ボビー・フィッシャーのエンドゲーム

2008-01-25 00:00:05 | ボビー・フィッシャー救出
87c06969.jpg弊ブログでも過去6回にわたり、チェスの元世界チャンピオンボビー・フィッシャー(Bobby Fischer)氏のことを書いている。9.11の後、米国外で反米的な行為及び発言をしたとして、パスポート失効宣言を宣告され、要するに「オタズネ物」になっていたところ、日本からフィリピンに向け出国寸前に収監された。2004年のこと。

当時、ジェンキンス氏問題というのが日米間に存在し、日本政府は、脱走兵ジェンキンス氏への恩赦と引き換えに、フィッシャー氏を米国に引き渡すのではないかと言われていた。しかし、福島瑞穂さん他の努力により、フィッシャー氏は8ヶ月の収監生活の末、第三国アイスランドへ出国(事実上の亡命)。ジェンキンス氏は慶応病院での病気亡命生活(後に前首相もこの病院に入院亡命)から、国内の米軍基地での短期収監ということで、とりあえず手打ちが終わる。

そして、フィッシャー氏はアイスランドで静養を続けていたと聞いていたが、突然、1月17日死亡が報じられた。ニューヨークタイムズによれば、死因は腎臓疾患に起因する複合的な疾病ということだそうだ。

週が明け、21日、首都レイキャビクから60キロ南東にある小さな町セルフォスの墓地に埋葬。葬儀には数人の友人と、彼の最大の友人(結婚宣言をしている)である日本人女性、渡井美代子さんが参列したということである。

同時代に彼と戦ったプレーヤーの談を読むと、フィッシャーがチャンピオンになった後は、チェスがインターナショナルなステータスを得ることになったし、賞金が増え、プロ選手という形態が確立された、というようなことが書かれている。35年前、彼は、終焉の地であるアイスランドで当時の世界チャンピオン、スパスキー(ソ連)を破り、全米の寵児となったのだが、結果としては、その後、スパスキーも金持ちになったわけだ。

また、フィッシャー氏がチェス界に残したのは、商業主義だけではない。

チェスの世界では、対局の時に持時間制が使われるが、日本の囲碁将棋のように一手1分以内というのではなく、最近はフィッシャーモードが多く使われる(シャンチーの大会でもそうらしい)。1分とか30秒ルールだと、ノータイムで指せる局面でもギリギリまで時間を使ったり、逆に、小考したいのに時間がないので雑な手になったりする。フィッシャーモードだと、ノータイムで指して浮かせた数十秒は自分の持ち時間にどんどん編入できるのでメリハリが利き、スピーディな、テレビ中継向けのルールである。簡単な手はどんどん進み、解説が必要な難解な場面では差し手が止まる。日本ではyahoo!のゲームサイトの将棋(チェスも)が。このルールを設定できる。

<フィッシャーモードとは>
時間切れ(時計の旗が落ちる)を防ぐ方法の一つ。元世界チャンピオンのフィッシャーの提唱によるため、フィッシャーモードの名がついた。一手指すごとに追加時間(数秒から数十秒)が持ち時間に追加される方法で、incremental timeとも呼ばれる。追加時間の間に手を指せば余った時間が持ち時間に加算されるので、ノータイムで指し手を続ければ持ち時間は増えていく。チェスオリンピアードやジャパンリーグなどで用いられているが、専用のデジタルクロックが必要なためまだ普及度は低い。


報道では、亡くなる数日前まで、フィッシャー氏と女性チャンピオンとの対戦の企画が進んでいたそうで、本人は近づく死神に気付いていなかったようだ。64歳は若過ぎるエンドゲームだ。

ところで、アイスランドでの近影を見ると、白髪を振り乱しての姿が多いのだが、なんとなく日本将棋連盟会長の風貌を思い起こしてしまった。そういえばほぼ同い年ではなかったか、と思って調べてみると、まったく同年生まれ。フィッシャー氏は1943年3月9日生まれ。米長会長は同年6月10日生まれ。3ヶ月と1日の差だけフィッシャー氏の方が早く生まれている。ということは、・・・

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