大阪ボランティア協会・事業レポート

大阪ボランティア協会で実施した事業・イベントの報告を掲載しています。

裁判員ACT通信 第50号 ~「2017連続セミナー第一回報告」&今後のセミナーお誘い

2017-10-22 14:43:20 | 裁判への市民参加を進める会(裁判員ACT)
////////■□ 裁判員ACT通信 第50号~「2017連続セミナー第一回のご報告」
                 および今後のセミナーのご案内ほか □■////////

 秋が少しずつ深まりつつある今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
第50回のACT通信では2017年9月24日に行いました2017連続セミナー第一回の
報告、第二回および公開学習会のご案内、昨年度の講演録の紹介をいたします。

【1】2017 裁判員ACT連続セミナー第一回の報告
 今回は大阪弁護士会の小久保哲郎氏に「刑事事件から見える貧困-法律・制
度を生活困窮者の味方に-」と題しましてご講演いただきました。
 まず、講師が貧困問題に携わるようになったきっかけをお話しいただいたのち、
2006年に起きた2件の痛ましい事件をご紹介いただきました。これらは生活保護が
適法に運用されていれば起きなかったと考えられるものです。1件目は、本来は生
活保護を受けるべき困窮状態にある人が生活保護申請のために福祉事務所窓口
を訪れたにも関わらず、当該福祉事務所は生活保護申請をさせませんでした。その
結果、申請するつもりだった人は介護疲れと生活苦から同居する認知症の母親を
殺してしまったという承諾殺人事件でした。2件目は、定住する家がない人には生
活保護を受けさせないという違法運用の結果、食べるものや寝るところにも困り刑
務所に帰りたいと思った70代男性が起こした放火事件でした。
 上記の事件を聞いて生活保護が適法に運用されることが重要であることを知った
一方で、生活保護に対してはマイナスのイメージが強いこと、生活保護受給者やそ
の家族へのバッシングや不正受給問題がマスコミをにぎわせたことを思い出させて
もらいました。
 それではそもそも日本の生活保護は多いのかということについて、生活保護類似
制度利用者の人数や利用率、捕捉率を諸外国と比較してもらいました。そうすると、
日本では生活保護の受給が極端に少ないことを説明してもらいました。
 その後、話を日本の現代に戻し、まだ記憶に新しい小田原市の「生活保護なめん
な」ジャンパーの話をしていただきました。このジャンパーを作る発端になった10年
前の傷害事件もまた、ケースワーカーの専門性が欠如しているためになされた不
適切な生活保護運用が原因であることをご説明いただきました。今、現在でも日本
の一部の福祉事務所では受給者を威圧するような状況があるそうですが、福祉先
進国スウェーデンでは生活に困窮した人が落ち着いて話せるような福祉事務所の
雰囲気があり、職員は専門職であることを教えてもらいました。未だ問題の多い生
活保護制度の中では明るい話として、ケースワーカーの一部には生活保護問題に
積極的に取り組んでいる事例をご紹介いただきました。
 最後に生活保護・社会福祉の機能として、経済的困窮者の生活を安定させること
により、犯罪を抑止すること、元気を回復し地域社会で活躍できる人材になってもら
うこと、貧困の連鎖を断ち切り社会の安定発展させることに加え、生活保護費はほ
ぼ全額消費に回り地域経済に資することをご説明いただき講演は終わりました。
【編集後記】
 日本の社会保障といえば、年金、医療、介護、生活保護など色々あります。例えば、
子どもがいるから児童手当を申請する、共働きで子を昼間見る人がいないので保育
所に申し込む。これらは条件に合致するならば利用する社会保障でしょう。一方、生
活保護と聞くと、利用したくない、マイナスなイメージを多くの人が持っていることを講
師より指摘されました。生活保護を使いにくいものにしているのは、政府の広報不足
や行政の違法運用があることに加え、生活保護受給者に対する差別意識、近年よく
聞く「自己責任論」の影響も大いにあると改めて思いました。日本の社会保障制度は
脆弱であり、「最後の」セーフティーネット・生活保護制度は私たちの足元すぐそこに
あります。今、自分自身と家族には関係のない制度かもしれないですが、いつ使わ
ないといけなくなるかもしれません。私たちみんなが生活保護についてよく知り関心を
持つことで、必要な人が必要な時に必要な支援を受けられるようにならないといけな
いと思いました。

