PSASの記事を参考に,wraparound antennaを設計してみました.
アンテナは,一枚のradiatorとマッチングネットワークで構成されます.
radiatorの横幅は,ロケットの直径で決まります.
能代宇宙イベントなどで打ち上げられているハイブリッドロケットの
直径は12cmくらいのようでしたので,とりあえずこれで設計を進めます.
一方,radiatorの高さは,マイクロストリップラインの実効的な波長に依存します.
radiatorとground間の誘電率が高ければ,より小型のradiatorとなります.
GPS信号の波長は19cmですので,これでradiatorとマッチングネットワークの接点での
インピーダンスが求まります.feedの数を4本とすると,約120オームとなります.
このfeedを,マイクロストリップの1/4波長のラインを介して,100オームのラインに接続します.
このラインのインピーダンスは,sqrt(120×100)から約110オームと求まります.
100オームのマイクロストリップラインの中心をfeedとすると,その点のインピーダンスは,
50オームになります.これをまた1/4波長のラインで,次段の100オームのマイクロストリップ
ラインに接続します.このラインのインピーダンスは,sqrt(50×100)から約70オームとなります.
次に,これらマッチングネットワークのマイクロストリップラインの幅を計算します.
計算式は複雑ですが,
AppCADなど便利なソフトウェアがいろいろあります.
一般的なPCB基板に使われるFR-4は,誘電率が1GHzで4.4になります.
銅箔の厚さを20ミクロン,誘電体の厚さを1.6mmとすると,radiatorと繋がる110オームの
マイクロストリップラインの幅は約0.5mmとなります.
また,この時のアンテナ全体の高さは,radiatorとマッチングネットワーク2段分を合わせて,
約9cmです.
一方,誘電率を10にしてみると,アンテナ全体の高さは6cmになり小型化されますが,
110オームのマイクロストリップラインの幅が0.12mmと,細くなりすぎてしまいます.
材料の入手性にもよりますが,製造における現実的な線幅を考えると,誘電率は4程度が
上限かと思います.
誘電体の材料をどこで入手できるのか調査しないといけませんが,プリント基板用の
プリプレグを硬化させないで巻きつければ良いのかな?
中尾貿易:
高周波用プリント基板材料
フレキシブル基板は,
プリント基板センターPBで,250×400mmまで対応してくれる.
ただし,価格は39,800円から.
ここまでくるとアンテナ解析ソフトでシミュレートしてみたいけど,どれも高価です.
無料の
Sonnet Liteで解析できる?
【追記】書店に出かけて参考書を購入.
オーム社:
電磁界シミュレータで学ぶアンテナ入門
【追記2】見よう見まねでsonnet liteを試す.
radiatorのサイズと比較して,マイクロストリップラインが細いので,
必然的にメッシュが細かくなる.案の定,liteではメモリが足りない…