家庭鉱脈

2009-10-30 00:00:17 | MBAの意見
jitakukoumyaku「都市鉱山」という言葉がある。1980年代に提唱された考え方で、家電製品やIT機器に含まれるレアメタルをリサイクルして使おうというもので、スクラップの山を鉱山に見立てて、資源超小国である日本の悲哀が感じられる言葉だった。

鎖国下の日本の江戸時代でも、金属は重要な資源で、底の抜けた鍋を再加工するとか、いろいろやっていた。

その後、鉱山の場所は、家電やITだけでなく広く金属類一般になり、一時はアルミ製の門扉や墓地のステンレス製の生花立てにまで及んだことは記憶に新しい。個人的は、自宅に眠っていた古いゴルフクラブを中古店に持ち込んだところ、真鍮製のパターヘッドとチタン製のドライバーのヘッドだけが換金対象となったことからして、金属不足は相当のものだったと想像。

一方、もう一つの種類の鉱脈があるわけだ。

それは、各家庭の宝石箱の中にあるそうだ。

(宝石箱のない家庭は、あきらめるしかない。また宝石箱にイミテーションを詰め込んでいる場合も、残念!)

世界的に、金のリサイクル量が急増している。

2007年には、世界で958トンだったが、2008年には1,212トンに増加。27%増。さらに2009年1-3月では566トン、4-6月には334トンと半年でほぼ2007年の実績値と等しい状況にある。

特に、中東最大のリサイクル市場のドバイには、インドや中東諸国からリサイクルされた金が大量に流れ込み、金が溢れ、需給上、余った金がロンドンに空輸されているそうだ。そしてHSBC銀行の金庫に向かうそうだが、金庫係が大忙しになって自分の足に金塊を落として大けがをしたそうだ。バブル期の日本でも、貸金庫が金の重みでこわれて、誰の金塊かわからなくなった事件があったという噂を聞いたが、そういうことが時々起こる。

ところが、田中貴金属の金ディーラーの方の話によれば、中東、インド、中国のような新興国は、金が安いときに買っていき、金が上がるとリサイクルで売るという流れであるが、欧米先進国は逆で、金価格が上昇するときに波に乗って現物を買うということらしい。この安値の時の「新興国の金買い」と高値の時の「新興国から先進国への金シフト」というサイクルを繰り返しながら、徐々に金価格は上昇していくという現象が続いているそうである。

ということで、本来、国としては先進国でも、家庭単位では貧乏な日本では、現在の金価格上昇局面では、かなりの宝石箱が家庭鉱脈となっているのだそうだ。

とはいえ、金の延べ板であれば評価は不要だが、宝石類に使われる金は、純度が実用的に落としてあるし、それらを外見で見ただけで鑑定することは難しい。

そこで登場したのがX線検査装置をはじめとする各種鑑定システム。日本人はシステムに弱いからかもしれないが、これらの装置で、評価額がすぐに算定できるようになったそうだ。

思えば、ギリシア時代のアルキメデスが、入浴中にバスタブから溢れるお湯を見て、「わかった」といって裸で神殿に走っていったのが「業者が納入した金の王冠の不純物の推定法」。

古代ギリシアも現代日本もたいして変わっていない。一応、デモクラシーの名の下に、「こども手当」という名前の制度で、「こどもは国家が育てる」というのもソックリである。

もちろん、国家がこどもを育てたには理由があって、周りの国から自国侵略を阻止するために優秀な軍人が必要とされていたからだ。

にも、かかわらず、都市国家群としてのギリシアは衰退し、「デモクラシー」と「オリンピック」と「アルキメデスの原理」が、現代に残った。


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2 コメント

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貴金属買い取りパーティー (YSjournal)
2009-12-23 01:36:08
アメリカでは、70年代のタッパーウェア、80年代のMary Kay (化粧品)の個人宅でのパーティー販売方式の流れで、今は、貴金属(主に金の)買い取りパーティーが盛んだそうです。
でも、金相場はちょっとくたびれてきました。
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Unknown (おおた葉一郎)
2009-12-23 16:00:29
YSjournalさま
買取パーティですか。何かハゲタカ風ですね。
金相場は中東次第じゃないでしょうか。
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