近隣事件簿(2)東京三菱支店で10億円着服

2005-11-30 21:23:08 | 市民A
cedd19e7.jpgこれは今月、表沙汰になった事件。銀行の女性派遣行員が渉外担当として12年前から高額預金者十数人から集めた預金を着服していたとして逮捕された。金額は9.9億円で内2.3億円は公訴時効。9.9億円のうち、手元に残っているのは2.5億円で7.4億円は消えた。投資の失敗の穴埋めといっているらしいが、豪快な話だ。

まず、この事件、マスコミ報道では現在の東京三菱銀行港北ニュータウン支店を撮影していったのだが、これは、昨年6月に引越してきた場所。その前は、別の場所で別の名前の支店であった。「荏田(えだ)支店」。徒歩10分ほど離れた場所だ。銀行番号005、支店番号303はそのままだ。現在は二階が進学塾になっているが、銀行のあった場所にはまだ入居者はいない。事件の大部分は、この場所で起きている。

cedd19e7.jpgまず、この事件、派遣社員の女性が起こしたといわれるが、54歳。銀行の子会社のダイヤモンドスタッフサービスと契約し、12年間も同じ渉外担当だったということ、つまり、資産家の自宅に出向き、満期預金を狙って、長期高金利商品で配当ありという、実際には存在しない商品を売り込んだわけだ。この手の事件を聞くといつも思うのだが、世の中に口のうまい人間はいるものだ。そして、高金利というのが、僅か年利1.25%というのがニクイ線だ。この銀行の客筋を熟知している。実際に、一旦、銀行の口座に入った顧客の預金(新商品)は勝手に引き落とされ、別に用意された顧客の配当金受け取り口座に金利見合い分が振り込まれていたということだ。この辺の細かな手口が発覚を遅れさせた理由なのだろう。

現在、東京三菱の行員は17,500名と言われ、さらに派遣社員が7,000人。ずいぶん派遣社員の比率が高い。実際には、女性行員を派遣会社に移籍しただけで、人件費項目から、一般経費にすりかえただけなのかもしれない。それなら、一般行員と仕事は同じということなのだろうが、逆に重要な仕事を与えると、転勤させられないので、こういった事件が起き易い。渉外担当をしている派遣社員は550人いるということだ。三菱銀行自体、以前は「金を貸してやる」という殿様商法だったため、交際費がほとんどなかったという話を東京銀行関係者から聞いたことがある。正社員で外回りが得意な行員が少ないのかもしれない。


ところで、この事件で思い出すのは、2003年に発覚したシティバンク横浜支店長(当時45歳)の着服事件。こちらは18億円。渋谷支店長、横浜支店長在任中にこちらもほぼ同様の手口で、顧客の自宅を回って(あるいは銀行の個室で)、架空の高金利商品を売り込む。ところがシティの支店長は、やや、やり口が雑で、銀行には入金しないでいきなり着服。その上、自分も東京スター銀行へ転職までしてしまえば、発覚は必然だったのかもしれない。懲役7年を求刑されているようだ。その時の事件の被害者も、この近くに住んでいる老人が狙われている。

一方は、堅実主義の顧客層の東京三菱、一方は冒険主義のシティバンク。かたや派遣社員、かたや支店長。対照的ではあるが、結果には大差がない。

しかし、二つの事件に共通の事実を発見。容疑者の名前だ。どちらも「かわ」ではじまる。東京三菱、「川・・・・」。シティ、「河・・・」。合理的説明(こじつけ)を考えねば・・・