杜の里から

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EM除染検証番組をぜひ全国ネットで(追記あり)

2012年10月26日 | EM
10月17日、フジテレビの夕方の情報番組「スーパーニュース」で、福島県の一部でEMによる除染作業が行われている事を紹介し、このEMが除染に効果があるのかという検証番組が放送されました。
(番組内容の文字おこしがこちらにありますので、ぜひ併せてご覧下さい。)

その内容は、EM生活で発行している季刊誌「健康生活宣言VOL.15」で紹介されている農家の方と幼稚園を直接取材し、また実際にEMを撒いた区と未処理区とのセシウム放射線量比較も行っているというものでした。
そしてこの番組で注目されるのは、光合成細菌の放射能除去効果について、すでにこの細菌を用いてセシウムの分離実験を行っている、広島国際学院大学の佐々木健教授に意見を伺っている所です。
佐々木教授の口からは、以下の様なコメントが発せられます。



佐々木健教授は30年前から光合成細菌による環境浄化の研究(→参考PDF)を行っており、言わば比嘉さん以上に光合成細菌には詳しい本当の専門家である訳で、実際佐々木教授が行った光合成細菌によるセシウムの吸着除去実験は見事に成功しています。



しかし光合成細菌の役目としては、あくまでセシウムを吸収して集める事だけであり、セシウムそのものを減らす事は出来ないと言います。



同様の否定的見解は明治大学農学部の藤原俊六郎特認教授の口からも語られ、本来ならば比嘉さんが言う所のEMの放射線除去効果の有無などはこれらの専門家の談話だけで終わっている話なのですが、番組ではさらに、実際にEMが撒かれている畑と撒かれていない畑の土をEM菌関係者の指示に従って採取し、それを同位体研究所に依頼してセシウムの量を測っています。



そしてその結果は何と、EMを撒いた畑の方がセシウムの量が多いという事となったのです。



また、週に一度EMを撒いている幼稚園も紹介し、そこの空間放射線が徐々に下がっていく模様も示されます。
ところが実際は、EMを撒いていない場所や地域でも同様の現象は起きていて、ここでもEMによる効果に疑問を呈する結果となったのです。



番組では他にも、福島県の農業試験場で行った小松菜へのセシウム移行実験で効果があったとする比嘉さんの主張も、それはEMではなく堆肥に含まれていたカリウムのせいであろうとする県の見解も紹介されています(この件はすでに片瀬さんの「warblerの日記」で指摘されている通りです)。

結局EMによる放射能の除去についてはすべて否定的な見解となった訳ですが、特筆すべき事はこの番組では、ただ口でどうのこうの言うのではなくちゃんと現地で当人から取材し、専門家からの見解も聞き、更に実地検証も行っているという点で、決して興味本位だけで作られたというものではありませんでした。
しかしながら私から見ると、この番組にはやはり色々不満な点もあります。
まず佐々木健教授のコメントの項目で、彼が顕微鏡を覗いてEMの中の光合成細菌を探してこう述べるシ-ンがあるのですが、




ここで彼が用いたEMはこれなのですね。↓

   

ここで使われたものはEM研究機構EM研究所で市販されている「EM・1」で、これに光合成細菌がほとんど含まれていない事は以前にも述べました。
しかし、この検証の出発点はそもそも福島県で行われている除染なのですから、この場合は、実際に除染活動を行っている農家の方が撒いているEM発酵液そのものも、一緒に調査しなければなりませんでした。
農家の方から分けてもらえなかったのかどうかは分かりませんが、それを市販品だけで済ませてしまったこの部分にはやはり問題が残ります。
そしてまた、放射線の専門家のコメントに大槻教授を選んだ事も考えものです。
個人的には大槻教授には何の恨みもありませんが、彼を登場させたことにより、社会的な問題を追及するドキュメンタリーが一気にバラエティになってしまいました。
そしてこの人の強烈なキャラとその否定の仕方が、藁にも縋る思いでいる福島の人の心をズタズタに引き裂いてしまわないかと、思わず不安になってくるのです。

