しゃばけ(畠中恵 時代小説)

2019-09-12 00:00:19 | 書評
読んではいけない、と思われる「しゃばけ」シリーズ第一巻を読んでしまった。何しろ今のところ19巻。うち新潮文庫になっているのが16冊。島流しになるのなら、全部買い求めて、スマホで画像化したうえ、雨にぬれても溶けないようにビニール袋に収納しないといけないが、今のところ図書館で借りてくればいいのだろうが、どうも主人公の一太郎の成長もシリーズの特徴らしいので順不同ではなく、順番に予約して読まないといけない。



というのが面倒なので、第一巻を開かなかったのだが、登場人物の約半分は人間ではない。妖(あやかし)という種類の存在物である。主人公は江戸時代中期と思われる時代の江戸の薬種屋の若旦那であり、病弱体質で寝込んでばかりいる。また、第一巻の最後の方で主人公の祖母も「妖」であったことが判明する。それで、一太郎は妖たちと会話ができるわけだ。

第一巻では殺人事件に主人公が巻き込まれ、それを妖たちに頼んで情報収集を図り、犯人を推測することになる。

犯人捜しで重要になったのは、物の魂のこと。万物は百歳まで正しい姿を保っていると神となって、特別の身分になるそうだ。妖怪社会の新入社員といったところだ。ところが、例え99年間を無事に過ごしたとしても、最後の最後で、たとえば物の所有者が不注意で傷つけてしまったら失格になる。なんて悲しいルールなのだろうか。

そのあたりの恨みが、事件の背景にあるわけだ。

ところで、自分の周りに100年超の物があるだろうかと考えてみる。現在は2019年なので1919年以前の物だ。大正8年。日露戦争が1905年。

祖父が1901年生まれだ。曾祖父は1871年生まれ。父が亡くなったあと調べた先祖の遺品箱の中を思い出すと、曾祖父が軍に徴兵されていた時の下級兵士としての勲章。それと旧家を解体したときの不完全な鬼瓦、祖父が教員として勤めていた中学のある年の卒業アルバムが百年超のような気がする。

このうち瓦は不完全であるので除くとして、残りの二つが、神様の仲間になるのでは困ったことになる。兵隊が生き返ると憲法違反になるし、中学卒業アルバムには数百人の写真が掲載されていて、全部が妖怪になったら家が狭くて入りきらないわけだ。うかつには遺品箱を開けることはできないわけだ。

しかし、私が小学生の頃に一回箱の中を見たときには曾祖父が兵隊の時に使用していたとされる皮ベルトがあったような気がするが、数年前に確認したときには見当たらなかったのだ。今頃は自由の身になっているのだろうか。あるいは、今使っているベルトに宿っているのかもしれない。
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