【2】2017 裁判員ACT連続セミナー第2回と公開学習会のお知らせ
 裁判員ACTでは引き続き下記のセミナー、公開学習会を予定しております。
 

第二回:2017年10月29日(日曜日)14時~16時半(受付13時30分~)
連続セミナー「少年事件の裁判員裁判~裁判員は非行の背景にどこまで踏み込めるのか~」
講師:岩本朗氏(大阪弁護士会)

第三回:2017年12月3日(日曜日) 13時半~17時(受付13時~)
公開学習会「私たちは裁判員制度にどう向きあうか~裁判員経験者たちの思い」
講師:笹倉香奈氏(甲南大学法学部教授)
裁判員経験者数名その他(調整中)(そのほか数名の弁護士が助言者として参加予定)

 セミナーの開催場所は、市民活動スクエア「CANVAS 谷町」大会議室(大阪市中央区
谷町2 丁目2-20 2階)です。参加費は、各1,000 円(当日払)です。大阪ボランティア協
会の個人会員は、1割引にします。

 以上の連続セミナーおよび公開学習会への参加お申し込みは、
1)ホームページ
( http://www.osakavol.org/08/saibanin/saibanin_seminar2017.html )から、
又は2)本メールに添付しておりますチラシのフォームに記入のうえ、FAXにてお願いい
たします。
皆様とご一緒できることを楽しみにしております。

【3】「2016連続セミナー」の講演録を配布いたします。
 昨年度、大好評だった「連続セミナー?裁判員裁判から見えてくる社会的孤立とその
課題?」の講演録(3回分)を配布いたします。
 定価300円ですが、昨年、このセミナーに参加された方やこのACT通信を見てご注文さ
れた方には、一冊100円でお譲りします。ぜひご購読ください。また、送料を負担いただけ
るのであれば、発送もいたします。希望される方は、ぜひ裁判員ACTまでご連絡ください。
<<<2016年「連続セミナー」講演録の内容>>>
<第1回>
彼はどうして罪を犯してしまったのか?社会的孤立と刑事司法?
講師:辻川圭乃氏(大阪弁護士会)2016年6月19日
<第2回>
彼は社会に出たあとどうしているのか?出所者雇用の取組み?
講師:岡本昌宏氏(セリエ・コーポレーション社長)2016年8月21日
<第3回>
彼はどう裁かれたのか?裁判員裁判から見えてくる社会的孤立?
講師:池田直樹氏(大阪弁護士会)2016年10月23日

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★“裁判員ACT”裁判への市民参加を進める会
事務局:〒540-0012
大阪市中央区谷町2丁目2-20 2F 市民活動スクエア「CANVAS谷町」
(福)大阪ボランティア協会 “裁判員ACT”裁判への市民参加を進める会(担当:永井)
Email: office@osakavol.org
URL: http://www.osakavol.org/08/saibanin/index.html
★フェイスブック
  https://www.facebook.com/saibaninact.osakavol
★事業報告ブログ
  http://blog.goo.ne.jp/os…/c/75d41997315d8237933718b371a797bf
★裁判員ACTの提言(you tube版)
  http://www.youtube.com/watch?v=Pwk2ee2Dqe0
★裁判員ノート~裁判員になったあなたへ(you tube版)
  http://www.youtube.com/watch?v=JFUgKlTPP60&feature=youtu.
メンバーは裁判員経験者を含む市民、弁護士、記者など。
月1回、CANVAS谷町に集まっての例会を中心に活動しています。
裁判員ACT通信へのご意見・ご感想もお待ちしております。

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