マネとモダン・パリ

2010-06-06 00:00:34 | 美術館・博物館・工芸品
三菱一号館美術館の開館記念展(1)として7月25日までの公開になっている『マネとモダン・パリ』に行く。たぶん、三井記念美術館への対抗もあるのだろうが、うれしいことに水・木・金は、20時まで開館している。



丸の内の超一等地に美術館とは、贅沢の極みで、あまり詳しくはないが、三菱の本拠地である。戦前の様式のレンガ造りの建物は、近代的なビルが立ち並ぶ東京駅界隈では眼をひくが、横浜市民としては、関内あたりにはゴロゴロと転がっているので、全然、驚けない。

さて、開館記念としての、マネ。まあ、ほどよい選択だったのだろう。ピカソやゴッホといった超大家だったら、会場も狭いし、巨艦主義みたいだが、マネとパリであれば、ちょっとしたいい感じだ。

ただ、多くの絵画を見て、キャプションのいくつかを読むと、マネって、気難しい人間だったのだなあ、と感じるところがある。

フランス人なのにドイツ人みたいに細かいところにこだわったり、構図にかなりこだわったりとか。


例えば、『死せる闘牛士』。



地面に仰向けに横たわる闘牛士には、影がない。それは太陽が上から照らしていることを意味しているのだろうか。人間対雄牛、太陽と死。対極に並べる。

例えば、『ラトゥヨ親父の店』。



いかにも遊び人がレディを口説いている。心配そうに、店員(親父?)が遠目に眺めているが、攻略されたのだろう。

しかし、『すみれの花束をつけたベルト・モリゾ』。



この絵は、去年から何回か東京で見ている。本籍はオルセー美術館となっているが、長期出張なのだろうか。ベルト・モリゾはマネの絵画に大量出演しているが、彼女自身が印象派の画家だった。マネより約10才若く、この絵のモデルとなった時は30歳位だったはず。

どこからみても非のない美人なのだから、マネも思わず、お手付きにしたかっただろうが、妻もいることだし、ぐっと我慢したのだろうか。妻の絵も展示されていたが、モリゾを100点とすると30点という感じだ。結局、マネの弟と結婚することになったのだが、ずいぶん悔しかっただろうと想像。(案外、お手付きにしたあと、弟にしりぬぐいを頼んだか?不明。)

ところで、パリの街を題材とした絵画が大量に出展されているが、東京の街並の中で、パリをイメージさせる場所って、色々と考えても、実はほとんど思いだせない。なぜだろう。