第2東京タワーは火の見櫓か?

2006-03-15 07:37:39 | マーケティング
NHKと在京民放キー局5社で構成する「新タワー推進プロジェクト」は、首都圏の地上デジタル用の電波塔「第2東京タワー」を、東京都の墨田・台東地区に建設することを決定したもよう。

高さ地上約600メートルは世界最高ということだが、完成時期が2010年末ではその時に世界一かどうかはよくわからない。何しろビルではなく単にタワーということで、工期は短い(現東京タワーは工期16ヶ月)。事業主体は東武鉄道。

そして、墨田区押上1丁目というと、要するに東武鉄道本社の場所ということだろうか。そういえば押上の駅前に古いビルを見たことがあったような気がする。


ところで、東武鉄道ということで、多くの沿線住民が思うのは、「開かずの踏切対策が先ではないか!」ということだろう。ほんとに・・

そして、2010年末に完成ということで気がかりなのは、「その頃には、すでに何らかの方法で対象エリアの人はディジタル放送を見ているだろう」と、いうこと。

また、ワンセグだって同様と思える。何しろ4年も先の話だし、ディジタルなら難視聴地区を克服するのが容易なはずだ。

そして、このテレビ搭の費用は放送局側が負担するというのだが、一方、ケーブルテレビの場合は施設費は視聴者負担。どこか二重投資のようなにおいを感じてしまう。

73937ba0.jpgそして、現東京タワーをテレビ局が使わないとすると、搭の修繕費も出なくなる。無線タクシー会社だけでは維持は無理というものだろう。倒壊の危機。テレビ東京ビル危なし・・ということだ。まあ、本人も1958年から50年間も立ったままなのだから、そろそろ横になりたいと思っているかもしれない。やがてさびしき東京たわあ哉(葉)

最後に、さらに冷水をかけるとすると、建築費500億円となっているが、まさかチタンで作るわけなく鋼材を使うのだろうが、鋼材の価格は予測困難。先物市場も整備されていない。鋼材価格の変動でタワーの高さを途中で削ったりできないわけだから、収益性には不確実性が高い。今後、竣工までに紆余曲折があった場合、完成時期が延びるわけだからさらに不透明になる。

ただし、唯一、高い場所ほどいいという施設がある。それは火の見櫓である。今でも火災発見の最速情報は肉眼目視であるだろう。しかし、実際600メートル、500億円の上空から発見する都内最大の火事とは、文字通り自分の足場となる東武鉄道本社から発生する、「赤字で燃え上がる連結損益計算書」となることは間違いないだろうと確信できるのである。

参考エントリー
2005年1月21日 第ニ東京タワー計画の不思議さ
2004年12月25日 1 ShotLog-8 Tokyo Night Tower