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中身より箱

2024-03-11 13:54:22 | 言葉

おなじみの「折々のことば」(3月2日にあった言葉。)

『贈られる物は中身でなく、その箱であるかのようだ』。ロラン・バルト・・・フランスの批評家

鷲田清一氏の解説によると日本を訪ねた時、人々の贈答行為、特にその包装に印象を受けたのだと言います。

木や紙や紐などからなり、折り目結び目もつけられて包装自体が一つの品になっているささやかな中身とは不釣り合いな外装の重ね。中身にふれる楽しみのときをひきのばしつつ、世の秩序を暗に支える。

私が思うに、解説の2行は、水引、熨斗、キチンと角々を合わせた美しい包み紙、そしてそれを見事に手際よく一つの美術品の様にしてしまう日本人の繊細さなどに感心したのだと思いました。

子供Maが社会人1年生、Kが大学4年生の夏休み、アメリカの女子高校生を10日ばかりホームステイしたことがありました。妹のらい太が、引き受けていたのですが、エミリーの滞在中に癌が見つかり入院手術をしなければならなくなったのでした。急遽わが家が代役を務めることになったのでした。

その高校生を渋谷のデパートに連れて行ったことがありました。お振り袖などには自分の財力ではとても無理と思ったのでしょう、目を丸くしているばかりでしたが、おみやげになにか・・・と物色しているうちに、食器コナーで塗りのお椀を見つけたのです。これも本物の輪島塗などは高根の花、さんざん迷った挙句早く言えば偽物の塗りのお椀を買ったのでした。

一度家に帰りました。ところがどうしても本物の塗り物が頭から離れないのだそうです。「漆」は日本の代名詞だそうです。日本に来たからには1個でも良い、矢張り欲しいと、自分ひとりで行けるからと引き返して求めに行きました。

迷子になったら大変と気をもむころに帰ってきました。日本の包装がしてありました。エイミーがやはりロラン・バルトと同じ感想を話しました。

先ず、柔らかな薄紙で包むでしょう。それを箱に入れて。動かないように周りを囲み、その箱を包装紙で包んで、日本のリボンをかけ、なんだか折り紙細工を貼り付けて・・・立派なお土産が出来ました、と満足したようでした。

今、地球温暖化を防がなくてはと、包装は極力減らすようになりました。でも、水引との熨斗は廃れてはいないのではないでしょうか。
コロナ時代を通り抜け、外国のお客様も大勢やってきます。その方々が、喜んでお土産に買っていくのが熨斗袋やポチ袋だとのこと。日本のことまた一つ世界の人たちに知ってもらえるでしょうか。

大学生の頃、親元や、知人から荷物が届いた時、どういう開け方をするかでその人が知れるという話になったことがありました。きちんと紐をほどいて束ね、紙を剥がしてその紙をきちんと折って重ね、また紐をほどいて・・・中身にたどり着くまでがまだるっこしいけれど、いかにも優雅な人、いいな、。出来そうでなかなかできないですよね。

 


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