余呉の湖~2012晩夏
余呉湖はかつて鏡湖と呼ばれた。
湖水はその頃の清澄さこそ失ったが、
山間にひっそりと水を湛える湖面は今も静かである。
何より、けばけばしいネオンや、
水上バイクの狂騒がないのがうれしい。
羽衣伝説の湖である。
その昔、美しい八姉妹の天女が、衣を柳の木に掛け、
白鳥に姿を変えて水浴をしていたところ、
伊香刀美なる男に衣を取られた末の姫が、
天に帰れなくなって男の嫁となり二男二女を産み、
その子孫が伊香の地を開いた…
湖は伊香の小江と呼ばれるようになった…
また、説に曰く、
衣を取ったのは桐畑太夫で、二人の間に生まれた子が
後の菅原道真公であると…
水上勉の小説「湖の琴」の舞台となった湖でもある。
賤ヶ岳に日が傾き始めると、
湖面はしだいに夕日に染まり始める。
かつて、賤ヶ岳の合戦で湖水は朱の血に染まったとも…
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