そして最大の問題点は、この番組が東京限定のローカルでしか放送されなかった事です。

ネットの中ではその映像が早々にアップされ、おかげで当日見逃した人も見る事が出来ましたが、それでもそれは極めて限定的なものでしかありませんでした(今日現在、この映像はすでに削除されています)。
EMというものは現在、学校での環境教育でも取り上げられ、その効果がはっきりしないにも拘らず河川へのEM投入が安易に行われ、本来の農業用資材としての使われ方から大きく逸脱した形で使用される様にもなっています。
今回の放射能除去もその一つで、今や福島県では、比嘉さんの言説を信じる人から始まり、やがて放射能への不安を抱く人達の間で広まるという、言わば不安商法の形でEMが広まっている状況となっています。
そんな問題を前にして、なぜこの検証番組を東京ローカルだけで終わらせてしまったのか、これは大きな不満と言わざるを得ません。

この番組の冒頭では、うわさを聞いた近所の主婦の方の言葉が語られます。
 「本当に救われた思いがして…」
 「これで生きていこうって考えてるところです」
また、内部被爆を心配する人のため、EMX-GOLDをまとめ買いする主婦の姿も。
それは国に見捨てられたという絶望感から、一縷の望みをEMに託した人々の切なる希望の思いでした。そしてその姿は、それにすがり付くしかないという人々の、放射能への不安と苦悩を改めて浮き彫りにしたとも言えます。

しかしこの番組は、放射能が除去出来るとするEMが、実は『希望という名の幻想』でしかなかったという事実を明らかにしてしまいます。
その事により、希望が失望へと変わり、やがて絶望の淵に落とされる人が出ては来ないか、あるいは逆に、EM効果の否定が自己否定と受け取られ、それがかえって政府や行政、科学やマスコミへの不信感を増大させ、あげくそれらを全否定してしまうという状況になりはしないか、私はそんな不安に駆られます。
日々の生活の中で、人は喜びを求めます。それは生きていく上での希望となり、やがて「生きがい」となります。今回の番組は、ともすればその「生きがい」すら奪ってしまうものかもしれず、もしかしたらそんな思いがこの放送をローカルだけに留めてしまったのかもしれないなどと、つい勝手な推測を巡らしてしまいます。
しかしだからと言って、果たして「偽りの希望」が許されても良いのか、見果てぬ幻想に他人まで巻き込み、時間・労力・お金という有限の資産をただ無駄に消費させる事が、本当に当人のためになるのか、この事はもっと大勢の人を巻き込んで議論しなければならない問題であると私は思います。

ただ注意すべきは、EM問題を取り上げる際に初めからEMの効果すべてを否定してしまう事は避けねばなりません。
今まで何度もEM効果を否定する言説が現れても未だにEMが支持されているのは、勿論EMサイドの巧みな広報の効果もありますが、例えば悪臭防止など、実際に実感できる効果も確かに存在するからです。
それらの効果も無視して全否定に走った時、その言説はもう相手には届かなくなるのです。
今回のスーパーニュースで行った検証もあくまで「放射能の除去効果」に限ったものであって、これをもってEMを全否定してはならないというのが率直な思いです。

これらの事に考慮し、更なる検証を重ねた特集を全国ネットで、そしてフジテレビのみならず他の放送局にもぜひお願いするものです。
出来得るならばこれが単なる検証だけにとどまらず、EMに頼らずとも希望が持てる方策を模索し、未だに苦しんでいる人たちへの救いの道筋を提示して政府や行政に要望していく、その様な番組を心から望むものです。

(10月27日 追記)
今回の検証番組に対して、EM研究機構からこの様な見解が発表されました。

「フジテレビスーパーニュース報道についての見解」(←クリック)

この中でEM研究機構では今回の番組内容を、「はじめからEMバッシングが目的だったとしか思えない演出内容となっておりました。」と評していますが、番組内で示された専門家のコメントに対しての具体的な反論はありません。
また、チェルノブイリ原発事故後のベラルーシ共和国で行われた研究を紹介して、「放射性物質の作物への移行が抑制されることが報告されておりました。」と述べていますが、その件でも大きな疑問がある事はすでにこちらで検討されています。
EM研究機構では、
現地で計測し蓄積したデータやコメント等から、EMを活用することにより放射能汚染を直接的又は間接的に軽減できると考えており、今後も現地での研究、実証試験を継続し、順次その結果を公開して参ります。
と述べており、これからも引き続き現地で活動をしていく模様ですが、そもそもEMが放射線を減らせる効果があるかないかは、これこそ厳密に管理された室内実験で明らかになる事です。
比嘉さんは常に「現場主義」というのを語っていますが、実際は研究室の実験により明らかになる事も多々あり(佐々木健教授の研究がその証拠です)、それにより無駄な時間と労力の節約にも貢献する訳です。
そのためにもEM研究機構は、効果があると言うのならまず研究室レベルでの研究実験を行い、その検証データを示す所から始めるべきであると私は考えます。

