ソラニン(2010年)

2012-04-19 00:00:00 | 映画・演劇・Video
映画『ソラニン』は、2010年の邦画。ソラニンの意味は、ジャガイモの芽に含まれる物質(つまり有害物質)ということだそうだ。映画の中で、ちょっとした場面に登場するのが、ソラニンの1。そして、高良健吾が演じるバンド青年が作曲した楽曲が『ソラニン』。

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別れの曲なのだが、男女の分かれなのか、自分の過去との別れなのか。そして、高良健吾と同棲していたのが宮崎あおいなのだが、作品の最初の部分は高良健吾が主役なのだが、ちょうど半分あたりで、彼は交通事故で他界してしまう。

で、そこから主役になるのが宮崎あおいである。なんと、高良に代わり、バンドメンバーとしてギターとボーカルを担当してしまう。

映画は、登場人物の一人ずつほぼ全員が、かなりの内省的な世界に向かっていく。それぞれの人生の過去と未来の中間にある「現在」を問うわけだ。「これでいいのか?」ということ。日本って米国みたいにしょっちゅう戦争をしているわけじゃないのに、バブル崩壊後の数十年を、深く深く自分を問い直しているようだ。

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宮崎あおい出演のバンド関連映画といえば、2009年の大傑作「少年メリケンサック」がある。最初、『ソラニン』で問い直した「自分観」に、『少年メリケンサック』で解答を与えたのだろうか、と思ったのだが、順番はメリケンサックの方が先だ。案外、メリケンサックでは歌わせてもらえなかった自慢の喉を披露したくて、もう一作出演したのかもしれないと、映画論とは関係ない邪推をしてしまう。

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そして、宮崎あおいと言えば、監督に対して、台本の書き換えを提案することで有名らしいが、それにしても、砂浜で走るシーンについていうと、「いぬのえいが(2005年)」では女子高の制服で走り、「闇の子供たち(2008年)」ではバンコク市街を走り、「少年メリケンサック」では西日本のどこかの都市を走り、本作ではゆかたを着て海岸の砂浜を走る。

あまり評論的に聞いたことはないが、「走る女」であると言える。(酒井某という「逃げる女」もいたが。)