青森県で何が起きているか

2008-10-23 00:00:30 | 企業抗争
青森県で発生しているいくつかの経済ニュースを見てみる。

まず、東京商工リサーチの人気サイト、大型倒産速報から


K石油 ガソリンスタンド・燃料販売 負債約70億円

K石油(設立昭和47年8月、資本金1800万円、K社長)は10月6日事業を停止。事後処理をA弁護士に一任した。

負債総額は約70億円だが、現在精査中で更に膨らむ見通し。

同社は昭和47年8月に法人化。設立当初は灯油の販売を中心に逐次業容を拡大、青森県全域に配送センターを設置し、平成7年7月期には設立来初となる10億円台の年商を突破した。

16年以降は、セルフ式スタンドを積極的に出店。現在までに青森県内25店舗のガソリンスタンドを設置し、付帯してコンビニエンスストア1店舗、女性専用のフィットネスクラブ4店舗、コインランドリー8店舗を手掛けるなど多角化経営を実施、16年7月期には約36億円の売上規模が、19年7月期では約95億円の年商にまで拡大していた。

しかし、相次ぐスタンド建設による設備負担が重く、固定資産偏重の財務内容だった。20年7月期に入ってからも、燃料価格は高止まり、採算確保に苦慮。資金繰り逼迫から燃料の確保が困難となり、10月5日の夕方から順次スタンドを閉鎖し、事業を停止した。

なお、負債総額約70億円は今年に入ってから青森県内で最大規模となる。

この倒産では、K石油が事業停止前に、県民に対し前売り灯油券(割引)を10万円、20万円と前売りしていたが、前売券がほぼ無効になった。説明会には1000名以上が集まったようだ。英会話学校のNOVAと同じような話。泣き寝入りとしては少額、とあきらめるしかないだろう。営業停止最終日は、各店舗に対し、「在庫切れまで販売するように」指示があったそうだ。最終日の売上金の行方も気になる。


次に、(株)青森汚泥処理センター。


(株)青森汚泥処理センター(設立平成19年2月、資本金1000万円)は、10月2日付けで事後をB弁護士ほか1名に一任。今後は破産手続開始を申し立てる予定。

負債は約36億円。

同社は、平成18年12月不法投棄が発覚し19年3月に事業活動を停止した(株)青森下水道開発センターの「し尿処理施設」、「汚泥焼却施設」などの施設を譲り受け、平成19年2月に設立。以後、し尿処理施設からの汚泥収集、運搬、中間処理、焼却の流れを一手に引き受け事業を展開。設立1期目の20年3月期には年商約3億7000万円をあげていた。

しかし、青森下水道開発センターが設備投資に投じた借入金約25億円も引き継いだことから、初年度から設備負担は重く、債務超過の財務内容に陥っていた。その後も事業活動は継続したが、採算確保に苦慮、運転資金の欠乏から事業活動を停止し、今回の措置となった。

この会社、設立からまだ2年も経っていない。公共投資くずれみたいな案件を基に、資金を借り入れに頼っていたようだ。売上げは下水処理やし尿処理なのだから安定しているだろうから、破綻の原因は運転資金の借入困難ということだろう。突然の融資打ち切りが背景にあるのだろう。

青森市民のトイレの使用にも影響が出るのだろうか。たぶん、まずいことになるだろう。トイレの使用は1日3回までとか・・。


一方、青森の金融機関ではこういうニュースがある。(NIKKEI)


八戸、あおもりの2信金が合併

青森県の八戸信用金庫(八戸市)とあおもり信用金庫(青森市)が来年秋にも合併する方針を固めた。10月16日午後に発表する。八戸信金が存続金庫となる。八戸信金の預金量は3425億円で信金では東北トップ。あおもり信金が加わり預金量は約5600億円となる。

あおもり信金は地元経済の低迷による与信費用の増加に伴い2008年3月期決算で約39億円の最終赤字を計上した。青森県南部を地盤に堅実な経営を続ける八戸信金と合併して、経営基盤の強化を図る。


さらに、地元地銀のM銀行の発表がある。

「債権の取立て不能または取り立て遅延のおそれ」として、上記K石油に対する負債額12億円のうち、担保のない11億円について、引き当て処理をする。

さらに、同日付けで、さらに20年度通期利益見通しの下方修正を行った。

経常利益は、前回発表50億円が、今回発表では14億円とマイナス36億円である。K石油分以外にも25億円の別問題があるようだ。

このM銀行だが、ここ数年来、積極経営を行っていて、ロシアに三店舗を作ったり、数多くのプロジェクトファイナンスを手掛けたり、一方方向の経営に邁進していた。背景は、地元の富裕農民から集まる資金を有効に再投資する先が県内に少ないからであるだろう(結果、無担保融資などを行っていた)。そういう未来に対する仕掛けをたくさん持っているはずである。今後(2011年頃まで)、次々に連続時限爆弾化する可能性を感じないでもない。

東北の地銀の宿命みたいなものだろうが、地銀への資本注入第一号になるかもしれないと予感している(全国には同様事例が無数にあるのかもしれないが)。



もっとも、もう一つの農民の預金先である「農中」だが、巨額をフレディマックやファニーメイにつぎ込んでいたらしい、との話もあるが、こちらはまったくの米国政府頼みなのである。(米国債くらいで妥協しておけばよかったのにと後悔しているかも)。見返りは牛肉の輸入規制緩和?。