『魯山人の食卓』に読むマグロ寿司

2009-12-04 00:00:44 | あじ
rozanjin東大西洋と地中海でのクロマグロ漁が、40%カットされるようだ。

日本に影響があるかどうか、よくわからないが、価格は上昇するのだろう。デフレ経済下では、予期せぬ救世主かもしれない。

さて、このクロマグロだが、本マグロとかシビマグロとかいうそうだ。たまたま読んだ北大路魯山人の本には、三陸宮古の岸網で獲ったシビマグロが最高と書かれている。

一方、回転寿司に行くと必ず注文してでも食べるのが、脂ののった鬢長マグロだが、とんでもなく一刀の元に切り捨てられている。

まぐろの中で一番不味いのは、鬢長という飛魚のような長い鰭を備えているもので、その形によって鬢長というらしい。これは肉がべたべたとやわらかく、色もいやに白く、その味、もとより悪い。とうてい美食家の口には問題にならぬ代物である。


それと、寿司店の話。戦前は、寿司は立って食べるものだったらしい。そして、お茶を飲む。

当時は酒を飲むためには、居酒屋と高級料亭に二分化されていたそうだが、寿司店や天ぷら店などで、座らせてから酒を勧めて客単価をあげることがはじまったそうだ。その流れの中で寿司店にも座敷や椅子が登場するわけだ。

つまり、中流階級が楽しむ場所が寿司屋だったようだ。案外、海外での「スシバー」ブームというのは、正統なのかもしれない。

ただし、魯山人に言わせると、寿司の味をウンヌンするためには、高級店を数多くこなしてからにすべきということだそうだ。

そのためには、ある程度収入を得て、40代になってからということだそうだ。

まあ、そう簡単に本質を突いたことを言われると、ちょっと嫌だ。