法堂の次に方丈に上がりました。石庭から廊下に目をやりますと、まず象の襖絵、そして方丈中の間の前に立て看板のようなものがあります。近づいて中の間を眺めますと「観音菩薩図」がかかっています。
これはご存知の方もいらっしゃるでしょう。線描、彩色のすべてに法華経文が書き込まれている観音さんです。遠目ではそれは確認できないということで部屋の入口に模写が置かれていたのでした。僕も老眼の眼を凝らして経文を探しました。その途方もなさにしり込みをした次第です。
方丈を時計回りに歩き裏庭に出ますと、日差しに恵まれず、はれやかさはありませんが、その分、墨絵に色づけしたような落ち着いた紅葉を味わうことができました。
僕は方丈の角に立っていました。すぐ横には板戸に描かれた清冽な滝がありました。そしてその先にはガラス戸が。
方丈にガラス戸とは、と違和感を持った瞬間、そこに紅葉の木々が映えていることに気づきました。しばらく眺めてからそのガラス戸の前に立ち自分のシルエットを映し、紅葉とのコラボを楽しみました。(笑)
このガラス戸は意図したものですね。実相院の「床もみじ」ほどの風情に及びようもありませんが、おもしろいと思いました。