アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「消滅中」は,日本語としておかしいか?

2009年06月18日 | Weblog
 畑作業の毎日です。当面の敵は、「アリ」です。畑に巣をつくるので、作物が枯れていく。「アリの巣コロリ」では効かない。そこで貯金を下ろして買ったのが、「アリの巣消滅中」という名の農業用薬剤。薬剤の名前だから、どうってことないのですが、「消滅中」に引っかかる。これって正しい日本語なのか?

食事中、上映中、面会中…これらは正しいと思う。
 死亡中、感動中、卒業中…おかしい!

 日本語は難しい。それをさらに難しくしてくださるのが、言語学者の皆さん。動詞と名の付くものが多すぎて、どうしようもない。
 動詞の分類…結合価・相・意志・視点による分類…もうこれだけで重い。
 そしてそれぞれの分類に…他動詞・二重他動詞…再帰動詞・能格動詞・状態動詞…活動動詞・意志動詞・無意志動詞・主体動作動詞…あるわあるわ!「どさくさ紛れに適当に作っているんじゃないのか」って?全て本当にあります。ここには挙げませんでしたが、私の好きな動詞に、「主体動作客体変化動詞」などという動詞もあるんですよ。

 さて、「消滅中」を何とかしなければならない。金田一春彦さんの分類(四分類)の、継続動詞かどうかを持ち出すのがよさそう。「…中」を付けると進行形になる動詞が継続動詞。
「営業する」に「中」をつけると、「営業中」確かに進行形になっている。

 しばしば話題に乗るのが、「故障中」。おかしいか、おかしくないか。
 <故障中はおかしいという理由>
1 継続動詞ではないから。(「故障する」は、瞬間動詞だから)
2 「~中」は、人間の動作の継続。故障中は…何もしていない。
 <故障中、「いいじゃないの!」の言い分>
1 故障中は、「これから修理しますよ」という意思表示。修理する気がない場合は、単に「故障」だべ。
 意思を持ち出されても…どうやら、「故障中は正しい」と言う説は、不利です。

 さて、「消滅中」は、どうなんだ?継続動詞か瞬間動詞かとなると…瞬間動詞ですね。正しいとは言えない…しかしBUT!「アリの巣消滅中」の場合、アリに薬剤を振りかけた段階で消滅作戦開始。そのアリが、薬剤を巣の中へ運び込む形になる。運び込まれた薬剤で、卵が死にアリの巣全体が消滅する。作戦開始から終了まで期間がある…このように考えると、継続動詞になりませんか?
 「人が主体の動作の継続ではないから、正しいとは言えないよ!」とのツッコミ。反論として…よーく考えると、薬剤を散布するのは「人」なんですよねえ?
 「消滅中」に、「これからアリをやっつけるぞ、という強い意思表示が表れているか?」回答します。「はーい!表れていまーす!」
 と、いうことで、「消滅中」は日本語としておかしくないことに決めました。

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