たま駅長と竹久夢二の関係

2015-10-11 00:00:57 | 美術館・博物館・工芸品
岡山後楽園の隣にある夢二郷土美術館で開かれている『ゆめじ×えいじ』展に行く。えいじ、とはインダストリアルデザイナーの水戸岡鋭治のこと。鉄道の車両など、クラシックを格調高いデザインが特徴だ。彼が夢二の作品を厳選している。ということは、夢二の世界を発展させて自らの作品を導いているということだろう。ノーベル賞の学者のような話だが、デザインの世界では、ややアブナイ話になるのはご存知のとおり。別に師事したわけではないし。

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そして、展示の一角が、「たま駅長」の部屋になっているのだが、どういうことなのか謎解きしたくなるようになっている。

今年、他界した初代たま駅長は和歌山電鐡の駅長だったのだが、この鉄道が南海電鉄から切り離され廃線化するところを救ったのが岡山県本社の両備グループだった。そして両備グループ猫好きの社長により貴志駅の駅長に抜擢されたのが三毛猫たま。その後、たま駅長の人気により、無人駅のはずだった貴志駅が建て直されることになり、その駅舎を設計したのが岡山県出身の水戸岡氏だった。

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そこまでは、理解できるのだが、そこから先の話。「たま」を使ったデザインを作ることになる。電車やカードや・・。その時に頼ったのが、夢二作品に登場する猫の絵。夢二は数多くの猫の絵を残している。

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ところが、夢二が描いた猫は、二色柄ばかりである。実際に猫というのは二色柄が多く、三毛猫は少ない。実際には三毛猫の絵を描きたいが、夢二は二色柄の猫を描いているのだから、どういうことになるのかというと、夢二の二色柄の猫の輪郭を生かし、三毛猫に塗り直したわけだ。

なんとなく。もやもや感に包まれて、会場を出るのだが、「猫」だけなのかなとか。