真夏のサクランボは闇に輝く。

2019-09-15 00:00:05 | 美術館・博物館・工芸品
水天宮駅からすぐの場所にある「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」で開催中の『浜口陽三 夏の銅版画展-夏のサクランボは闇に輝く。(9/23まで)』を鑑賞する。

浜口陽三(1909-2000)は91年間の人生が、ほぼ20世紀と同じ期間であり、実家がヤマサ醤油という立派な会社ではあったが、青年期より芸術家としての道を歩み、第二次大戦中の帰国期間をはさんでパリ、サンフランシスコ、短期間のブラジル滞在と、活躍の場をほとんど海外に求めていた。

1955年に「カラーメゾチント」という新しい銅版画の技法を編み出したことで知られる。



本展は、彼の代表的なモチーフ「さくらんぼ」をテーマとして40点の作品が展示されている。赤と黒の織りなす奇妙な空間は、銅版画という平面から抜け出したようなサクランボが、まだ収穫前のような光を放つがごとく生々しい色を放っている。地下一階はさらに落ち着いた空間で、小部屋の中に浮かぶサクランボの微妙なゆらぎが空間を支配する。

また、アトリエで使われていたプレス機も展示されているが、少し時間をかけて観たのは、これらの作品の制作方法のビデオ。



版画というのは、銅版画も浮世絵も、年賀状の芋版にしても、完成するまでには何段階かの手順にわかれる。普通に考えれば、制作の初めの下絵を描くところと、最終段階の紙にプレスところは必然だが、その中間作業が「鍵の技法」となる。そのあたりを段階的に解説したビデオが流れていたわけだ。もっと知りたい場合は「教室」があるそうだが、今からでは来年の年賀状に間に合わないかもしれないので、そこは手を引いておく。不器用だし。

浜口陽三作品は、このヤマサコレクションと吉祥寺美術館に主に所蔵されているそうだ。

なお、美術館と併設されているのがカフェで、後で知ったのだが醤油味のアイスクリームが人気だそうだ。中央区を代表する伝統の味の一つになっている。
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