ねこのばば(畠中恵著 時代小説)

2019-09-23 00:00:52 | 書評
『しゃばけ』シリーズ第三巻の『ねこのばば』。一応、全19巻の5冊までは読もうと思っている。あとはその時の気分次第。『ねこのばば』は5編の短編集。

『茶巾のたまご』。『花かんざし』。『ねこのばば』。『産土』。『たまやたまや』。

nekonobaba


茶巾のたまごとは、『万宝料理秘密箱』前編『卵百珍』という料理の秘伝書にレシピがある料理名だそうだ。後で、実在の本かどうか確認したい。「貧乏神」が登場する。ちょっと陰気なキャラでシリーズの雰囲気と異なるのだが大丈夫だろうか。

思い出すと、最初に入った会社の経理部に『貧乏神』というニックネームをつけられた先輩がいた。コスト削減ばかり言うから、そう呼ばれているのかと思っていたが、マージャンをしているときに、彼に後ろに立たれると「必ず振り込む」と毛嫌いされていた。いつの間にか、会社から消えたらしいが、人間ではなく本物の貧乏神だったのだろうか。小説の中に出没していたわけだ。

『花かんざし』。ちょっと笑えない話。狐に憑かれた母が娘を殺そうとして乳母を殺してしまう。あまり笑えるシーンはない。



『ねこのばば』。猫又の話や、女犯僧、寺院の中で密かに行われる不正会計。猫又は妖(あやかし)の仲間であり長寿である。したがって飼い主からすると猫が長寿なのはいいのだが、二十年も生きていたら、「猫にしては長寿すぎる。もしかしたら猫又ではないか」と疑われることになる。

『産土』。奇妙な展開だ。いつも妖(あやかし)と行動を共にする主人公は、自身が大店の商店を継ぐことが決まっていたが。大問題に巻き込まれ、土人形に取り込まれる。父親の借金のかたに少しずつ命を失っていく。助けに行った番頭(実は犬神)が万策尽きて火事を起こす。店も主人も灰燼に・・・ありそうでなさそうだ。大がかりで奇妙なストーリー。

『たまやたまや』。一太郎の幼馴染の女性が、結婚することになり、関係者一同の身分調査のような話になる。あやうく切り殺されるところだったが、この幼馴染の嫁ぎ先の夫が、怪しいまま次作に向かうことになる。

本作で登場する江戸情緒だが、中条流というのが出てくる。中絶のこと。妊婦に水銀を飲ませる方法だ。前巻に登場した『石見銀山』。ヒ素を使ったネズミ殺し薬だ。ネズミを殺す目的か、なんらかの理由での殺人事件が目的なのか二つに一つだ。密殺、秘殺。当初は石見銀山のヒ素が使われたが、そのうち別産地品が使われることになる。ジェネリックであっても石見銀山と呼ばれた。

読後調査が必要なのは『卵百珍』だろうか。
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