今回このように、EM研究機構からは予想通りの反論が出された訳ですが、私個人としましては、DNDの出口さんが果たしてどのような反論を語ってくれるのかが、今現在一番興味がある所です。


(参考)
・Togetter 「フジテレビEM菌報道の文字越こし」
・「光合成細菌成分による放射性核種の除去と海水の浄化」(PDF
・『warblerの日記』より「EMで作物の放射性セシウムの吸収を低減できるか?」
・自ブログ 「EMに罪はない」


・FNNスーパーニュース 《ご意見・情報提供 投稿フォーム》

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4 コメント

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ベラルーシの報告 (呼吸発電)
2012-10-27 10:40:18
OSATO様

おはようございます。呼吸発電です。

かわさきFMのEMコーナー、2012年10月17日放送に関連しそうな話があります。

http://shinsen-web.com/radio/

2012年10月8日の環境フォーラムうつくしまEMパラダイスに招かれたベラルーシの研究者が、EMが植物へのセシウム移行を抑制すると発表したそうです。

EM1が作物へのセシウム移行を促進すると述べた以前の報告と矛盾した内容です。
Re:ベラルーシの報告 (OSATO)
2012-10-27 15:06:53
いらっしゃいませ呼吸発電さん。情報ありがとうございます。

ご紹介のラジオ番組拝聴しました。
この実験は鉢植えで行ったポッド試験で、10000ベクレルの土に冬小麦を栽培し、
・EM無処理区(何もしない)
・EM区(100倍に薄めたEMを【一回だけ】散布)
・EMぼかし区
の3種類の土で小麦へのセシウム移行を比較、EM区は25%減、EMぼかし区は2倍以上抑制という結果でした。

その理由としてこの研究では、以下の2点を推察しています。
・EMを撒くと、水溶性セシウム・交換性セシウムの形が、植物に吸収されにくい形に変わる。
・EMを撒いた区は、セシウムが土壌の粘土や有機物と結合した状態になり、その作用が促進される事が分かった。
というものでしたが、初めの理由はこんな事があるのか私にはよく分かりません。
2番目の理由は、これは国内のコメ作りの実験を見ても、セシウムが粘土とよく結合する事はとっくに分かっている事です。
こうして見ると、ベラルーシでの実験で使った土の成分がどうだったのか気になるところで、EMは元々pH3~3.5の酸性液ですから、それがセシウムと土との結び付きに影響したのかもしれません(例えば、酸の作用により元から付いていた土からセシウムが剥がれ、より結合しやすい粘土とくっ付いたとか)。

ただこの考え方で行けば、たくさんのEMを撒けばより多くのセシウムが土から剥がれる事になり、粘土質ではない土壌ではかえって植物への移行が増える事も考えられる訳です。
以前の実験を行った所長さんはもう亡くなっているとの事ですが、以前の彼の発言ではEMの『量』の問題も言ってますから、ただやみくもにじゃんじゃん撒くというのは問題があるのではとも思えます。

いずれにせよ詳しい実験デザインが不明なのでここでどうこう言う事は出来ませんね。この事はちゃんとした文章の形で出てきた時にまた検討したいと思います。

で、これって結局、セシウムの植物への移行の話であって、放射能を消すという事ではありませんよね。
Unknown (omizo)
2012-11-02 22:07:59
ベラルーシの件でも、今中さん自身がEMも実験やったとか。結論は効果なし。 ご本人に確認すればわかることですが。
今中さんの実験 (OSATO)
2012-11-02 22:52:51
いらっしゃいませomizoさん。

今中さんのEM実験については以前こちらで紹介されてましたね。
「ベラルーシの部屋ブログ」より
 『そのほかのサプリメントについて「EM菌」』 ↓
http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/f8991998ba54b431e2447aceb3ba42cb
(以下引用 ↓)
> これについて京大原子炉実験所の今中哲二助教が、プランターのトマトで実験したのですが、EM菌をまいた土と、まいていない土とを、隣同士に置いて育てて比較したのですが、全く違いはなかったそうです。
(↑ 引用終わり)
この件について今中さん自身が語った言葉を捜しているのですが、講演などでは時々質疑応答で聞かれているみたいなのですが、その情報はネット内には中々上がらないみたいですね。

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