封じ手開封に熟考?

2011-10-22 00:00:03 | しょうぎ
渡辺竜王に丸山九段が挑戦する竜王戦7番勝負が始まったが、第一局のハイライトは、2日目の朝の対局開始。封じ手開封のところだろう。

そして、立会人は加藤一二三九段。

封筒をはさみで開き、封じ手用紙をみる。そして普通ならば、立会人は、ただちに指し手を読みあげ、そこから対局が再開される。

ところが、封じ手用紙をみた加藤九段は、そこで熟考を開始した。そして、待つこと二分。徐々に緊張が高まる。見かねた副立会人の森下九段が、声をかける。「先生、どうかされましたか。」

もっとも、加藤九段よりも緊張したのは、渡辺竜王かもしれない。

この沈黙の理由を普通に考えれば、「記入ミス」しかない。そうなると、せっかく早朝に起きて和服を着てきたとしてしても、全部無駄になるわけだ。

反則負けの宣告をどのようにしようか、と考慮しているように思えただろう。難病を患者に告知する気の弱い医師のような状態か。ひそかに期待する挑戦者の図だ。

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ところが、実際には8六の歩で8五の歩を取る手だった。8六の歩に赤丸を付け、矢印で8五に伸ばしただけだ。あらためて、加藤九段は「8五歩」と宣言。本当は、8五同歩と言うべきらしい。

問題は、加藤九段が何を考えていたかということ。

終局後、加藤九段が渡辺竜王に語ったところでは、矢印が駒と重なって見にくかった、ということだそうだ。

ただし、事件直後に加藤九段がK大将棋部元OBのS記者に語ったところでは、封じ手で駒と駒がぶつかって▲同歩のように取るのははじめの経験だったので、ということらしい。またS記者は加藤九段が封じ手予想を5三歩成と予想していたことも原因としているが、ちょっと信じられない。図面の他に「▲8五歩」と棋譜を書く棋士もいるそうだが、図面と棋譜が異なった場合はどうなるのだろうか。

ところで、封じ手は駒の動きを矢印で示すことになっているが、たとえば5三桂成と5三桂不成をどのように区別するのだろうか。


さて、10月7日出題作の解答。

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▲4四桂 △同金 ▲2三歩成(途中図1) △同桂 ▲3三飛 △同玉 ▲3四飛 △同玉 ▲3四同角成 △4二玉 ▲4三金 △4一玉 ▲2三馬(途中図2) △5一玉 ▲4一馬 △同玉 ▲5三桂 △5一玉 ▲6一香成まで19手詰。

質駒を二枚作る手順に手順前後があってはならないので、そこが苦労するところ。最後は押し売り方式。これも2一の香が不要駒にならないように作者は考えなければならない。

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