「ユーモレスク・長野まゆみ」

2008-11-28 00:00:49 | 書評


ちくま文庫に入っている「ユーモレスク・長野まゆみ」。

長野まゆみ、というのはSF作家であり、ファンタジー(童話)作家でもある、と認識していて、今まで読んでなかったのだが、「食わず嫌い」では、いけないかな、と思い始めて、「とりあえず一冊」。と、「とりあえずビール」みたいなノリで、薄い作品を手にする。

どうも、SFでもなければファンタジーでもない。普通のシリアスな小説だ。実は、何ページか読んだところで、家族の一人の行方不明と隣家の一人が亡くなったことが語られる。

ちょうど、知人男性が亡くなった直後だったので、読み進むことに耐え切れずに栞を挟んで本を閉じる。一週間はゴルフの本とかペットの本とかお城の本とか読んでいた。とはいえ、分野は問わず、たいていの本には、人や動物が死ぬ話が含まれている。お城の本なんかは、ここで1000人餓死したとか10000人が焼死したなんて話ばかりだ。

で、改めて「ユーモレスク」を読み始めると、あらたな犠牲者はいなかった。そして、なかなか筋立てがうまい。

あらすじを書くのは苦手なので、アマゾンから誰かが書いたあらすじを借用すると、

真哉は、隣家から聞こえてくるユーモレスクが好きだった。6年前に行方不明になった弟。それ以来、隣家は「近くて遠い」場所だった。しかし、物語は、再びゆっくりと動き始める。隣家のすみれさんの死。その弟・文彦との再会。彼の教え子で高校生の和の煩悶。弟はなぜ?…姉・周子の目を通して語られる、切なさいっぱいの物語。

ということになる。このアマゾン版のあらすじより、もう少しミステリー的な「謎」が、この複雑な構造の小説を読み進ませる動機になっている。「元次官殺人事件」のような、割り切れない不可解さが深い霧のように漂い始める。その多くは、行方不明の弟が、最後に登場するのだろうという、常識的な「明るい結末」を期待させるのだが、・・

薄い本で、2時間で読み終わったのだが、結構疲れる。「緊迫感」と「ミステリー的深い霧」と「読者(つまり、私)の心の中にある原初的な不安感」が格闘を続けることになる。

例年恒例の年間100冊読書まで、あと20冊もあるので、こういう重いのは今は読みたくないが、来年は何冊か取り組んでみたいと思うわけだ。

もっとも、試しに読んだ作が、作家の最高傑作で、他の作品を何冊読んでも満足できず、結局、離れていくというのはよくあるパターンなのではある。

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