別の意味もあるわけだ。組み立てラインには、さまざまなグレードの車体がランダムに運ばれてくるわけで、組み立て上の問題もあるだろう。

まして、検査の廃止なんて、SUBARUから言い出せるわけはないと思われる。

三菱自動車の燃費書換の時も、コンプラは東京本社で、製造は岡崎でという体制が遠因だったようだが、SUBARUも自動車生産は群馬工場ですべて管理しているようで、「技術偏重」ではなく「工場偏重」だったのではないかとも想像できる。


ところで、トランプ関税については、言わずもがなということだったが、米国での生産台数はかなり上乗せ可能らしいので、場合によっては新フォレスターは米国での組み立て台数を増やすのではないだろうかと推測できた。

ということで、なんとなくもやもやした感じで総会は終了。会場外ではマスコミ取材陣が株主インタビューをしていたが、記者も株主になって直接経営陣に質問すればいいのに、とも思う。


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