弁当の持込まで口を出す首相も珍しいが

2005-04-02 20:58:20 | 愛・地球博
愛・地球博の「弁当持込問題」は「自宅製造弁当のみ」という条件付で解禁になった。「米国産牛肉は、米国内での出産が確認された場合のみ輸入解禁」というようなルールだ。コンビニ弁当を持ち込む場合は、一旦、自宅で詰め替えなければならない。「アサリ・ロンダリング」ならぬ「ロンダリング弁当」になる。

弁当解禁になって、入場者が若干増加したのは、名古屋人がケチだからではなく、レストランの前で「昼食のために2時間待つ」ことがなくなったからだろう。しかし、会期7日目の3月31日現在、入場者の累計は42万6千人。1日あたり6万1千人。期間日数185日をかけると、1,129万人になる。目標の1,500万人からは25%の落込みになる。まだマラソンで言えばスタートした競技場の中にいるようなものなので心配は早計かもしれないが、先日、名古屋に寄った時に名古屋駅周辺の方の意見を聞く機会があったのだが、予想もつかないことを言われていた。

名古屋人の言い方は、こうだ。「万博は高いが、セントレアはタダだ。」そして、セントレアには大勢の人間が押しかけ、重みで人工島が沈みそうなのに比べ、万博会場に盛り上がりがない、ということらしい。興味深い別の話もある。セントレアと万博では化粧も服装も違う。とのことだ。高級感のある方が無料で、大衆的な方が有料。そういうことなのか・・・

元々、万博と中部国際空港はパック商品と言われていた。小牧空港の方が万博会場に近いのだが、それでは「名古屋市におカネが落ちない」という理由で名古屋の南北で空港と万博を別にしたという話を聞いたことがあった。しかし、空港建設だけが目当てなら、先に人工島で万博を開催した跡地に空港をつくれば良かった。時差開催だ。森林破壊もなかった。

それにしても、セントレアに集客力があり、万博に集客力がないということでは本末転倒。民営対官営の差かな?

しかし、入場者数が少ないと発生するのが、「赤字問題」だ。ここで万博に伴う「皮算用」を確認してみる。総予算は1,900億円。これが事業費(固定費)1,350億円と運営費(変動費)550億円に分かれる。1,350億円の事業費は450億円ずつに3分割される。それぞれが国、地方自治体、公営競技(ギャンブル)収入だ。次に運営費550億円だが、事業者参加料160億円と入場者収入390億円である。要するに総経費の47%が税金、24%がテラ銭、8%がショバ代、そして21%が入場料金収入である。

そして、さらに入場料収入を分解してみると、予想入場者数1500万人で予想収入390億円を割ると、平均単価は2,600円になる。一方、大人料金は4,600円、12歳以下のこども料金は1,500円。大人とこどもの比率を求めるには、一元一次方程式(鶴亀算)が必要だ。
4600×A+1500(1-A)=2600 A=0.353
つまり大人35人に対しこども65人の比率だ。タダ券でも配っていなければこの数字は理解できない。

そして、予想入場者数が25%落ち込むと、この390億円の見込み収入も落ちることになる。残念ながら計画書には、入場者数が減少して赤字になった場合のツケ回し先は、明示されていない。

それにしても、1500万人の予定数というのもずいぶん控えめのように感じる。超ジミだった横浜博でも1200万人。大阪の花博は2300万人。そしてあの暑い暑い大阪万博には、何と6421万8770人が訪れたのだった。

そして、さらに入場者数を引っ張る要因がある。その一は「新世紀・名古屋城博」。金のしゃちほこをクレーンで下ろしたのはてっきり万博会場内での展示と思っていたら、そうではなく名古屋城内での3ヶ月の博覧会。敵対的だ。名古屋には「相乗効果」ということばはないのだろう。その上、気付いたのは「JRタワーズの繁盛振り」だ。12階、13階のレストラン街は朝の新宿駅のような混み方だ。やっとの思いで、濃厚鶏がらスープの「江南ラーメン」カウンター席に座れた。JRタワーズには弁当持参者はいないはずだ。

さらに、かすかに聞こえたのだが、万博最大の目玉商品である冷凍のユノカルマンモス。会期終了後、直ちには帰国しないという噂がある。歩くマンモス??

ただし、地球温暖化のおかげで猛烈な夏が名古屋を襲い、大停電で冷凍装置が壊れてしまったら話は別だ。そのままドロドロに溶けてなくなってしまうのかもしれないし、その逆に、長い数万年の冬眠から覚め、涼を求めて森の中に逃げ込んでしまうのかもしれない。

  夏空に高く吠えろや古代象  葉